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爆発57

 


  どこからそんな自信が湧き出るのかは知らないが、ジュンの言い分をユーリは一瞬で否定し、服の中に忍ばせていた銀のロケットペンダントを取り出した。

「ふん。よーく見ておくんだな、俺の完璧な計画を!」

  開いたロケットの中には、先程と同じ。だが、人為的に加工された、綺麗な紅い宝石が仕組まれていた。


「ユーリ!止めて下さい!」

「五月蝿い!」

  カトレアの制止も聞かず、ユーリは、ロケットペンダントに仕組まれた紅い宝石に触れるように、拳で握り締めた。

「!」

  途端、クラがユーリから盗った紅い宝石が、眩い光を発する。

「何これーー」

  周囲からも、同様の紅い光が、土の中や、岩肌から、光り輝く。キリア達がここに来るよりも前に、紅い宝石を色々な場所に仕込んでいたのだろう。


「頭痛ぇ…!くそっ、気分が悪いのは紅い宝石 (コレ)のせいかよっ!」

「…っ」

  頭を押さえ、苦痛の表情を浮かべるジュンとキリア。


「クラ!」

  カトレアは強引にクラから紅い宝石を奪うと、バッと、空に向かって投げ捨てた。


  ドガガガガーーーーーンッツツ!!!!!!!!


  大きな破壊音が響き渡り、耳鳴りがする。

  紅い宝石は、クラの持っていた物を皮切りに、次から次へと爆破を始めた。

「きゃあ!」

  衝撃で地面が揺れる。


「っ!何考えてるんですか?!下にはラット兄様達がいるんですよ?!」

「だから、全て計算の内だ!この下には、大きな魔物の巣があった!そこを討伐する為に騎士団は動いているが、まだ到着出来ずにいる!この作戦なら、その魔物の巣を、俺1人が!一瞬で壊滅させたことになる!」

  キリア達よりも早く雨天の山コリカに来ていた騎士団達は、大きな魔物の巣を発見していのだろう。魔物の巣を討伐する為、騎士団は重点的に中区層辺りで活動していた。

「巣に仕掛けるには魔物に近寄る必要があるが、これなら、近付く必要もなく、一網打尽に出来るからな!」

  なんて画期的な計画を思い付くんだ!俺は天才だ!と言わんばかりに、ドヤ顔を浮かべるユーリ。


「こいつ……マジでここで殺そう」

「気持ちは分からなくも有りませんが、落ち着いて下さい」

  殺意丸出しのジュンに珍しく同調しつつも、カトレアはジュンは止めた。


  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

  大きな地鳴りがすると同時に、山の土や石、砂が崩れ、泥となった土砂が、まるで雪崩のように、ユーリとキリア達の間を走った。

「っ!」

「ほら見ろ!計算通りだ!」

  脅威の惨状に、絶望に染まる4人に対して、ぴょんぴょんと飛び跳ね喜ぶユーリ。

「これで魔物の巣は土に埋もれて破壊された!俺がこの討伐作戦を成功させたんだ!お前の言う、チマチマ地道に魔物を退治して、雨が止むのを待つなんて作戦、効率が悪いんだよ!」


  いや、多分ユーリさんが邪魔しなきゃ、上手くいってましたよ?確かに時間は掛かるかもだけど、着実に魔物の数は減ってたし……。


「ラット兄様…!」

  カトレアは真っ青な表情で、ラット達がいる中区層を見下ろした。

「……ジュン、僕を中区層まで運んで」

  そんなカトレアを暫く見つめた後、クラはジュンの肩に触れた。


「は?何で?てか、俺等も早く脱出しなきゃやべーだろ」

「騎士団の様子を見てから脱出する。あの人達は、何が起きたか理解してないだろうし、最悪、今のに巻き込まれた人もいるかもしれないから」

「クラ兄さん…!」

「クラ…!」


  人間が好きでは無いはずのクラから、人間を心配するような台詞が出て来て、キリアもカトレアも、驚き、喜びの表情を浮かべる。


「誤解しないで。これは、君が追加で、騎士団を助けてって依頼すると思って、先立って話を進めただけだから!言っとくけど、追加報酬は絶対に貰うから!」

  まだ2人は何も言っていないが、2人の表情だけで、何を感じているのかを読み取れたクラは、先手立って、言葉を吐いた。

「勿論です」


「…よし。ジュン、行ける?」

「まぁな」

  応答すると、ジュンは魔法で杖を出し、風魔法の一種、浮遊魔法で自身の体を浮かすと、そのままクラの脇に腕を通し、持ち上げた。


「私も行く!」

  すぐさま、キリアも魔法で杖を出し、体を浮かす。

「危ないから、キリアはカトレアを連れて先に脱出ーー」

「私も紅の魔法使いの一員なの!私がいた事で助かった事もあったでしょう?絶対着いて行くから!」

「勿論、僕に異論は有りません。皆さんだけを危険な目に合わせる訳には行きませんし、僕がいた方が、騎士団の皆さんとの話もスムーズなはずです」


  決して譲る気の無いキリアは、クラ達と同じ様に、カトレアの体を持ち上げた。


「……はぁ。仕方無いか」

  妹を危険な目に合わせたく無いのは山々だが、基本、紅の魔法使いの仕事は危険と鉢合わせ。彼女を仕事に同行されるのを許可した時点で、ある程度は覚悟しなくてはいけない。


  4人は、一斉に土砂崩れに沿って、下に向かい飛び立った。


「おい!どこに行く気だ?!俺の功績を横取りする気か?!許さないぞ!」

  残されたユーリは、1人、的外れな事を叫ぶ。

「ん?」


  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。

  再度聞こえる、地鳴りの音。

「は?なんだ?嘘だろ?俺は、他に紅い宝石は仕掛けて無いぞ!」


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