第6話 怪盗と探偵のとある日常・後編 島根県最強の探偵・凶良たけし
「なるほど…私達の居場所が推理されてしまったか―――だがな…運が悪かったな……今日ここに怪盗は私一人だけではないんだ…」
島風がシルバーをチラ見する…
「怪盗シルバーか……だが。」
ドッ!!!探偵凶良が睦月のいる場所にジャンプする!!!
「なっ――――」
「フフ…一目で推理したぞ…島風の娘…アンタ疲労でロクに動けないようだな。」
「う……ああ………!!!」
「まずは貴様からだ!!!島風の娘ェェェ―――!!!!」
凶良のアイアンクローが睦月に迫る…しかし!!!
「ぐ…ぐふっ…睦月…大丈夫か…?」
「パ…パパ……!!!」
卑劣なる凶良たけし攻撃から島風睦月庇う。そしてたけし笑った…
「貴様が睦月を庇う事は想定済みだった…だからこそ睦月がボロボロになって動けなかったこの日を狙った。すべて推理通りだ!」
そしてどうしたことか…島風の半身が『黒く硬直化』している。
「体が…動かん…貴様も【カースアーツ使い】か…!!」
「如何にも…」
たけしが左手から『黒い電撃』を放ち始める。
「こいつは浴びた物質全てを『究極に硬質化』する。
そして今『硬質化』されたのは貴様の上半身すべて。
呼吸はできるか?出来なければお前の命はあと10秒だ。」
上半身が『硬質化』したということは、内臓も『硬質化』したという事。
島風の呼吸は、完全に止まっていた。
彼は今、肺すらも黒鉄のように硬質化されている。
「フ……フフ……」
「何を笑っている島風?」
「………ロクな死に様は出来んと思っていたが………まさか命と引き換えに娘を守れるとはな……俺も……運がいいな……」
「パパ…」
「睦月……生きろよ……私の事を思うなら…!!!……ぐふ。」
怪盗島風―――――――――――――死亡。
「パ、パパアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
「ハハハ!!!気持ちがいい!!怪盗を殺すのは気持ちがイイ!!達成感がある!!!!!!これが探偵のあるべき姿じゃろがい!!!!そして次は貴様だああああああああ島風の娘ェェェーーーーー!!!」
ドンゴン!!!
「何……!!!テーブルが私に向かって飛んでくる…!!!何だこのラーメンは……熱いぞ!!!!!」
シルバーがテーブルを蹴り上げたのだ!!!そしてそれと同時にシルバーは腰のリボルバーを探偵に向け――――
ワン!!一発撃つ!!!
しかし―――――――――――――
デュン!!!弾丸が跳ね返りシルバーの脇腹を貫通する!!!!!!!
「う……グウッ……!!」
「聞いてなかったのかよ!!俺の能力の熱い解説を!!!!俺のカースアーツ【ブラック・サンダー】は浴びた者全てを
『究極に硬質化』させる!!硬質化した物体は絶対に砕けない!!!たとえ核ミサイルが落ちようと!!!地球が爆発しようとなァァァ―――――――!!!!」
「こいつ…探偵として強い……!!!」
「自分の皮膚の表面を『硬質化』させ…弾丸を跳弾させた!!!!
この俺に一切の物理攻撃は通用しない!!!」
「くッ――――睦月……逃げるぞ!!掴まれ!」
睦月がシルバーに掴まる――――が!!!
「シルバー!!!」
「【ブラック・サンダー】!!!怪盗シルバーの腕を『硬質化』しろォォォ――――!!!」
「うッ……」
シルバーの右肘から先の腕が『硬質化』する…つまりそれは右腕が動かなくなるという事!右手に持っていた『リボルバー』も握れずに落としてしまうという事!だが間一髪睦月を背負って逃げることは出来た!!!
睦月を背負ったシルバーが長い廊下を駆け抜ける!
「どうするんだ!!!あの探偵の瞳を『石化』とか……」
「奴は『サングラス』をかけているから私の能力の効き目は悪い。石化できたとしても砂粒程度の大きさだ。」
「じゃあどうすれば…!!」
「私の能力は『水場向き』だ。
この家の庭には和風な池があっただろう、そこまで奴をおびき寄せる!!
