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紅い宝石56

 


  確か、海辺の街コムタに被害がいかないように、討伐作戦が組まれ、騎士団が派遣されたんでしたっけ?きちんと街を守ろうと活動されてるなんて、素敵なことですね。流石カトレアのお兄さん。

  それに比べて、実の元・兄は、何の役にも立っていなさそう…。弱そうだし、単独行動して、統率乱して、迷惑をかけていたし…。

  あの優しいカトレアが、苦言を呈したのだ。本当、心の底から恥じて欲しい。情けないよ、本当。


  出立から数時間後。

  ユーリ達と出会った平地までは、今日も問題無く辿り着く事が出来た。

「!兄さん達、また目が…!」

  キリアの指摘通り、クラ、ジュンの瞳が、また薄い青から、紅の瞳に変化している。

「まー、もーいーけどよ。俺達は紅の魔法使いとして依頼を受けて来てるし、隠す必要はねぇからな」

「そうだね。ぶっちゃけ今回は、またこの場所で目の色が戻るかって実験的な意味合いもあったし」

  4人はそのまま、平地に足を踏み入れーーーる前に、前見たユーリの取り巻き達が、4人の行く手を阻んだ。


「ここから先を通る事は許さない!さっさと去れ!木偶の坊の第7王子に、呪われた化け物達め!」

「あぁ?」

「お仕置きが必要みたいだね」


  ・・・・・


  ジュン、クラは、一瞬で取り巻き達をボコボコに締め上げ、地面に叩き伏せた。

「人生やり直して出直して来やがれ!」

「やり直しても性根が腐ったままじゃあ無駄かもしれないけどねー」


「……いいんですか?」

「もう、殺さないなら、ある程度は良い事にします」

  黙って見学していたカトレアは、同じく、黙って見学していたキリアに尋ね、キリアは、力無く頷いた。


  取り巻き達を放置し、そのまま平地に足を踏み入れた4人は、予想通り、騎士団はおらず、ユーリ1人の姿だけを見付けた。


  騎士団長さんに身勝手な事するなって、怒られたばっかりなのに、本当に懲りない人だな。


  何やら、ゴソゴソと地面を掘って、穴に何かを入れている。

「ふぅ。これで準備は万全だ!見てろーー!この討伐作戦で一気に成果を上げて、俺の優秀さを知らしめてやる!」


「不可能な事しない方が良いよ」

  シュルルルルルと、植物のツルが地面から生えると、そのまま、クラの元に進んだ。

「お前等、またっ!見張りはどうした?!」

「あんな雑魚共が俺達の相手になると思うのか?」

「さて、コレ、何?」

  クラは、植物が盗った、ユーリが地面に埋めた物を受け取ると、それを見せ付けるようにかざした。

「…紅い…宝石?」

  光る紅い宝石を見て、キリアは純粋に、綺麗だと思った。

「このっ!それは俺の物だぞ!?返せ!」

「地面に埋まってた物を拾っただけだけど?どこにも無能肌荒れ男なんて名前書いてないよ。自分の物には名前を書かなくちゃ」

「その呼び名を今すぐ止めろ!」

  クラとユーリが言い争いをしている合間、カトレアは、クラの持っている紅い宝石を真剣に見つめた後、ユーリに視線を向けた。


「ーーーこれは、紅い爆弾ですね?」


「「「!」」」

「!おまっ!何でこれの存在を知っている?!」


  急に物騒な単語が出て来て、ドキッと身構えてしまう。爆…弾?爆弾って、あの爆弾?破壊力のある、兵器のーー?


「貴方の作戦は、危険なので止めるべきだとお伝えました。それなのに、強行で行う気ですか?」

「う!五月蝿い!第7王子如きが、俺の完璧な作戦にケチをつける権利なんて無い!俺は、この討伐作戦で成果を上げ、ラット様よりももっと!もっと上の第1王子の腹心になり、いずれは!俺は王よりももっと上の権力を持つまでに駆け上がる!」


  壮大な夢を語り始めたな…。って、そうじゃなくて!


「さ、作戦って何?この人、何考えてるの?!」


  元とは言え兄だが、ハッキリ言わせてもらう!ロクな事は考えていない気がする!嫌な予感しかしない!だって、カトレアが危険って止めてるんでしょ?それを強行しようしてるって事?!


「紅い宝石ーー爆弾なる物を使って、衝撃を起こし、土砂崩れを起こして、魔物を一網打尽にしようとしてるんです」

「!土砂崩れ…!」

「土砂崩れって……雨が降り続いて地盤が緩くなってるこの場所で、そんな狙って土砂崩れなんて起こせないでしょ。どの程度の衝撃を与えるつもりなのか知らないけど、下手すれば、皆を巻き込む事になるし、こんな縦に長くて横幅が短い山、大惨事になるよ」


  スラスラと、ほんの一瞬なのに、これだけの危険事項を並べるクラ兄さん。

  いや、絶対危ないよね?!何でそんな危険な手段を選ぼうとするの?!馬鹿なの?!しかも、山をめちゃくちゃにしようとしてる?いいの?!そんな事して?!


「ふん!紅の宝石を仕掛けた所以外に土砂崩れなんて発生する訳ねーだろ。全部計算の上なんだよ」

「地盤が不安定なんです!ちょっとした衝撃で、どこから土砂崩れが起きるか分からないんです!それに、土砂がどう流れるかなんて、完璧に計算出来ますか?必ず乱れが出ます!」

  通常の山より、雨天の山コリカは、地盤がしっかりしていて、普段、雨が降っていても、土砂崩れは起きない。だが、今、異常な程、雨が降り続いたのだ。


  てか、何でそんなに自信満々なの?絶対専門家とかでも無いよね?完全に思い付きだよね?何か防波堤を用意してるとか、魔法を駆使してるとかでも無いんだよね?それで土砂の動きを制御出来る??


「おい、無能肌荒れ男。無能なんだから、余計な事せず大人しく帰れ!」

「五月蝿い!こうなったら、もう実行してやる!」

「馬鹿かお前!んな事したらお前まで巻き添えくらうだぞ?!」

「だから!俺の計算は完璧だ!俺が巻き込まれる訳無いだろう!」




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