第56話 想天空ステレオタイプ③
「殺し合いはいいよなぁ…?
IQを駆使し、アドレナリンをドバるこの感触…
戦いには性行為以上のエロスがある。」
「ボディビルのCMの方が…まだエロイわ。」
【ホワイト・キネシス】の槍触手が伸びて、シルバーに襲い掛かる!!!!
シルバーもそれに対抗し、【デモニック・スカーフ】を発現させるッ!!!
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!!!!
ドバババババ!!ドバババババ!!!!!!!!!!!!
ガキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!
うおおおおおおおおおおおおお4つの短剣と槍が弾き合う!!!
まるで時代劇の殺陣のように!!!まるで時代劇の殺陣のように!!!
ドンゴン!!!
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
ガキンガキンガキンガキンガキンガキンガキンガキン!!!!!
「フフ……やはりと思ったが僅かとはいえ貴様の触手の短剣の方が素早いか。
なら――――――――これは…………」
百賭が【デモニック・スカーフ】と打ち合いながら槍先をシルバーの耳元へと持っていく。
そして―――その瞬間……
ドンゴンッ!!!!!!!!
爆発した!!!槍先が爆発音とともに火を噴いた!!!
(……やはり―――槍先が爆発するのか―――!!
しかし今のはマズイ――直接は当たらなかったが、爆発音で、耳がおかしく…)
これが【【ホワイト・キネシス】】の能力!!爆発する4本の槍!!!
「Aieeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!」
今度は百賭が【ホワイト・キネシス】の槍先をシルバーの腹付近に持っていき―――
ドンゴンッ!!!!!!!!
爆発で吹き飛ばす!!
シルバーの体が吹き飛び―――ビル内の廊下に投げ飛ばされるッ!!
「ガッポッ……!!!!!」
「百賭<"B"YAKKA>のBは爆裂<Burst>のBだ。」
その百賭がビル内に入ってシルバーの前に立つ。
「くっ………!!!」
シルバーが立ち上がるがその瞬間――――
ドンゴンッ!!!!!!!!
前腹の一部分が破裂し、爆発するッ!!
そしてシルバー更に後方に数十mほど吹き飛ばされるッ!!!
そして背後にあった壁を突き破り、2Fから地面に墜落する!!
「ぐおおおおおおおおおおお!!馬鹿な、槍はまだ……!!」
「【デティクティブ・マスター】先ほどのカースアーツによる爆発の記録を再生した。
コンボ成功…満点ハイスコアだッ!」
ドオオオオオオオオオーーーーーーーーーーンッッ!!!
シルバー仰向けに倒れ痙攣する。
「知と覚悟の結晶見せてもらった…
だが、この俺には及ばん…
世界最強のカースアーツ使いであるこの俺にはな…
だが勝った!興奮もある!」
百賭走り出す!!
この走りは、2Fから飛び降り!!!
シルバーの死体を確認し、【D・D・F】を回収する事を目標とした走りだ!!!
「確信もある!!!」
「ちょ―――アンタ!!何の騒ぎ!?」
洗脳されていないおばさんが爆発音に驚いて近くのドアから出てくる!!!
しかし、百賭はホワイトキネシスを使ってそのおばさんの喉を一つ突き…
ドンゴン!!!!
爆裂させる!!
「ばああああああああああ」
「俺の作り上げる絶対正義の未来を信じてくれっ!!!
ずあああああああああああああああっ!!!!」
百賭2Fから地上に下り、シルバーの死体を確認するが、
無い!!!!!!!!!
「血痕がある―――――ビルの中に再び入ったかッ!
まだ動けるとは……
戦いの中で、人は何故肉体の力を限界以上に引き出せるのか…!?
俺は知らん…!!」
百賭再びビルの中に入る!!!
「面白い………
アドレナリンバリバリで精神が勃起している…」
ドンゴン!!!
百賭、左側の壁を【ホワイト・キネシス】で爆破し、移動するッ!!!
「は!!!」
ドンゴン!!!
百賭、天井を【ホワイト・キネシス】で爆破し、移動するッ!!!
「うわっはっはっはっはーー――――!!!!!!!」
ガガガガガガガガガ!!!!!!!!!
百賭が走りながらビル2階の壁や天井、床を無造作に爆破していく。
「このビルそのものをぶっ壊すぞーーーーー!
さあどうする怪盗!!どうするシルバー!!」
瞬時―――――――――――――――――
シャキンッ!!!!!!!!!!
