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ディープ・デッド・フィラー  作者: とくめいきぼう
第五章 ロスト・マイ・ハート&キャッチ・マイ・ドリーム
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第55話 想天空ステレオタイプ②

最期の日―――PM1:44 とあるビルの2階、密封された一室。


 睦月とエクサタが座っている……


「ビル入口に、複数の『蟻』を配置し、警備も万全。

 ここならいざと言うときは窓から外に逃げれる。」

 

「……(俺やニーズのような事にはならないという事だな……)」


「………ゴメン…悪い事思い出させちゃったかな。」


エクサタが首を横に振る。


すると睦月は室内で日傘をさした。その陰の中から紫の蟻が無数にわいてくる。

挿絵(By みてみん)

「本当なら、シルバーの近くにいてやりたいんだけど……

 レンガ・ウーマンと違って百賭は頭がキレる。

 私達がいるとかえって足手まといにしかならない……」


 エクサタが睦月の方を見る。


「遠距離からのサポートをしろと言っていたが、付近の蟻は全滅。本当に隙が無い…」


「……

(見習い怪盗睦月……今の貴殿は、先ほどの俺と同じだ。

 最大の仲間の死を前にして、何も出来ずにいる。

 俺にできる事は何だ……オレが、彼女やシルバー殿にできる事……)」


「ん?どうしたんだ、そんなにジロジロ見つめて。」


 ガッ!!!エクサタ睦月の手を握る!!!


「(/////◎△◎/////)~~~~!?なっ、ななっ、なに!?!?!?!?」


「……

(考えても仕方がない………睦月殿、とりあえず貴殿は必ずこのエクサタが

 守り抜いて見せる………それが、ニーズやエクス殿に対する最大の敬意…)」


しかし―――――――――


ピキィィィンッ!!!


「―――――――!!!エ、エクサタ君、今、玄関に誰かが……」


「………!!!」 


 睦月がエクサタの掴んだ手を振りほどき目を閉じてその場にしゃがみ始める。


「い、い、い、いつまで握ってるんだ……もう……と、取りあえず確認だ、誰だ、誰が来たんだ………」


「………」


 エクサタが足で床を数回叩いて衝撃エネルギーの塊を出現させる。

 しかし睦月がそれを制止。


「いや、違う、敵ではないと思う。もしかしたら――――――――味方かも。」


「?」


「そういえばシルバーが、明日、本来の博物館襲撃決行の日の前に、

 "彼"を呼んでおくと言っていたな。」


「??????????????????????????」


「取りあえず、エクサタ君はそこで待ってて。」


「……?」


 睦月が部屋から出る。エクサタもそれを追いかける。

 そして、睦月の手を握ろうと手を伸ばす。


「……ついてくるんだ……でも、手は、つかまないでほしいな、びっくりするからさ。」


「……」


 睦月とエクサタが階段を使って1階まで下りる。

 そして階段を降りた視線の先に――― 一人の金髪の男が立っていた。

 手に弁当箱サイズの包みを持っている。


「やっぱりアンタか……昨日シルバーが言ってたんだ。

 【D・D・F】が絡む闘いならとある強力な助っ人怪盗を呼びたいって。

 名は――――【怪盗ロル】」


 ロル、それは新潟宝石博物館やロンカロンカ戦でシルバーをサポートした怪盗。

 無線サポートを専門としており、半径150m以内の情報を正確に取得できる宝石の形状をした【装備型カース・アーツ】…【ザ・レーダー】と契約している。


 金髪の男が2歩、3歩と歩いていく。


「私は雇われた運び屋です。あのロルさんにこの包みをお前たちに渡すようと頼まれてるだけの運び屋…」


 互いの距離が2mになったところで男が包みを床に置き、睦月たちに背を見せる。


「故に、関わりません。ここで起こっている戦いにはこれ以上一切干渉しないつもりでございます。」

「それでいいです。あと、貴方があの弯曲十字の能力で操られていないかの証明が欲しいですね。」

「【カース・アーツ】を見せればよろしいですか?」


 男が背を向けながら左手を上に向けると。

 PON!

 何もない場所から[?]と書かれた箱が出現した!!