走りながらでは奴も銃は打てないはずだ!行くぞ!」
だが――――!!!
「ぎゃあああああああああ痛いッッ!!」
「どうした睦月!」
「ナイフのようなものが飛んでくる!!」
「なんだと!」
ヒュン!!!ヒュヒュン!!!探偵が何かをシルバーに向かって投げている。
「【ブラック・サンダー】で『硬質化』した物質は最硬だ。たとえ草であれ硬質化すれば鋭利な投げナイフとなる。」
草だった!!!!!!
「庭に出た!!池まで走るぞ!!!」
タッタッ
「逃げられると思うな!!!走るスピードは女より身長184㎝の男の方が早い!!そして貴様は人を背負っている!!!」
探偵の実際の身長は180cmなので身長184㎝はサバを読んでいる。だがそんな事はどうでもよかった。
「そして俺は貴様の落とした『リボルバー』を拾っていた!!!撃ち殺すぞ死ね!!!!!!」
「睦月が危ない!!!」
シルバーが睦月を左に放り投げる!!! ダン!!!
その瞬間銃弾がシルバーの左腕を貫く!!!!!!
「グゥゥゥ……!!左腕も使い物にならなくなったか…!!!」
「シ…シルバー!!!」
ザボーン!!!!!シルバーが走った勢いで池にそのまま突っ込む!!
「シルバーをリボルバーで滅多打ちにして撃ち殺し達成感と言う気持ちよさを得る!!!!!!」
ダン!!!!!!
「【ストーン・トラベル<石の旅>】!!!!池の水を『石化』しろォォォ―――――!!!!」
ガキン!!!!鈍い音!!
シルバーを囲うように『石化』したのは周囲の池の水。
これでは銃弾は通らない!
「これでは銃で貴様を殺せんな!!!!それでは睦月を銃で撃ち殺して達成感と言う気持ちよさを得る!!!!!!」
「無駄だ……」
「う…なんだ…目にゴミが…!!うあああああああああああああ!!!」
ダン!!銃弾はあらぬ方向に飛んでいった!!!
「サングラスをかけてるから…瞳を完全には石化出来ないが砂ぐらいは作って貴様の攻撃を妨害する程度ならできる………!!!そして……!!!!」
「た…弾切れだ……くそおおおお!!!能力で直接殺すしかないなァァァァ!!!!!!」
咆哮。黒い雷。凶良が怒り狂う。
能力で窒素死させるため、一歩一歩、睦月に近づいていく。
「睦月聞こえるか!!!!」
「シ…シルバー!!私は…!」
「いい!!限界を振り絞れば貴様にはあと一回ジャンプできる程度の力はある筈よ!!!父親の仇を討ちたければこの私の1m前方程までジャンプするのよ!!!それであの探偵を倒す事が出来る!!!!」
「……!!!」
「おおのれええええええええシルバああああああああ!!!!」
「ッ…!!」
「早く!!!奴が目をぬぐっているこの間に!!!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
睦月ジャンプする!!!!!!!そして………着地した時に何か変な感触があった!!!
「こ……これは……!!!シルバー、貴方…池の水の一部を『シーソー』の形に石化させていたんだな!!!
私が今思いきり踏んだのがシーソーの上がっている部分だから……!!!シルバーの座っているシーソーの下がっている部分が上がることになる……」
ガゴン……!!!シーソーが動き!!!!
「ありがとう睦月、これで奴を倒せる!!!」
「つまり……シーソーが上がるパワーを利用して大ジャンプが出来る!!!!」
世界のシーソージャンプ飛びのギネスは4m程度と言われているがシルバーはここで6mもの天を舞った。
そしてそのまま……
「ああああああああ!!!!!シルバー!!!!!!!!シルバー湖にいる時に自分の脚付近の水を『石化』させて斧の刃の彫刻を足の裏に造っていた!!!!それで奴の顔面を叩き割る気だな!!!」
「怪盗シルバアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
ガン!!!!!!
シルバーの足の裏の斧が凶良の顔面に炸裂する…だがしかし!!!
「フフフ……それでも無駄だ!!!俺の顔面を【ブラック・サンダー】で『硬質化』し防御した!!!