3本の黒い斬撃が百賭右側の壁を突き破り、百賭に襲い掛かる!!
「釣れたッ!!!【デモニック・スカーフ】…シルバーは2m以内!!!」
【ホワイト・キネシス】は【デモニック・スカーフ】に対し、
スピード面でやや遅れをとるが、防御に徹していればシルバーの斬撃を総べて受け止める事など造作も無い。
そしてその槍先は、刺した対象を確実に爆裂させるほどの威力を持つ。
「壁を破壊した。さぁ出てこいシルバー。」
右側の壁を破壊したが―――シルバーの姿は見えない。
上方向を見ると、ひし形の穴が開いていた。
「かくれんぼか―――フフ、百賭10歳、初めての体験だ。
だが、その穴の中に無鉄砲に突っ込むのは、賢者のやり方では無い。」
百賭が爪先立ちになり、一切の音を出さず2F廊下に脱出する。
(最初にビルに入った時、脚に攻撃を受けてしまったのは、
立ち止まっていたからだ…
なら音を出さず、忍者のように走り抜けていれば、
貴様はこの俺を確実に見失う………)
百賭が階段を使い、3Fまで駆け上がる。
しかし―――――
天井から3本の黒い斬撃が飛び出してくる。
「邪ぅお!」
百賭、ローリングでそれを回避する!!
「なんだ、今の正確な攻撃は…」
百賭立ち上がるが――――――――
次は下側から斬撃が襲いかかる!!
「ぬけぬけッ!!!!」
百賭ジャンプして指の力で天井を掴むことによって攻撃を回避する――――
「――――正確すぎる攻撃だ!!
奴は俺の位置を正確に把握している!しかしどうやって……」
斜め上後ろから黒い斬撃が3本襲い掛かってくる!!!
しかし百賭それをガードする!!
「わからん、わからないが―――――わからんくていい!!!!」
百賭辺り一帯に槍を突き刺し、爆破させまくるッ!!!!
天井も!!!床も、壁も、すべて崩れ落ちるッ!!!
「さあ出てこい!!俺の前に姿を見せろッ!!!」
百賭が落下しながら、正面前方上、3m先に見える影を確認する。
シルバーだ。4Fの廊下に立って、右手に電話を持ち―――誰かと通話している。
「…通話、誰と通話している?睦月か?だが奴の蟻は何処にも見えない…」
「予想通り。流石ロルと言ったところか、遠隔からこの私に奴の正確な位置を教えてくれた…
そして今奴は、爆破の反動で槍の攻撃をする事が出来ない…」
「距離3m、【デモニック・スカーフ】の完全攻撃範囲外。
御前は俺に攻撃することは出来ない。
だが、奴の自信に満ちたあの顔はなんだ―-――」
「【Demonic Scarf-デモニック・スカーフ-】」
シルバーが【デモニック・スカーフ】の触手を操作し、
4本の触手を百賭に向けて振り落すッ!!!
「しまった!」
百賭が一歩身を引き、頭を右腕でガードする。
しかし瞬間―――――――自分の右腕が自分の体から離れ宙に舞っていた。
「ク―――――――」
「プラス【ストーン・トラベル・ブレード】。
水道の水を石化させつくった刃を【デモニック・スカーフ】の剣先に装着し、リーチを伸ばした。」
【デモニック・スカーフ】の黒い剣に、灰色の剣がくっついていた。
「【デティクティブ・マスター】!!!」
「そしてッ!!!!」
百賭が【デティクティブ・マスター】を出現させるより前に、
シルバーが3Fの天井を蹴り、百賭に向かってジャンプする!!
そして二人は密着する!!!
「こうやって密着すれば、お前の『【デティクティブ・マスター】』と
【ホワイト・キネシス】の爆破は無力化できる。
密着している私を範囲攻撃で倒すという事は
自分自身をも倒してしまう事になるからな…
あの弯曲十字のゴールドが生き残っている状況で、
深手を負う事はアンタだって避けたいでしょ?」
「馬鹿があああああああああああああ!!!!」
瞬時、記録の再生によって現れた男が、
手に持った槍でシルバーと百賭の胴体を貫いた!!!!!
「ぐえッ…!?なッ………馬鹿なッ……こんな事ッ!!!
貴様も大ダメージを!!!」
「確かにダメージは同じだ、だが精神状態はどうかな?
