やっぱり情報源は…33
「おい!誰がニケだ!呼び捨てにすんじゃねぇ!俺様はお前より4つも歳上だぞ!敬え!」
そう言えば、同級生だと言っていなかったけ?でも、ニケさんはどちらかと言えば、兄さん達と同じ歳に見えるし、本人もカトレアさんより歳上だと言ってる。
「阿呆かお前。命狙ってくるよーな相手に敬うも何もあるかよ」
「そうですよ。ただ歳とってるだけの阿呆を敬うなんて、絶対に出来ないよ」
「うるせぇ!誰が阿呆だ!」
印象が悪過ぎるので、クラもジュンも最初から攻撃態勢満載。
「他の生徒の皆さんからは、僕の歳が下だとしても、飛び級で同級生になったのだから、呼び捨てで良いと言われていましたので、ニケにも同じ様にしてしまっていました。失礼しました。これからはニケ先輩とお呼びしますね」
飛び級ーー!成程。カトレアさんがとても優秀なのは確かみたいですね。
「で?阿呆テスト男は何の用?」
「さっさとてめぇの国に帰れや、阿呆テスト男」
「何なんだお前等は!さっから失礼な奴等だな!誰が阿呆テスト男だ!」
兄さん達……まさかの本人の目の前でもその呼び名で行くんですね……そもそも、兄さん達、ニケさんの名前覚えてないのかも。
「阿呆相手に本当は名乗りたく無いんだけど、一応お仕事だから、ちゃんと自己紹介するね。僕は紅の魔法使いが1人、クラ」
「…同じく、ジュン」
クラとジュンは、今まで元に戻していた青の瞳を、紅の色に戻した。
「なっ!お前等ーー!!呪われてる奴等じゃねーか!」
紅い瞳を見て、ニケの周りにいる従者達も、軽蔑の眼差しを、クラ達に送り付けた。
「呪われてるなんて、酷いなぁ」
「呪われたく無かったらさっさと尻尾巻いて逃げろ、この阿呆テスト男」
「この俺様に楯突く気か?!呪われてる分際で!」
「楯突くに決まってるでしょ?そんな、学校のテストで自分が負けたからって、簡単に人を殺そーとする危ない奴、ここで俺達に完膚無きまでに叩き潰されたほーが世間の為だよ。頭悪い奴は、そんな事も分からないの?やだねぇ」
あ、一人称が僕から俺に変わってる。クラ兄さん、怒ってますね。確かに、この程度の暴言、言われ慣れてるとは言え、ムカつくのはムカつく。
「はっ!カトレアも無様だなぁ!寄りにもよって、呪われてる紅の瞳の奴等に助けを乞うとは!人望の無さが浮き彫りになったな!」
「お言葉ですが、それはニケ先輩の方だと思います」
「んだと!!」
さっきから1人でずっと吠えてる気がする……。何だかこの人、本当に頭が良く無いのかも……。
ジュンは元から口が悪く、クラはとても口が達者。カトレアも悪気無く正論をぶつけている。結果、言い負かされる形になり、より一層、ニケ本人の怒りが溜まる悪循環。
「くっそ!こいつ等ーーおい、お前等!さっさとこいつ等を始末しろ!」
ニケは、後ろに控えていた魔法使いを呼び付けると、4人全員の始末を命じた。敵わないとなると、途端に始末に走る。安直で有り、乱暴で、下劣。
「死ね!お前等も全員道連れだ!生きてる価値なんてお前等には元からねーんだからな!!」
「愚かだね」
「さっさと終わらせてやる!」
クラとジュンは、それぞれ武器である短剣、杖を手に取り、臨戦態勢をとった。
複数人が一斉に魔法を放つのを、ジュンが同じく魔法で追撃し、その隙を、クラが走り、一気に、ニケの近くまで寄る。そのまま、気絶でもさせ、人質にでもしようかな。と思っていた所に、ニケの従者の剣士が、クラを止めた。
バッと、一旦距離を取る。
「……主人と違い、腕は確かみたいだね」
ニケ本人は、クラの動きに目でも追い切れておらず、ニケだけなら、今の一瞬で勝負が終わっていたのに、従者の剣士は、クラの短剣を止めた。
一方の魔法使い同士の戦いは、魔法の撃ち合いになっていた。相手が3人なのに対し、ジュンは1人。
上手く相手が放つ魔法を相殺していたが、1つが、間をすり抜け、カトレアの方に向かった。
「あ!くそっ!」
「ーー雷魔法」
カトレアの前に立ち、被弾する前に、キリアが、魔法を放ち、相殺した。衝撃で、被っていたフードが外れ、茶色の髪と、紅い瞳が、顕になる。
「!お前……!」
ニケは、そんなキリアの姿を見て、クラ達を見た時とは、また違った反応をした。
「茶色の髪、紅い瞳ーーお前、まさかキリアか?」
「!私の…名前…」
私の名前を知ってる。やっぱり、誰かから私の事を聞いて、私に、カトレアさんを殺した罪をきせようとしてるんだ…!
キリアは、チラリと、ニケの近くにいる、茶色の髪のウィッグを被った女性を見た。安直な作りのそれは、よく見れば偽物だと分かる出来で、道で出会った冒険者等に、茶色の髪の女の存在を認識して貰う為だけの物なのだろう。
「あはは!そーなのか?!何だ、生きてんのかお前。あいつからは、森に捨ててとっくに野垂れ死んでるって聞いてたのによぉ」
「……」




