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呪われた紅い瞳1







私の名前は、キリア=ラナン。

まだ8歳の小さな女の子。綺麗な長い茶色の髪に、紅い瞳。私はとても綺麗だと思っていたんだけど、この世界の両親は、そう思わなかったみたい。


「キリア!このノロマ!さっさと掃除なさい!」

「…はい、お母様」


比較的裕福な家に産まれたのに、兄や姉達と違い、末っ子の私は両親に罵倒されて育って来た。

いつも小汚い洋服に身を包み、食事は残飯のみ。大きな家の掃除や沢山の洗濯、まるで奴隷のように扱われ、上手く出来なければ、頬を叩かれた。


「ああ!もう!何であんたなんて産まれたんだろう!見ているだけで気持ち悪いわ!!」

お母様は私を見て、いつもヒステリーに叫んでいた。


紅い目は不吉の証。


「おい!出来損ない!さっさと掃除しろよ!」

父親譲りの紫の髪色に紫の瞳をした兄は、私が掃除していたバケツを蹴りつけながら、罵った。

「あはは!なんかくっさーい!ほんとに私達と血が繋がってるの?絶対無い無い!きっもち悪ーい!」

母親譲りの緑の髪、緑の瞳をした姉は、私が両親や兄に罵倒され、暴力を振るわれるのを見ると、嬉しそうに笑い、加担した。

家族の中で私だけが、髪の色も目も顔付きも、何もかもが似ておらす、そんな私を、両親だけで無く、兄も姉も、家の使用人達でさえ、冷遇した。

家族の中で唯一、紅い瞳を持って産まれて来てしまった私は、家族の一員と認めて貰えなかった。



8歳まではそれでも何とか、屋敷に置いてくれていたんだけど、残念ながら本日、薄暗い森の中、遂に1人、置き去りにされてしまいました。


「こんな小さな子を置いていくなんて……酷い親」

現世の家族は、私を愛してくれなかった。除け者にして、虐めて、最後には、私を捨てた。

ーーー前世、私を愛して、育ててくれた家族を思い出すと、毎日、泣きたくなるほど、辛かった。



私は転生者。前世は、日本に住む25歳独身、女性だった。

25歳の時、運転をミスった車に跳ねられて死んでしまったけど、どうやらそれは神様の手違いで、本当は死ぬ予定じゃなかったらしい。


『ほんっっとごめんね!』

土下座で神様に謝罪されたけど、謝罪で許せる程、私の心は広くない。でも、もう死んでしまったものは仕方無いから、受け入れて、私は神様の提案を飲んだ。

その提案とは、地球での私の体はもう消滅してしまい、生き返らせる事が出来ない。その代わりに、転生という形で、生まれ変わらせる事。

その際に、私に特別な力を与え、来世を生きやすく、イージモードにしてくれる。というものだった。


『出血大サービスしとくよ!新しい人生、精一杯楽しんで!』

最後の笑顔で言い放った神様の言葉に、嘘つき。と、声を大にして言いたい。



「何が楽しんで。よ……8歳にして親に捨てられるなんて、お先真っ暗じゃん」

キリアは、はぁっと大きく息を吐いた。

周りを見渡しても木、木、木。段々真っ暗に染まる空。肌寒い空気。


(ーーー詰んだな)


例え街に戻れたとしても、あの毒親が私を受け入れるとは思えない。絶対、また森に捨てる。

お金持ちの家に生まれ変わらせてくれた。までは良いけど、もう少し容姿の事も気にかけて欲しかった。いや、可愛いと思うよ。前世の姿より倍の倍に可愛い。でも、寄りにもよって、わざわざ紅い目にしなくても良かったのに…。

神様には恨み節しか出てこない。

人生イージーモードにしてくれる約束はどうした。今の所、何の恩恵も受けていないけど。寧ろ両親に虐待されて育って、捨てられて、人生ハードモードだよ。


「この世界って確か魔物も出るんでしょー?もー、最悪だよー」


まだ魔物に出会った事はないけど、よく父親に、『お前なんて魔物の餌にでもなってしまえ!』って怒鳴られたから、何となく魔物がいるんだなーって思ってた。


ペタンっと、キリアはその場に力無く座り込んだ。

最早どうする事も出来ない。万事休す。また死んだら、神様に文句の1つーーでは済まさない。神様だけど、力いっぱい殴ろうかなっと思った。

「はぁ…。夢ならここで、格好良い王子様が現れて、助けてくれるんだけどなぁ」

前世ではよく、仕事のストレスを、漫画やゲーム、小説にぶつけていた。大好きで格好良い主人公が、剣や魔法でバーン!と敵を倒していく爽快感や、ヒロインが優しくて儚げで、皆から愛される姿を見るのが大好きだった。

「最後に読んでたの、何だっけなー」

そんな風に現実逃避していると、木々の間から、一筋の光が見えた。

「誰かいる?!」

千載一遇の生き残れるチャンス!

キリアは光に向かって、急いで駆け出した。



誤字報告ありがとうございます!助かります!

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