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あれから4年後ーー20




あれから4年後ーーー。キリア12歳。春。


風魔法(リアリテ)

キリアが呪文を唱えると、杖から風の衝撃波が吹き荒れ、前方で飛んでいた鳥の魔物に直撃した。


「おーお見事。基本的な魔法はほぼ使えるようになったねー」

パチパチと、椅子に座りながら拍手を送るケイに、キリアはペコりと頭を下げた。

「ケイ先生の指導のお陰です」

「めっちゃ良い子ーー!爪の垢を煎じて吐くまであの二人に飲ませてやりたい!!」

「吐くまで?!」


ケイ先生の元にお世話になって早4年。

魔法の特訓を続けたお陰で、簡単な攻撃魔法は使えるようになった。

基本的な魔法とは、風、火、土、雷、水の5属性の事で、それとは別の魔法の事を、特別な魔法。特殊魔法と呼ばれ、私達、紅の魔法使いが使う植物、闇、空間、回復魔法もそれに当たる。


「これで、私も依頼に行けるよね?」

「ーーー」

「何で黙って顔を背けるの?どうして?どうして行っちゃ駄目なの?最初の1回目から、何で依頼に行かせてくれなくなったの?」


そう。何故か私は、最初にリクの依頼を受けて以降、依頼に同行させてくれなくなった。ずーーーっとお留守番。


「ケイ先生、やって慣れろタイプなんじゃないの?だから、ここに来たばかりの私に行かせたんだよね?」

「良く知ってるね」

「兄さん達から聞きました」


当初8歳。ここに来て2日目で、魔法も満足に使えなかった私に、見学しといでーって軽いノリで依頼に行かせたのに、4年経った今、行かせてくれない意味が分からない。


「俺はね、行かせても良いと思ってるんだよ。最初からずっと」

「じゃあ何で行っちゃ駄目なの?兄さん達ばっかりお仕事してる。私も、紅の魔法使いとして、お仕事に参加したいです」

「それはね、過保護な兄弟子2人に直談判して欲しいかなぁ」



「ただ今戻りました」

森で魔法の特訓をしていたキリアの元に、話していた過保護な兄弟子、ジュンとクラが、2人並んでやって来た。


「お帰りー良い物買えたー?」

街まで買い物に行っていた2人は、両手に沢山の買い物袋を抱えていた。

「必要な物は買えましたよ」

4年経ち、12歳だった彼等も、今は16歳。身長もしっかり伸び、顔付きも少し大人びた。顔立ちや雰囲気は違うが、双子なだけあって身長、体重は同じ。

キリアは、帰宅した2人の元にトコトコ向かうと、先程倒した

鳥の魔物を見せた。

「魔法で退治出来ました!」

「すっごいよキリア!上手に出来たね!」

「ああ。一般魔法使い並にはなったな」

自分の事のように、クラもジュンも嬉しそうに褒めてくれる。


「なら、私もお仕事に行ってもいーよね?」

「「ーー」」

ピタっ。と、動きが静止する。


「ーー先生?」

「違うよ?!俺から何か言った訳じゃないよ?!キリアちゃんから、依頼に行きたいって言ってきたんだからね?!」

笑顔だけど、目の奥が笑っていない冷たい目で睨み付けられ、冷たい声色で名前を呼ばれ、ケイは慌てて否定した。


「キリアが依頼に行くのはまだ早いんじゃないかな?」

「危険な魔物退治の依頼もある。厄介で鬱陶しくて、しばきたくなるような依頼主も山ほど来る。そんなうっぜぇ醜い奴等の相手をキリアがする必要はねぇ」


矢継ぎ早に私が仕事に行く事を否定されていくーー。


「わ、私も魔法使えるようになったし、2人が怪我したら治してあげられるし、紅の瞳の暴言なら、前の家族で慣れてるし、2人より絶対に辛抱強い自信が有ります!」

人間嫌いのジュンは勿論、クラだってキレたら結構キツめのお仕置をする。4年経った今でも、改善されたようには見えない。


「怪我なら、家に戻って来た時に治してくれたら大丈夫」

「その前の家族はいつか絶対にシバキ上げてやるー!」

「そう言う事じゃなくて!私だって何か役に立ちたいの!」

「キリアは充分役に立ってるよ。家事全般引き受けてくれて、僕達が安心して仕事に行ける環境を作ってくれてる。それだけで充分感謝だよ」


家事全般苦手な3人に変わって、確かに全ての家事を引き受けてるけど、でもでも!このままじゃ家の事以外何もしてない!家と、この森から1歩も外に出てない!


この森、紅の魔法使いが住まう森として有名になっていて、紅の森と呼ばれている。依頼主以外は滅多に森に来ないし、来たとしても、紅の魔法使いを狙う不埒な輩ばっかり。

その不埒な輩も、空間魔法を得意とするケイ先生の家は鍵が無いと辿り着けないようになってるから、迷いに迷いまくって、紅の森から締め出される。


私の事を心配してくれてるのは、痛い程分かる。紅の瞳は呪われてると迫害されてるし、不埒な輩は、そんな紅の瞳の持ち主に何をしても良いと思ってるから、人身売買の為に捕まえて、奴隷にしたり、ただただ痛め付ける為の玩具にしたり。


でもだからと言って、家や紅の森から1歩も出さないのはどうなの?!やり過ぎでは?!


「まぁ本当は買い物くらいは行かせてあげたいんだけどねー」

「うっ…買い物は…」

ケイの台詞に、キリアは言葉が詰まった。


自分でも分かっています。買い物に行けない理由。

危険が少ない買い物には、仕事よりも本当は行きやすい。にも関わらず、今日も私は買い物に行けなかった。




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