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元に戻らない瞳21




紅の瞳は、魔力が制御出来るようになればーー即ち、魔法使いになれば、元の瞳の色に戻る事が出来る。

クラとジュンは綺麗な薄い青い瞳。ケイは黒い瞳。


でも私はーー魔法使いになった今でも、瞳の色は戻らない。戻せない。ずっと紅の瞳のまま。


だから、日中、人混みの中、街に買い物に行けない。騒ぎになるのは分かってるし、余計な騒動を引き起こすのは目に見えてる。


「何でキリアだけ瞳の色が元に戻らないんだろうね」

「絶望的な事言っていいなら、多分、キリアちゃん、元の色も紅なんだろうね」

「嘘?!」

ケイ先生の爆弾発言に、大きな声で反応する。


「それ以外考え付かないしねー」

「…ショックです…」


紅の瞳で無くなれば、街に繰り出せると思っていたのに、このままでは永遠に普通の生活が出来ない!


「まぁまぁ、そうと決まった訳じゃないし。元の瞳の色に戻れたら、僕達と一緒に買い物に行こうよ。僕もキリアと買い物にはいつか一緒に行きたいな」


買い物 《には》?お仕事には一緒に行きたくないと遠回しに言われてますよね。


「クラ兄さん」

4年一緒に暮らす内に、本当の兄と思える様になって、呼び名が変化した。

「何?」

「心配してくれてるのは分かるけど、それを言うなら、クラ兄さん達だって一緒だよ?私と同じ!紅い瞳!私だって兄さん達が心配だよ!一緒に行っていいでしょ?」

条件は同じ。なのに、買い物はまだしも、私だけ依頼に行かないのは納得が行かない。仕事は、紅い瞳である事を隠していないし、ジュン兄さんの魔法で姿を隠す事も多い!


「駄目だ」

ハッキリと即座に断るジュン。


「何で?!私、基礎の魔法は全部使えるようになったし、8歳の時に連れて行ってくれたなら、今の私なら絶対連れて行っても大丈夫なのに!」

「執拗い。うるせぇ」

「ジュン兄さん!」


取り付く暇も無く、再度即、断られる。

リクの依頼の1件から、1度も仕事に行っていない。慣れるまでは危険だから連れて行くのは止めておこうとの気遣いに、最初は納得したし、感謝した。

でも、そこから1年、2年、3年ーー今年で4年目。


「ケイ先生!」

兄2人に行っても埒が明かないので、ケイ先生に矛先を変えてみたが、ケイ先生は華麗に視線を背けた。


「さ、美味しいもの買って来たから、皆で食べよう」

話題を逸らすように、クラはキリアの背中を押して、家に戻る道に誘導した。


これ以上は言っても無駄。4年でそう学んだキリアは、納得いかないけど、仕事の話題をここで終わらせた。




*****


紅の魔法使い。

それは、私達紅い瞳の持ち主4人で結成されたチームの名称。冒険者ギルドで引き受けてくれない依頼や、困難な依頼が持ち込まれる。

その中の大半は依頼を受け付けれないような、危ない人殺しやら誘拐やら、犯罪紛いの内容で、残りは、危険な魔物退治がほぼ。



「はぁ…。何で私だけ仕事したら駄目なんだろ…」

本日は昼間に仕事の依頼が入っており、クラやジュンは不在。また私は連れて行って貰えなかった。

「私も……したいな。仕事」

1人、紅の森の木の上で座り、景色を眺めながら、キリアは呟いた。

紅の森の中なら、1人で出歩くのは許されている。


4年前、ケイ先生は言っていた。

少しでも、紅の瞳の差別を無くすようにしたい。と。私も、そうしたい。困っている誰かの力になって、少しでも、私達の存在を受け入れて貰いたい。

クラ兄さんや、ジュン兄さん、ケイ先生の為にも。


(でも連れて行って貰わないとどうする事も出来ないよー)

1人で依頼を受ける度胸は無い。


「はぁー」

キリアは何度目かの深いため息を吐いた。



「ーーうわぁっ!」

「!」

耳に、人の声と思わしき悲鳴が聞こえて、キリアはバッと立ち上がった。

(どこ?近い!)

杖を魔法で出すと、風の魔法を使い、自身の体を浮かせる。そのまま、悲鳴の聞こえた方へ飛んだ。


「あ、いた!」

狼の魔物に襲われている同い歳くらいの男の子の姿が見えて、キリアは飛んだまま杖を構えた。


水魔法(リアリテ)


呪文を唱えると、水の刃が、少年を襲っていた魔物を斬り付けた。数匹いた魔物全部を始末する事は出来なかったが、残りもその場から逃げ出した。

「大丈夫?!」

急いで駆け寄り、少年の怪我の具合を確認する。

(顔色が悪い。怪我自体は酷く無いみたいだけどーー毒の牙かな?)

キリアは瞬間的に、回復の魔法をかけた。

「うっ…んっげほっ」

苦しそうに身じろぎ、小さく嗚咽しているが、生きてはいる。

金髪の短い髪に茶色の瞳。まだ幼いが、将来が楽しみになるほど整った顔立ちをしていて、身なりはどれも高級そうな生地を使った、上品な格好をしていた。


「はぁっはぁっ……君…は?」

魔法の効果か、徐々に顔色が良くなっていて、視界もきちんと見えるようだ。キリアを見て、尋ねた。

「私はキリア。大丈夫?」

「キリーーア」

少年はじっと、キリアの顔を見つめた。


(あっ!!)

人助けに夢中になって忘れていたが、人間に(兄達の影響を受け、自分達と人間を区別するようになってしまった)普通に紅の瞳を見せてしまった!







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