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お城へ70

 


 カトレアは、私の近くまで来ると、そっと、頭に被っていたフードを取り外した。

「!カトレアっ?!」

 露わになった紅の瞳を、ハッキリと門番に見られた!このまま、王都の立ち入りを禁止されたらどうしよう?!ドキドキしながら、私は目をギュッとつぶった。


「おお!立派な紅い瞳ですな!さぞ、特別な力をお持ちなのでしょうな!」

「流石カトレア様!優秀な人材を見付けるのがお上手ですな」

「ーーーへ?」


 凄く、呆気に取られたような、間抜けな声が出た。あれ?何この反応?特別な力?優秀な人材?私のこと?

 意味が分からなくてカトレアを見ると、彼はニコリと微笑んだ。


「紅の瞳の差別は大分無くなったと言ったでしょう?」


 言ってたけど、ここまでとは知らなかったけど?!優秀って何?!カトレアとラット王子様は、一体何を国民の皆様に吹き込んでいるんですか?!まさか、ケイ先生がよく言ってる、神様に愛されてる証とかなんとかを言ってます?!


 心配していた爪弾きはされず、容易に、寧ろ歓迎され、王都に入る。


(なんか…緊張し過ぎたのかな……気分悪い……)

 胸を撫で下ろすと同時に、眩暈がしたが、心配をかけたくなくて、気を取り直した。



「ーーー」

 王都の中は、人、人、人で、沢山の人が、街中を歩き、商店には沢山の品物が並び、中心には、大きな、目指す城が見えた。

「凄い…」

「お城まで案内しますね」

 カトレアに促されるまま、王都の中を進む。

「あ!私ーー」

 途中、フードを外したままだったと気付いたが、こんな沢山の人間がいる中で、誰も、私に何かを言ってくる人はいなかった。どうして?紅の瞳の持ち主がいるのに?差別が無くなりかけてるとはいえ、少しは差別されるんじゃないかって覚悟してたのに……。

「えっ」

 そのまま街を進むと、同じ、紅の瞳の持ち主の姿を発見して、息を飲んだ。

「……凄く、普通に生活してるのね」

 その人達は、ただの人間と同じように、買い物袋を手に持ち、街の中を歩いていて、以前までは考えられないような光景だった。

「紅の瞳が優秀だとの噂は、急速に広がりましたからね。王都では今、手のひら返しで、優秀な紅い瞳の持ち主の争奪戦が繰り広げられてますよ」


 紅い瞳の中には、私達と同じ様に、迫害されて生きて来た者も、家族に大切に守られ過ごして来た者、瞳の色を隠して生きて来た者、中には、奴隷として過ごして来た者達もいた。過ごして来た過程は皆違い、心の回復に時間がかかる者もいるが、それはこれから、過ちを犯してしまった者達の責任として、ゆっくりと回復のサポートをする必要があると、カトレアは話した。


 そうだね……。急に態度が変わっても、今までされて来た仕打ちを忘れる事は出来ないし、受け入れる事が出来ない人もいる……ジュン兄さんみたいに。

 ジュン兄さんは、まだ、人間に対して、許せない感情が強い。

 その事を理解しているから、ジュン兄さんは優秀過ぎる魔法使いだけど、カトレアはスカウトしなかった。


「まぁ、王都の国民が急速に紅の瞳を受け入れたのは、紅い瞳の方々の頑張りが大きいですね」

「私…達?」

「はい。キリア達がラット兄様達の命を救ったのは勿論。その後、王宮にスカウトされた紅い瞳の持ち主達が、それはもう素晴らしい勢いで優秀さをアピールして下さいましたから」


 ニコニコと答えるカトレア。

 アピール?何?他の紅い瞳の人達が、成果を出してるって事?


「例えば、キリアのお兄さん、クラ」

「!クラ兄さん?」

「はい。ラット兄様にそれはそれは気に入られまして、もうすぐ副団長に昇格するんじゃないか?って所まで進んでいます」

「嘘でしょう?!」


 初めは、紅い瞳を隠していたようだけど、直ぐに紅い瞳として、騎士団に所属したと聞いたクラ兄さん。

 普通の人間でも騎士団に入るのは難しいのに、紅の瞳として、王宮の騎士団に所属するのは、とても凄い事。なのに、それよりも上?副団長?たった半年で?!ラット王子様、クラ兄さんの事気に入り過ぎじゃない?!


「勿論、クラに実力があってこそですよ」

「た、確かにクラ兄さんは強いけど…」


 魔法に関しては、私達程魔力が高くないのもあって、植物の魔法以外上手く使えないが、その分、魔力を自身の身体能力の向上に使ったり、剣士として、とても優秀。


「確かに、クラは優秀だな……生意気だが」

「あ、兄がすみません」

 アレンさんも同意して褒めてくれるけど、どうやら兄は、アレンさんに失礼な態度をとっているらしい。直ぐに謝罪。同じ王宮に仕える者として、この2人も交流があるんだね。


「着きましたよ」

 城の入り口には、王都の門番よりも遥かに強そうな門番ーー騎士の一員がいて、カトレアの姿を見ると、頭を下げ、門を開けた。

 白を基調とした、豪華な造り。敷地には城だけで無く、騎士や魔法使い達が訓練を行う訓練場や、専属の寮も有り、ここで生活している者が多くいるらしい。

 明らかに場違いな気がして、足を踏み入れるのに躊躇してしまうくらい、綺麗で豪華なお城。


「キリア?」

「ほ、本当に…私なんかが、入っていいのかな…?」


 私は、呪われている紅い瞳なのに…。


「……本当に、ごめんね、キリア」

「え?」


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