表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/96

海辺の街コムタ12






「私の為に悲しんでくれてありがとう、クラさん」

でも私には、2人はちゃんと、人間に見える。だって、私の為に怒ったり、優しくしてくれたり、普通の人間と変わらない。

私だって、ちゃんと人間のつもり。


「……キリアは優しいね」

クラはそう言うと、優しく、キリアの頭を撫でた。




海辺の街コムタ。

名前の通り、海に近い街で、潮の香りのする港町。基本、レンガで出来ている建物が多く、昼間は、人が行き交うこの街も、夜、寝静まった今は、人の姿は見えない。

街灯だけが、暗闇を優しく照らしている。


「僕達はリクの話の裏付けも兼ねて、リクのお母さんがやってる喫茶店の様子を見に行こう」


そう。あれから、休み間も無く、私とクラさんは、依頼主であるリクの住む海辺の街コムタに来ていた。因みに、ここでも、空間魔法を得意とするケイ先生の転送魔法で、コムタまでひとっ飛びだった。凄い万能。

人の命がかかっているので、迅速に行動する。


「ジュンさんはヒゲールの方に行ってるんですよね?一人で大丈夫でしょうか…?」

ジュンは一人別行動で、リクの母親の命を狙っている悪者!ヒゲールの様子を見に行っていた。明らかに、こちらの方が危険度が高い。

「大丈夫だと思うよ。流石に、先生に怒られたばっかりだから、無茶な事しないと思う」

「気付かれたりしないかな……」

もし偵察してる事がバレたら、どんな目に合わされるか分からない。何せ、商売の邪魔だからと、殺人を依頼してくる程だ。


「ごめんね。来たばっかりなのに、無茶させちゃって」

「いえ!タダでお世話になるなんてー!私もちゃんと貢献しないとーー!」


きちんとお役に立たないと、ただ置いて貰ってるだけなんて、絶対に駄目!最悪、追い出されない為にも!きちんとしなきゃ!ただ、ここに来てまだ2日目。魔力が強いって証明されても、魔法を使えない私が何の役に立てるかは謎だけど!?


「先生、やって慣れろ。みたいな人だから。とりあえず放り込んだだけだと思う。キリアは何もしないでいいよ。見学だけしてて」

「うん、分かった」

2人は、特にキリアは、フードを深く被り直して、喫茶店の方に向かった。



海辺の街コムタ、喫茶店ーーー。

外観は、古き良き喫茶店の雰囲気だが、その壁には、ペンキで『キエロ』『タベルナキケン』と落書きされていたり、店の前には、生ゴミが巻かれていた。


「酷い…」

「悪質な嫌がされせをされているのは本当みたいだね」


こうして、依頼主の事を調べるのは、紅の瞳の魔法使いを悪用する為や、ただの嫌がらせ等、わざと、違う依頼内容を述べたりする輩がいるかららしい。分かってはいましたけど、随分嫌われてますね、私達。


「街の人達が警備をしてくれてるって話だったけど…」

「流石に夜中までは手が回らないのか、巡回してる最中にされたか、どうだろうねーーあ、キリア、ちょっと失礼」

「へ?きゃっ!」

クラはキリアを抱き抱えると、そのまま、喫茶店の向かいの家の屋根まで、木や、ベランダの手摺りを使い、ジャンプして駆け上がった。

「大丈夫?」

「だだだだ大丈夫です!」

ドッドッドッドッと、心臓が早くなる。


怖かった!急に空を飛んだかの様に景色が変わって、上に飛んで行くから、本気で怖かった!!!


「ごめんごめん。ここの方が安全でしょ?」


そうですね。人に見付かりにくいとは思いますし、安全だとは思いますけど、せめて一声欲しかったです。それにしても、凄いジャンプ力ですね。人一人抱えて、屋根の上に木や手振りを足場を使って跳ぶ。

(これも、魔法の力…?)

どこかしら、何か魔法を使っているのかもしれない。


「あれ?あの人って、警備の人じゃない?」

向かいの家の屋根の上から喫茶店を見ていると、喫茶店の中から、人が出て来た。手には鍵を持っていて、先程見たヒゲールの従者達とは服装も異なり、ラフな格好をしている。

鍵を渡されているとゆう事は、リクの母親の関係者では無いかと推測される。

「本当ですね。中にいて、嫌がらせには気付かなかったのでしょうか?」

「……何か様子が変だね」


そのまま、警備の人らしき人を観察していると、遠くから、数人、ガラの悪そうな男達が、大きな荷物を抱えて、喫茶店に来た。警備の人らしき人と、何やら会話をしている。


バシャバシャ。

男達の1人が、荷物を取り出し、液体を喫茶店周りにばら撒き始めた。

「あれってーー灯油?」

まさか、喫茶店に火事を起こそうとしてる…?!

「……みたいだね」


喫茶店から離れると、男達はマッチを取り出し、火を付けると、油まみれの地面に向かい、投げ捨てたーーー。




「はい。危ないから止めましょうね、おじさん達」

「!?誰だ!!??」


隣を見ると、さっきまでそこに居たはずのクラの姿が無かった。気付けば、男達が投げ捨てたマッチをキャッチし、ふーと息を吐いて、火を消している。


「名乗りますよ。僕は紅の魔法使いの1人、クラ」

クラの瞳の色は、いつの間にか青い瞳では無く、紅の瞳に変化していた。紅の魔法使いを名乗っている今、元の青では無く、自分から進んで紅い目に変えたのだろう。

「紅の魔法使い?!馬鹿な!何でこんなとこにいる?!貴様等は依頼を断ったはずだろ?!」

「やっぱりヒゲールさんのお仲間ですか」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