そして、貴様の脚を掴んだぞ!!!!貴様の脚を『硬質化』させて達成感を得る為によォォォォォ」
ビリリリリリ!!!!!!!シルバーの脚が硬質化し黒く変色する!!!
だが――――
バシャン!!!
「え…水……俺の顔に水がかかって―――――――」
「私の足の裏の斧は……池の水を私の能力で『石化』させたもの――――
つまり『石化』を『解除』してしまえば……石の斧は池の水にまた戻りお前の顔面にかかる!!!
そしてそのかかった水を再度『石化』させてしまえば……」
凶良の顔面にかかった水が『石化』する!!!!
「貴様の顔面を覆う石のマスクの出来上がりって訳だ!!!!!!」
凶良の顔面を石が覆い、呼吸を遮断する。
「ふぐもおおおおおおおおお!!!!」
「や……やった……シルバー!!!このまま奴は窒息死する!!!」
「おおおおおおおおおおおおお!!」(まだだぜェェェェェ!!!!!!)
凶良背中から30㎝ほどの巨大な刃を取り出す!!!主にハンティング等に使用されると言われる……巨大な『ボウイナイフ』!!!!
「ナ……ナイフをどうする気だ…!!!ヤツ!!!えっ……自分の顎に刺した!!!!!!!!」
ジョッブッギィィィ―――――――――――ン!!!!!!!!
「ふごごごおごごごごごごごごおごごごごごごごごおががががががががががががががががががががががががが!!!!
がああああごごごごおごごごおごごご!!!ふごおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
(あいにくシルバーは脚と右腕を『硬質化』され、左手を銃で撃ち抜かれてロクに動けねェんだ!!!!
石化した顎を切り取って呼吸口を取り戻せばよォォォォ!!!勝機は取り戻せるってもんだぜェェェェェェ!!!)
「貴様が顎を切断して呼吸口を取り戻すのをこの怪盗シルバーが予想してないと思っていたのかァァァァァァ!!!!」
シルバーが脚を捕まれて0.3秒経過!まだ怪盗シルバーは飛び蹴りの耐性で探偵凶良に足を掴まれてという状態になっている!!!
怪盗シルバー全ての力を振り絞り、持っていた『ワインボトル』を凶良の『硬質化』した頭で叩き割り、中のワインを大量にぶちまける!!!!!
「ワインを『石化』する!!!!!!!!」
「あががががががががががががががががががががががががががががががががががががおががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががが!!!!!!!!!!!」
(オレが自分の顎を切断するのが先か!!!!!!!!!ぶちまけたワインが俺に掛かって俺の動きが固定されるのが先か!!!!勝負だあああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!)
そして――――――――――――
「あがが――――ッッ!!!」
「私の方が……一歩早かったようだな……」
「ごがが……ごおごごごごおごごごごごごご………ご!!」
(認めて…やる………俺に勝って達成感を得るがよい………!!!だが……この世界には俺より強い探偵など星の数ほどいる………!!!地獄を味わえ………!!!!!)
「死ね。そろそろ窒息する頃だろう……」
「おご!!」
―――――――――――――――――――島根最強の探偵・凶良たけし、死亡。
………
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闘いを終えたシルバーと睦月は、手当てを済ませ、島風の死んだ部屋に来ていた。
「パパ……今すぐ弔ってあげるからな…」
「触るな睦月、それは……許されない。」
ピポパポピポピ
シルバーが携帯端末を操作し、誰かと通信を始める。
「もしもし、【島根死体処理センター】犯罪者窓口ですか」
「死体……処理……?」
「ええ。お願いします。」
ピッ、シルバーが電話を切る。
「なっ……パパの死体をセンターに任せる気か!!!処理って……!!!」
「――――睦月!!!現実を見るのよ!!!」
「ハッ!!!」
「これが――――探偵と怪盗の日常だ。」
「こんな…こんな残酷な――――シルバーは―――辛くないのか……」
「『怪盗』は自由だ。だが自由には代償が伴う。辛み、悲しみ……でも私はその自由が楽しくてやめられないんだ。」
「……」
「睦月、父の事を思うなら、お前は強く生きろ。そして誰よりも自由になれ――――」
「私は……私は………!!
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…………!!!!!!!」
―――――――――――――凶良探偵による島風家の襲撃。
死亡者…凶良たけし、怪盗島風