表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/96

ケイ先生3




「やぁやぁ!これは失敬!良く来たね!えーーっと、キリアちゃん!だね!俺はケイ。この家の主で、クラ、ジュンの保護者だ。よろしくね」

クラとジュンに水を飲まされたり、背中をさすられたりと介抱されつつ、少し酔いを覚ましたケイは、扇子を振りながらキリアに挨拶+自己紹介をした。

「……」

あのまま森にいても、行き着く先は死だったから、連れて来てくれた事には感謝してるけど、色々と追い付かない。

魔法凄いなぁ。とか、先生もイケメンだなぁ。とか、酔い潰れてたなぁ。とか、色々あるけど、何より、気になったのはーーーキリアは、ケイの紅い瞳に視線を向けた。

「ああ。やっぱり気になる?」

「…はい」


私が軟禁されていて、屋敷から出た事が無かったのも要因の一つなのかもだけど、私以外の紅い瞳の持ち主に会うのは、これが産まれて初めて。屋敷にいた人達、家族、使用人含め、私以外に紅い瞳の持ち主はいなかった。

そもそもが、屋敷に軟禁されて、この世界の事をほぼ何も教えられずに生きてきた私にとって、紅の瞳が、人口としてどの位いるのか、珍しいのか、どうして不吉と言われているのか、何も分からない。


「今の時代、この瞳は生き辛いからなぁ。君が、家族からどういう扱いをして育ったかは、見れば分かるよ」

ボロボロの服に、荒れた手足。栄養の届いていない痩せこけた体。満足にお風呂にも入れていない、不衛生な身体。

「安心して良い。君も俺がこのまま預かる。君が望むまでここで暮らせば良い」

「え?!い、いいんですか?」

大変有難い申し出に、キリアは食い気味で飛び付いた。

家に帰されても、また悲惨な目に合うのは目に見えてるし、また森に捨てられるし、かと言って、1人森に放置されても、野垂れ死ぬしか道は無い。

「いーよ。いやぁ、むさ苦しい男3人暮らしだったから、これから花が出来て良いじゃないか!」


随分簡単に判断してるみたいだけど、本当に良いのかな?自分で言うのもなんだけど、正直、得体の知れない女の子をそんなに簡単に面倒見る。なんて言って良いの?


「私を預かると言ってくれたのは、私が、紅い瞳だからですか?」

それ以外に理由が思い付かない。今まで、この目の性で迫害されてきたけど、同じ紅い瞳だから、優しくしてくれるの?


「勿論、それが大きな理由だね」

否定しない。正直に答えてくれる。

「……どうして?」

今までこの目で、優しくされた事なんて1度も無い。

「紅い瞳は呪われて無いから。紅い瞳は、特別な証。神様から愛されている証なんだ」

「そうなんですか?!」

「そ。いやぁキリアちゃん、すっごい綺麗な紅い瞳してるよねー!魔力の量も半端ないんだろうなー!!」

思いがけない事実に驚愕する。まさか、神様に愛されている証だったの?!


(いやいやいや、でも、呪われてるって言われてる事には変わりないからね!)


神様的には愛してるつもりなんだろうけど、結果、迫害されるなら本末転倒だ。しかも、特別な実感無いしね、今の所マイナス要素しか無い。

魔力の量?は、紅の瞳なら強いの?なら、私も魔法が使えるようになるってこと?それは嬉しいけど、もう少し考えて欲しかった。瞳の色を目立たないように変えるとか、神様なら出来ない?!出来るよね?!


「因みに、魔力を制御出来るようになったら、瞳の色は元に戻るよー」

ケイはそう言うと、自身の目の色を黒に変えた。

「俺は紅い瞳が気に入ってるから、紅いままでいる事が多いけどね」

「……」


神様は、転生前にそこら辺の説明とか出来なかったのかな?てか、元の色にしといてくれても良くない?神様はそんな融通きけないの?人生イージーモードにしてくれるって約束だったよね?



「因みに、そこの2人も、紅の瞳の持ち主だぞ」

「えぇ?!」

今は薄い綺麗な青い瞳をしているが、ケイと同じ様に、魔力を制御し、元の色に戻しているのだろう。


2人が私の紅い瞳を見ても恐れなかったのは、自分達も、同じ紅の瞳をしていたからーー!?


「改めてよろしくね、キリア。僕はクラ。短剣使いだよ」

そう言い終えると、クラの瞳の色が変わった。

クラの瞳は、自分やケイに比べると色が薄く、ピンクに近く見える。

「……ジュン。魔法使い」

ジュンの色は、私やケイと同じように濃かった。

「……キリアです。よろしくお願いします」

正式名称はキリア=ラナン。だが、親から捨てられた今、ラナンの姓はもう必要無い。他の3人も、同じように姓を名乗らないのは、同じ理由なのかも知れない。



何だか良く分からないけど、とりあえず命拾いしたし……。

紅の瞳さえ隠せれば、普通の生活が出来るようになるかもだし……。ここから、平穏な人生が送れれば、本当は殴ってやりたいくらいだけど、とりあえずは許します!神様!

だからこれ以上、私にハードモードな人生を送らせないで下さい!!



キリアは強く強く強く強く、そう望んだーーー。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