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初授業5





「ご飯…?毒でも入ってんじゃねーだろーな?」

鋭い眼光で睨み付けるジュンに、ビクッと体が強ばる。


分かってはいたけど、まだ信用されていないみたい。そりゃあそうだよね。出会ってまだ少ししか経っていない人間の事なんて、信用出来ないよね。私如き奴隷の作った料理なんて、毒同然ですよね(元・家族の扱いが酷過ぎて思考が終わってる)。


「ジュン。先生じゃないんだから大丈夫だよ」

「え?今なんて?」


先生じゃないから大丈夫?それはつまり、先生ーーケイさんは毒を入れたってことーー?!これからお世話になるのに、一気にケイさんの事が怖くなったよ?!


「先生、僕達がここに来たばかりの頃、頑張ってご飯作ろうとしてくれた事があるんだけど、間違えて猛毒のキノコ使っちゃって、死にかけた事があるんだよね」

「わざとでは無いんだね…」


良かったと言っていいのかは分からないけど、とりあえず一安心。


「それからジュンはキノコ食べれないんだ。ジュンのお皿にはキノコ入れないであげてね」

「分かりました」


死にかけたならトラウマにもなるでしょう。今日のメニューはハンバーグとサラダ、味噌汁なので、キノコは入っていません。


「お前、敬語使うの止めろよ」

「え?あ、もう癖みたいなもので、たまに出ちゃうんでーーだよ」


さっきクラさんにも言われたけど、ジュンさんにも言われてしまった。クラさんはいつもニコニコ笑顔で、雰囲気も言葉遣いも優しいから、何とも思わないんだけど、口数少なくて口調の荒いジュンさんに言われると、怖くてちょっと身構えてしまう。


「……ならいーけど。ここに、お前を虐める奴はもういねーんだから、言葉遣いとか気にすんじゃねーぞ!」

前言撤回します。え?何これ。私を気遣ってのこと?私が元・家族から虐げられてたって知ってのこと?クラさんと一緒で、めっちゃ優しい!



「あはは。可愛い妹だもんね」

「いもーーうと?」

クラの言葉に、キリアは顔を向け、反応した。

「この家に来たんだから、僕等はもう家族だよ。キリアは僕達の可愛い妹」

「妹…」

実の兄や姉には、1度だって妹と認められたことは無かった。

「もし次虐められる事があったら、お兄ちゃん達が助けてあげるね」

「…うん…!」

こんなに格好良くて優しい、素敵な兄が一気に2人も出来た事に、キリアは笑顔で喜んだ。



PM12:00。

「ふわぁ。おっはよー」

寝癖爆発で欠伸をしながら、寝室のある2階から魔法を使い、浮かびながら降りてくるケイ。

「お早うございます…?」

もう時刻は正午。おはようと挨拶して良いものか戸惑いながらも、キリアは挨拶を返した。

「おせぇよ。もう昼なんだよ」

「先生、夜行性ですもんね」

「お、何何?なんかめっちゃ良い匂いするじゃーん」

リビングのテーブルには、キリアが作った朝食兼昼食のハンバーグプレートがセットされていた。

「えー何これ何これ?キリアちゃんが作ったの?」

美味しいご飯を前に目が覚めたのか、パッチリと開いた目で、テンション高く、テーブルに座った。

「はい。食材使わせて頂きました」

「いーよいーよ使ってー。腐らせちゃったら勿体無いし、こんなに美味しそーなもんに変身を遂げるなら食材達も満足だよねー!いただきまーす!」

誰よりも遅く来たのに、誰よりも早く箸を手に持ち、ハンバーグを口に入れる。

「美味しー!最高ー!こんなに美味しいご飯食べたの本当に初めてなんだけどー!天才?!」

パクパクと、勢い良く箸を進め、直ぐに茶碗に入ったお米が空になった。

「おかわり!」

「はい、どーぞ」

準備万端のキリアは、手際よく茶碗を受け取ると、米を入れ、茶碗を返した。

「うっまー!!」

「先生、おかわりくらい自分でよそいましょうね」

「ーーお前も座れよ」

自然と給仕係に徹しているキリアを睨み付けながら、ジュンは隣の椅子を引き、座るよう指示した。


「え?でも、そんなーー」

「座れ」

「ーーはい」


誰かと一緒に食卓を囲む事なんて、今回の人生では初めて。食事自体、満足に食べれていなかった。

促されるまま、椅子に座り、目の前の、暖かい食事を前に、一緒にテーブルを囲むジュン達に、何故だか、涙が溢れ、そんな私を、3人は暖かく見守ってくれた。






「さて。ではキリア。今日から君も、俺の愛しい愛弟子の1人になる」

「愛弟子?」

食事を終えると、4人は家の外に出て、青空の下、切り株を椅子にキリア、ジュン、クラが座り、その前に眼鏡をかけ、指し棒を持ったケイが教師のように立っていた。

「何だよその格好」

「折角キリアちゃんの初☆授業だから、形から入ろうと思ってね。いやぁ、やっぱり生徒に可愛い女の子がいたら、やる気が出るよねー♡」

「きも…」

ケイの基準では、教師と言えば眼鏡、指し棒がマストらしい。普段はそんな格好をしないらしく、ジュンは冷めた目をしていた。

「あの、私は一体、何を教わるんですか?」

ジュンもクラも、ケイの事を先生、師匠と、呼び名は違えど、師事を意味する名称を使っていた。

「ん?それは勿論ーー魔法だよ」

ケイが指し棒をひと回しすると、指し棒は魔法の杖に変わり、杖をキリアに向けた。ポンッとキリアの頭に現れる花冠。

「私が…魔法…!」

前世でゲームや漫画で見てきた魔法!まさか私が魔法を教わる日が来るなんてーー!!







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