「―――ありがとうございます。それで十分です。」

「さーて今日はなにがでますかね…あっと、中身は見ないんですか?」

「時間が無いので…」

「フフ、それでは、ご健闘をお祈りします。」


 男がビルを出て、近くに止めてあった血まみれの車に乗車し洗脳兵を轢殺しながら場を離れる。


 それと同時に、エクサタがすぐさま2m離れた位置から【センチビート】を発動し、遠隔で包みを破る。

 包みの中には、透明のガラス製の箱が入っていた。

 透明の箱中に、『翠色に輝く宝石』と端末番号が書かれた紙が入っているのが見える。


「本物だ。シルバーの言っていた情報と完全一致する。」


 睦月が携帯端末を取りだし、紙に描いてあった端末番号に連絡をする。


<ガチャッ…>


「―――!(つながった……)」


 端末の先から、不気味な声が響き渡る。


『怪盗睦月、だな。安心しな、嬢ちゃん(シルバー)の状況は知っている。』


「怪盗ロルさん―――ですか。(無気味な声だな…ボイスチェンジャーを使っているのか?)」


『ああそうだ。ちょっと疑心暗鬼になっているようだからオレが俺であることを証明してやるぜ。

 アンタから7時の方向52㎝先には軍服と軍帽を被った男がいる。

 両手を服の中に隠していて、片足立ちをしているようだ。

 今アンタのいるビルは八階建て。中に人間はほとんどいない。』


 睦月がエクサタに視線を向ける。


「――――さ、流石です。サポートをいただくのは、明日からとなっていましたが、今日からでも大丈夫でしょうか?」

『問題ない。嬢ちゃんが危ないんだろ?前金2500万を支払ってもらっているから協力できるのは―――25時間だ。』


 一時間百万円の男。


「充分です。」


『追跡目標は?』


「シルバー。今シルバーは探偵王の百賭と交戦してる最中なんです。近くに行ってサポートしてあげないと。」


『百賭ねえ……あいつもとんでもないやつを相手にしてるな。』


「……」


『まず言っておくが、俺のカースアーツ【ザ・レーダー】の能力範囲は、

 お前の側のガラスケースの中にある宝石の位置から【150m】。

 其れ以上離れたものはこちらからは確認できない。

 そして、御前達の近くにはシルバーも百賭もいないようだな。』


「まず、近づかなくてはいけないと。」


『そうだ、その宝石を持って、シルバー達のいる場所に向かえ。

 俺だって嬢ちゃんの事は好きだ。ここで死なれちゃあ困る。

 ――――ん?どうした、そんな暗い顔をして。』


「いえ、なんでも…」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――PM1:43


 2階が崩壊したビルの前で百賭とシルバーが互いの間合いを計っている。


(夜調牙百賭…テレビで見るよりもずっと……印象の良い顔をしてやがる。

 誰にも好かれるようなその、笑顔。

 だがお前はどんな顔をしながら、自分の正義の為に人を殺してきた?

 どんな顔をして、私の父や母を殺してきた?

 何年の犠牲――――何人の犠牲―――。)


 シルバーが路地裏に身を隠す!!


「―――――――――クックック……」


 百賭が円盤を出現させる。


「円盤か、だが範囲外、25m―――――何をするつもりだ…」


 百賭がポケットから黒い宝石を取り出す。


「!!ッ……それは―-――――」


 それは、願いを叶える宝石【D・D・F】。

 その5つのうちのひとつ。


「我々は10年前から2つの【D・D・F】を所持していた。

 ゴールドのやつに【カース・ミラー】を報酬に【D・D・F】の捜索を依頼された後は4つ。

 つまり俺には、4つの【D・D・F】を揃える機会があった。」


 百賭が手袋越しに指をパチンと鳴らす、すると――――

 その瞬間、3つの【D・D・F】が百賭の周りを飛び交う。


「なっ……!?」

「【深き闇を再接続する――――繋げ】ッ!!!」


 言葉を発したと同時に百賭が手に持っていた【D・D・F】と宙に舞う3つの【D・D・F】が

 黒色の輝きを放ち合体する!!!

 そして―――――――ズサアアアアアアアアアアアッッ!!

 シルバーの上着が何か重機のような力で引っ張られる!


 【深き闇を再接続する…繋げ】。

 それは5つの【D・D・F】を完全体に合体させる古代アトランティスの暗号。

 

「なっ……なッ!!!まさか……私の持つ2つの【D・D・F】が引っ張られているッ!?」


「【D・D・F】の欠片を3つ揃えた時の『記録』を『再生』した………

 俺の狙いは最初からそれだったのだ。

 貴様が新潟から持ち出し、俺が一度も触れた事のないその【D・D・F】と

 このデティクティブ・マスターの記録さえあれば――――――

 他の4つを所持していなくても俺は願いを叶えられるッ!!!!」


「ぐえッ!!」


 シルバーの上着のポケットから、【D・D・F】が零れ落ちる。

 そして、百賭目掛けて飛んでいく。重力を無視し、ふわふわと。


「さっ、させるか……それだけはッ…!!!」


 シルバーが【デモニック・スカーフ】の剣先で【D・D・F】を掴もうとする―――しかし更に引きずり込まれるッ!!


「無駄だ無駄だ、【D・D・F】の力を止める事……

 それは何者ですら成しえない事―――

 こうなってしまっては誰にも止められん…俺も、お前もッ!!!」


「クソォォォォォッ!!!」


 シルバーが片手で銃を構え、百賭目掛け撃つ!!

 しかし――――当たらないッ!!


「チッ……片手じゃダメかッ……この距離、やっぱ両腕じゃないと――――」


「さあ、あと15mだ――――その前に貴様を始末するか…

 貴様のウハウハもこれで終わりよ!」


 百賭がポケットから4本の『鉄杭』を取りだし、右手指の間にサッとハメる。

 そして腕を振り、シルバーに向かってそれを投擲する!!