俺は覚悟して今の攻撃を受けたので、すぐに次の攻撃に移れるが、
お前には一瞬の精神の戸惑いがあるッ!!!」
百賭とシルバーの密着状態が解除され、二人の間に1m程の距離が生まれる!!
「たかが一瞬!!されど一瞬!!!
【ホワイト・キネシス】!!俺の方が速い!!!」
「【ストーン・トラベル】ッ!!奴の瞳の粘膜を石化しろォォォォーー!!!」
百賭の瞳の粘膜が石化される!!
「こんなものは意味が無い―――私は視覚だけに頼らない………」
「そういうと思ったよ、だがあの時と同じだ……
あの時のロンカロンカのように、貴様は一瞬だけ『怯んでいる』ッ!!!!」
シルバーが百賭を蹴り飛ばすッ!!
「魔蛾羅艶ぼあおあンんんんッ!!!!」
シルバーと百賭が、2Fまで落下する。
「【ストーン・トラベル】、傷口を止血する。」
シルバーが、倒れている百賭けに向かって歩いていく。
「アンタの能力、『時の記録』と『爆破の槍』…
どうやら二つ同時には発動するのは難しいらしいわね。
能力の発動に必要なリソースが足りていないと言ったところか。
同時に発動させたもそれぞれ50%程度の力しか出せない」
「…………【デティクティブ・マスター】時を再生……」
百賭が立ち上がり自分の上方に円盤を出現させる―――
しかしその瞬間シルバーが銃を使って円盤を弾き飛ばす!!!
そしてシルバーは百賭を殺さずこう語りかける。
「―――――アンタ、私の両親を殺した、夜調牙百賭では無いな。」
「フッ、何を根拠に……」
「その体は確かに、『夜調牙百賭』そのものだ。
だが、その肉体の中に入っている精神は、あの女では無い。
私はアンタに両親を貴様に殺されてから、アンタの事を必死になって調べていた。
活躍やインタビュー、生まれまでを、徹底的に………。
そして一つだけ、分かった事がある………
それは、私の両親を殺した数ヶ月後―――
『お前の性格がまるで別人のように変化している』という事。」
「………」
「そして今日、実際にお前に会って、エクスの発言を聞いて、
お前が【二重能力者<デュアル>】だと知って、
お前の数々の【矛盾】した発言を聞いて、私の一つの推理は確信へと変わった。
【今のお前は、私の両親を殺した後、百賭自身が作りだした――――
新たなる人格】だ!」
「フフッ…フフフフッ……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
24年前、シルバーが誕生する4年ほど前。
怪盗組織『ウィザーズ』と探偵協会『マッレウス・マレフィカルム』の対立が、今よりも激しかった昭和の時代。
その少女は、天才探偵を生み出す研究の過程で、この世界に生み出された。
その少女は、とても高い身体能力と、知能を持っていたが、
精神力が弱いという致命的障害があったため、
研究者たちからは失敗作と呼ばれていた。
しかし、精神が弱くとも、その高い知能と身体能力、そして強い正義感を持って、怪盗に敵対する探偵として生きる道を選んだ。
10歳を迎える時には、彼女は、同僚から、若き天才探偵と呼ばれるまでになっていた。
将来有望、いずれ未来を変える少女、彼女を見る誰もがそうだと思っていた。
だが!転機が訪れ、彼女の心はガラスのように砕けてしまう!!!!
初めて怪盗を殺した―――あの雨の夜!!!
「これまで、一度も思った事は無かった。疑おうとも思わなかった。
でも―――今初めて疑問に思ったんだ………」
「本当の正義……『絶対正義』は、何処にあるんだろう…
駄目だ―――私には見つけられない―――!!」
当時『マレフィカルム』には、強力な『二重能力者』を生み出すための、
とある『闇の研究装置』があった。
人間に新たなる人格を後付けする、実験中の研究装置だ。
百賭はそれで、自分自身で性格を設定した新たなる人格を自分に植え付けた―――
『全ての人間に好まれるような絶対正義』『決して絶望しない強い精神力』
『誰よりも正義感の強い心の持ち主』。
新たなる人格の名は―――【エンゲル<天使>】。
百賭は、肉体の主導権を、新たなる人格エンゲルに渡し、
自分自身は心の中で閉じこもる事に徹した。
………余談だが、マレフィカルムの人格を植え付ける実験装置は、失敗作とされていた。
人間の精神学の研究が進んでいない遥か昔に作られた装置であった為、新たなる人格の性格が極端になりすぎてしまうからだ。
案の定、エンゲルも暴走した。
特に、『全ての人間に好まれるような絶対正義』という設定が暴走を起こした。
彼女は、自分自身を最高の正義のシンボルとするためなら、あらゆる手段を択ばない人格となる。
マッチポンプ、反対派の皆殺し、金を使った偏向報道。
当時の日本マレフィカルムの探偵王は、急成長するエンゲルの人格を恐れる!!
