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拠点45



いつもならまだ活動する時間だが、夜間、山での地形が分からない場所での活動は危険な上に、夜は日が暮れ、気温が下がり、余計に体温を持っていかれる。

日中に活動した方が、幾分かはマシだろう。

「そうですね。探索ですし、拠点となる場所を探して、今日はゆっくり休んで、昼頃にまた活動再開しましょう」

魔物がいるダンジョンだから、日中、紅い瞳が人目に触れたとしても、街のような大勢の人混みで騒ぎになるような事は無い。

「ごめん…ね……私のせいで……」

寒くて、体の震えが止まらない。

「気にすんな。雨が凌げる場所がいいな。俺が少し周りを見てくる」

そう言うと、ジュンは雨の中バシャバシャと足音を立てて、山の中に入った。

「また勝手に……キリア、ここで待ってて」

後をクラが追う。

時刻は深夜。雨なのもあり、星明かりすら無く、周辺は真っ暗だが、ジュンとキリアは2人とも特殊魔法の光を使えるので、魔法で光の球体を出し、自分達の周りを照らしている。

「キリア、大丈夫ですか?」

こうして立ち止まっている間も、雨は激しく降り続いている。

「うん。平気……ごめんね、足でまといになって…」

私がいなければ、3人はまだまだ余裕で活動出来ていたと思うと、自分が情けなくなる。

「いえ。僕も疲れていたので、丁度良かったです。誰も言い出さなければ、僕が休みたいって言っていたと思います」

笑顔で、私が気に病まないような言葉をかけてくれる。

「寒いですよね?上着を貸したいところですが、僕の上着もずぶ濡れですし……」

カトレアは、キリアの手を取り、口元まで運ぶと、はぁーっと、自分の息をかけた。

「?!な、ななな何?」

「暖かくないですか?」

「だ、大丈夫だす!から!」


動揺しちゃって、変な口調になっちゃった!だす!?15歳の男の子のあざとさ怖い!



「キリア!雨風が防げる空洞みたいな場所があったから、そこに行くぞ」

暫くして、1人、戻って来たジュンが、キリアの体を風の魔法で浮かせた。

「ジュン兄さん!大丈夫だよ、私、歩けるよ!」

「駄目だ。我慢しろ」

「ジュン兄さん!」

「うるさい、執拗い」

お決まりの台詞を言われて、問答無用で風に揺られて運ばれる。


うぅ…。依頼主のカトレアは歩いてるのに、紅の魔法使いの一員の私が、運ばれるなんて…。恥ずかしいよぉ。


キリアは真っ赤になった顔を見られないように、体を丸めて、顔を隠した。



ジュンが案内した空洞に着くと、そこには、ケイの空間魔法のかかった鞄から出したブランケットやテント等が無造作に放り出されていた。

「お帰り」

クラは、荷物に入っていたランプを手に、テントを組み立てていて、キリア達の帰りに気付き、顔を向けた。

「ジュン、焦ってたからって乱雑に荷物置きすぎだからね」

クラは光の魔法を使えないので、1人残せば、暗闇の中に取り残す事になるからと、ランプを慌てて探し出したのだろう。ブランケットや鍋等が無造作に転がっているのは、その最中に取り出した残骸。

「仕方ねぇだろ!木は?!」

「ちゃんと用意したよ」

クラが指さした先には、(たきぎ)が積まれていた。


火魔法(クラーク)


直ぐに、ジュンは呪文を唱え、(たきぎ)に火をつけた。

クラを1人空洞に残したのは、クラの特殊魔法植物で、薪を用意させ、キリアの為に直ぐに火を付ける為だったらしい。

パチパチと火が燃え上がり、ホッとする。

「クラの魔法も大変便利ですね」

外で木を調達しようとも、雨で濡れてしまっていては、湿っていて火は付けられないが、クラの植物の魔法で1から作り出せれば、解決する。

「お褒めに預かり光栄です」

「クラは、コトコリカは作り出せないのですか?」

様々な植物を生み出せるクラの特殊魔法。

「無理だね。見た事無いし。てか、出来るなら初めからしてるよ」

それで依頼達成なのだから、喜んでしてる。

空洞の中、雨風を凌ぎ、火に当たっていると、自然と、体が暖かくなって来た。

「キリア、大丈夫?」

「うん。もう平気」


風の魔法で濡れた衣服とか髪は乾かしたし、震えは止まった。雨天の山に行くんだから、もう少し対策しとけば良かった……。

でも、傘なんて魔物との戦闘時はさせないし、レインコートなんてこの世界には無いしーーー無い?よね?少なくとも、紅の魔法使いの家には無い。


「この雨の中探索か……」

ジュンも嫌なのは嫌なようで、空洞から見える雨を見ながら、げんなりとした表情を浮かべた。

「魔法で何とかならないんですか?」

「風魔法をずっと出し続けるのも、結構しんどいかな……いざって時に魔力切れになっちゃう」


意外と、繊細な魔力調整の方が難しくて、大変だったりするんだよね。空飛んでるほーが楽。


「キリアなら長い時間出来そうだけど」

「出来る…かな…でも、山に登るんでしょ?いざって時に私、飛べなくなるよ」

キリアの魔力の量は、紅の魔法使いの中で1番多いが、それでも、全員の雨を防げる程の魔法を出し続ける自信は無い。

それに、雨天の山コリカは、崖も多く、雨の影響で足場も悪いはず。念の為にも、風魔法の一種、浮遊魔法が使える魔法使いが1人でも多い方が良い。

「なら、ここを拠点にして、休息を取りつつ、無理の無い範囲で探索しましょう」











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