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変な力49



「紅の魔法使いが依頼を途中で放棄したなんてーー最初から依頼を断るのとは意味が違う。その自由研究とやらが終わるまでは、ここに留まるよ……嫌だけど!」

折角紅の魔法使いの評判も上場してきた所。ここで、紅の魔法使いが依頼を挫折した。なんて噂を立てられては、面目が立たない。

「さっきまでの晴天が、雨が終わる序章だと信じて、魔物退治しつつ、いけるなら、花の探索をする!無理しない!以上!」

「了解しました!」

「結局やる事は同じか…」

クラの出した結論に、キリア、ジュンは各々が反応は違うが同意した。

魔物が大量発生し、危険度が上がっているが、基本的にする事は変わらない。ただ、いつもより、魔物との戦闘回数が格段と増え、探索が思い通りに行えないだけ。

とてつも無いハードな依頼だと言う事が確定した。


「皆さん、僕の自由研究に付き合わせてしまって申し訳ありません……よろしくお願いしますね」

そうカトレアが言い終わると、空からまたポツリポツリと雨が降り出し、また現れた魔物との戦闘に、4人は入った。




*****


3日後ーーー昼過ぎ。


「めっっちゃしんどいじゃねーか…!」

ジュンは、本日何度目かの戦闘を終え、膝に手をつきながら、荒い息を整えた。

「結局あれから、雨、雨、雨ーー今はちょっと止んでるけど、さっきまで土砂降りだったし、あの晴天、本当に天候が落ち着く予兆だったのか、最早怪しくない?」

クラも、荒い息を整えながら、濡れた前髪をかき上げた。

4人の格好は、雨に打たれ、びしょ濡れ。

雨が上がったので、キリアは杖をかざし、風魔法で皆の服や髪を乾かした。


「でも、この程度なら、雨天の山コリカでは通常の範囲内だと思います。雨が止んでる時間帯が有りますから」


雨天の山コリカでは、通常でも、梅雨のように、雨が続くらしい。ただ、異常時は、ここに来たばかりの時の様な滝の様な激しい雨が続いたり、一時も雨が止む事無く、1ヶ月以上振り続けたらしい。


「カトレアはここに来た事あるの?」

「いえ。事前に全て調べて来ました。自分の自由研究に付き合って頂くのですから、情報を得るのは当然です」

胸高々に笑顔で答えるカトレア。


「最初の時より、進めてはいるよね」

キリアは、立っている場所から、下を覗いた。

落ちたら怪我をする。では済まない高さまでは、登っている。

探索初日は、1時間に6回のペースで魔物とエンカウントし、目指す山の頂上まで全く進めなかったが、今日は1時間に4回のエンカウントのペースで、先に進めた。

単純に、この地域の魔物の特性や攻撃パターンにも慣れ、倒す時間が短くなった事も要因の一つ。


「この高さになってくると、落ちたら死んじゃうから、一応、気を付けて歩いてよね」

「はい。分かりました」

クラの忠告を素直に聞き入れるカトレア。


いざとなれば、私やジュン兄さんが風魔法で助けますけど、反応が1歩でも遅かったらOUTですし、落ちないに越した事は無い。てか、落ちないで。

王子様の命を握るなんて、緊張で腕が震えて、呪文も上手く唱えれる気がしない…!


「……てか、本当に魔物、ちょっと落ち着いたんじゃない?」

周りを見渡しながら、そう呟くクラ。


間違えて欲しく無いのが、1時間に4回魔物とエンカウントって、普通多いんですよ?あって1時間に2回とかなんですよ、普通。今の雨天の山コリカが異常なだけ。感覚が麻痺してるよね。


「最初と比べたらな。そー言えば、あの拠点行くまでも魔物めっちゃ出てたな。急ぎ過ぎて何も考えて無かったけど」


キリアを休ませなければ!と、必死だったジュン兄さんは、出て来る魔物を片っ端からぶっ飛ばし、何も考える間もなく探し当てたらしい。

私も、しんどくて呆然としてたから、あの時は何も気にしてなかったや…。


「なら、君の推測があってるかもね」

「そうであって欲しいですね」

クラの問い掛けを、カトレアは頷きながら答えた。


それからも、魔物と対峙しながら順調に先に進むと、頂上に着く前、大きな平地になっている場所に、4人は辿り着いた。

「……何だよ、ここ」

着くなり、ジュンは杖を構え、キリアを背に守ると、警戒の構えをみせた。


「どうしたのジュン?」

「変な、強い魔力を感じる!気持ちわりぃ…!」

「2人とも、瞳の色が戻っていますよ」

「「!」」


ジュンとクラは、互いに瞳の色を、元の青い色に戻して冒険をしていたが、ここに着くなり、紅い瞳に変化していて、カトレアの指摘に、2人は互いの目を確認し合った。

「私も……感じる……かも。何か変な力…魔法?魔力?だけど……何か違う感じ…」

キリアも、ジュンの言う変な力を感じ取った。


(ぐらぐらして気持ち悪いかも……)

いきなり感じる強い力に慣れず、目眩がして、キリアは、頭を押さえたーーー。




「ーーーおい。そこで何をしてる!」


急に、人の怒鳴り声が聞こえ、キリアは、頭を押さえたまま、目を見開いた。


声の主の方に、ジュン、クラは警戒し、2人を守る為、武器を手にし、1歩前に出た。

「なんだぁ?久しぶりに見たな、その目」

声の主は、ジュン、クラの紅い瞳を見て、まるで汚らわしい物を見ているような、軽蔑の目線を向けた。





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