「この無能共が!この腐れ切った正義をいつまで続ける気だ!?
俺の絶対正義に反対するというのか!?
怪盗との対立をいつまで続ける気だ!?」
「何が絶対正義だ!!!この俺たちはそんなもの絶対に認めないよおおおお!!」
「ならばお前らを皆殺しにすれば俺は絶対正義だあああああああああああ!!!」
彼女は自らの反対派を総べて皆殺しにし、
三羅偵と新生マレフィカルムを作り上げ、乱世探偵冥王としての日本を統一する。
そして―――――――-------------
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――PM1:52
「本当なら、お前の心の中に閉じこもっている本当の百賭を、
引きずり出してやりたい。
だが―――どうあがいても出てこないようね。」
なら、仕方がない。」
シルバーが歩き出す。
二人の距離――――約2.5m
「二つの道があり、お前にはうちひとつを選ぶ権利がある。
ここで惨めに死に果てるか、もしくは手足をもがれ、
肉体的に再起不能の状態になって生き延びるか――――」
シルバーが、百賭を見おろし、眉間に向かってリボルバーの銃口を構える。
「Dead or クソAlive。好きな方を選びな。」
Vaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
VAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
VAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
| / . ∧. . ∧. . ∧. . ∧. . ∧. . ∧. . ∧. . ∧. . ∧.
|/ /-ヘ、 /-ヘ、 /-ヘ、 /-ヘ、 /-ヘ、 /-ヘ、 /-ヘ、 /-ヘ、 /-ヘ、
「【ホワイト・キネシス】……奴を爆破―-――!
濡ぶ!!!!!!!!!!」
「!?えっ―――――」
百賭が【ホワイト・キネシス】を出現させた瞬間、
彼女の腹が何か銃弾のようなもので撃ち抜かれる!!!
困惑のシルバー!!
「馬鹿な―――私は、まだリボルバーの引き金を引いていない!!」
風を切る音が聞こえる!!!
何かのエネルギーが二人の周りを「飛び交っている」!!
「………ついに来たか―――フン、漁夫の利を得る為、ここで私たち二人を始末するつもりだな―――」
達観する百賭をよそにシルバーが【デモニック・スカーフ】を出現させる―――
しかしそれと同時に右足が何かに撃ち抜かれる!!!何かとは…
「なっ、じゅ、銃弾か―――!?
馬鹿な―――――――どこから狙撃しているというのだ!?」
「エンペラー・ゴールド……そして、四天刃…『最後の一人』―――――」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――PM1:52 岐阜県、シルバー達のいる場所から300m離れたビルの屋上。
最後の四天刃エメラルド・スペードが、『スナイパーライフル』を構えている。
「見える―――見えるぜ―――
建物の中にいるから目で見ることは出来ないが手に取るように見える。
シルバーの嬢ちゃんは今、発射した銃弾の軌道を曲げる能力を持つ、
【クイーン・オブ・ヘルスナイパー】の銃弾で足を打ち抜かれたようだ。」
エメラルド・スペードにやりと笑う。
「さて、暗殺だ。全員、この場で始末させてもらうとしよう。
そしてゴッフォーン様の悲願を………」
引き金を―――引く
「達成させてもらうぜっ!!!」
銃弾が発射されるッ!!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
同時刻―――――ビル内2Fのとある部屋
重症の百賭とシルバーが、銃撃を警戒している。
「フフ…まったくずるがしこい奴だ。
弾の軌道を曲げて遠距離からの暗殺を狙うとはな…」
「………クッ……」
「だがこれは、お前をここで倒す絶好のチャンス。
さぁ、戦いを続けようではないか。
はーーーはっはっはっはっは!!!!」
「くそお…!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――つづく。
―――――――――――――岐阜市での【D・D・F】争奪戦
探偵協会 【D・D・F】所持数―――――1
シルバー/睦月/エクサタ 【D・D・F】所持数―――――2
セクンダー・グラン 【D・D・F】所持数―――――2