「うおおおおおおおおッ!!!!」


 ガンッ…!!!!!


「ん……?何の音だ……」


 百賭が音の方向に視界を映すと、黒い気を纏った鉄板が自分の方に向かって飛んできているのが見えた。

 ボンネットだ。


「怪盗睦月の【夜を歩くもの<ダーク・ウォーカー>】!」


 ボンネットの影が通り過ぎた場所から、無数の蟻が出現するッ!!


 ガンッ…ガンッ…!!!!!

 近くにあった二つの鉄板が光の衝撃エネルギー波に吹き飛ばされ、

 百賭の上空に向かって飛んでくる!!


「【センチビート】と【夜を歩くもの<ダーク・ウォーカー>】の連携技!」


 百賭が【D・D・F】の記録を解除し、【D・D・F】の欠片を回収する。


「向かってくるか…逃げずにこの百賭に勝負を挑もうというのか。」


 そして、地面に召喚されるアリを踏まないようジャンプし―――


「【俺の体温は-273.15度<アイアム・アブソリュート・ゼロ>】」


 能力を再発動――――東結金次郎の『記録』で蟻を全て『凍結』させる―――



 しかしその背後に、シルバーが立っている。

 首から黒い気を流しながら…


(2人が作ってくれた…チャンス!!!)


 【デモニック・スカーフ】を装備したシルバーが襲いかかる!!!


「そんなゆるふわな攻撃で俺を殺す事は出来ん…」


 シッ!!!!!!

 シルバーが【デモニック・スカーフ】を制止させる。

 額に汗を流しながら。


「アンタの今のその妙な落ち着き…やはり『第二の能力』によるものかしら?」

「ニィッ……」


 ガンッ!!!シルバーがデティクティブマスターの円盤を吹っ飛ばす。

 シルバーは気づいていた、百賭が二つの【カース・アーツ】と契約していることに。


「今、頭の中で完全に推理できたよ、アンタのもう一つの『能力』。

 近距離用・装備型・爆破の能力。

 それが二つ目の『能力』。」


「冷静だな……

 あのロンカロンカやレンガウーマンを倒したのもうなずける。

 だから最後にいちおう聞いておこう。お前、俺の仲間になる気は無いか?」


「何!?」


 Vaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa―――――――――――

 百賭がスウっと息を吸う。


「これだけの実力者を消してしまうのはこの俺にとっても惜しい。

 その上、お前はとてもいい奴のようだからな。気に入ったよ。

 俺の正義のために働く片腕となってくれ。」


「――――断る。冗談じゃあない。」


「そういうと思ったぞ。その眼美しい。

 お前もまた、この私とは別の形の正義を持っているからな。

 だがその正義はくだらない。

 短い時間でしか効力を発揮しないその場しのぎの正義にすぎん。

 この私の永遠の絶対正義には遠く及ばない。」


「フッ…永遠ですって?

 なんてものは存在しないわね。馬鹿の信じる戯言わよ。」


 ブォォォォン

 百賭の右背から白い気が放出される。


「――――フッ、私より『歳は10つも上』だというのにくだらないモノの考え方をする。

 それだからこそお前の正義は絶対正義に及ばないのだ。」


 白い気が、固体となり、二本の、先端に槍を付けた触手に変形する。


「ッー――――!!!出したな……ついに出したなッ…!!!

 記録を再生する能力では無い――――――――

 それは、そのエネルギーは…!!!」


「『永遠なんて存在しない』『人間には限界がある』

 馬鹿どもが好む言葉で、この俺の最も嫌う言葉だ。

 いいか、人間の持つ可能性と言う力の前には、限界という言葉は存在しない。」


 左背からからも、白い気が放出される。


「服の無い時代では、台風は確実なる死を呼び込む風の悪魔と呼ばれて、

 人間の力では対抗するのは不可能と呼ばれていたが、

 時代の経過と共に人間は某風に耐えうる建造物と生き残る知恵を身に着け、

 その恐怖を亡き者とした。」


 固体になる――――百賭の背から、【4本の白い槍】が生えてきた!!!


「人間一人一人の人生はそれぞれ形の違う理不尽な壁がある。

 理不尽な因果、理不尽な運命だ…

 人生とは、その壁を越えるために努力する闘いの記録………。

 

 フッ…私はな、今より最後の壁を破壊しに行く所存だ…

 壁の名は【死】だ…俺は【死】を破壊する。」

「多重人格故に二つの能力を有するカースアーツ使い…!!

 【二重能力者<デュアル>】ッ!!!」


「【ホワイト・キネシス<聖なる暴力>】…!!!

 Dead or Aliveの二つの道…貴様はDeadの方を選択したッ!!」


挿絵(By みてみん)

 それは――――「天使」の翼。

 夜調牙百賭2つ目の【カース・アーツ】!【装備型】の4本槍…【ホワイト・キネシス】!!!


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