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ディープ・デッド・フィラー  作者: とくめいきぼう
第五章 ロスト・マイ・ハート&キャッチ・マイ・ドリーム
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第52話 黒百合の詩に漆黒の太陽を重ねて④

「【悪魔の力】ね――――

 悪魔、人外の怪物、カース・アーツや人狼のように裏世界を牛耳っている

 魔の者―――――その一種。」


「………」


「契約と共に生命を喰らう悪趣味な魔物―――」


「アンタよりは、趣味がいいさ。」


「待って!!!」

 睦月がシルバーに背後から抱きつく。


「まさかそれって…あの『天野水晶』のような――――」


「ああ、あの殺し屋と同じ力だ。

 生きていられる可能性は低いだろうね。

 だが、命が喰らわれるのは契約が終了してからだ。

 そしてその契約は――――【D・D・F】で願いを叶えた瞬間に終了する!」


「――――――――――!?な………」


 睦月がその場に倒れる。


 シルバーが前に進んでレンガ・ウーマンとの距離を狭める。


「貴方の言うとおり、とんだ見込み違いだったようね。


 怪盗シルバー、貴様は糞だ!!

 なんて愚かで、醜く、忌々しい存在なのか!!

 怪盗は生きながらにして、死に向かっている。

 私は生きたかったのに、既に死んでいる。

 生きる意志を放棄した其れは、もう何の価値も無い――――アハハハハハハ!!!!!」


「何度も思ったよ。感情なんて無ければよかったなって。

 フッ、最高じゃないか。私は全てを救って――――

 その末に感情を失える。」


 シルバーが魔法陣のある部分を爪で引っ掻き血を露出させる。


「【Demonic Scarf-デモニック・スカーフ-】」







Vooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo




VOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO




| / f⌒!f⌒!f⌒! f⌒! f⌒! f⌒! f⌒! f⌒! f⌒! f⌒! 

|/  {_} {_} {_} {_} {_} {_} {_} {_} {_} {_} 








 黒く禍々しい気の輪が、シルバーの首を覆う。

 黒の中には無数の目が存在している。


「首輪―――――!?」

「【海の魔獣<クラーケ>】………!!」


 黒の輪から全長2m程の4本の触手が伸びる、

 ――――そして、その先端に短剣が生えてくる。


 対峙るレンガ・ウーマンもレンガを構える。

 禍々しい邪気を帯び立たせながら。




      「私は神の意志だ―――――神の剣、神の代行者!!!!!

       ならば力を持って、【D・D・F】の破壊を遂行する!!!!!!」


「私は自らの意思―――――自らの暴力、自らの殺戮よ。

 ならば意志を持って、全ての人間をレンガで殺すわ。」




 勝負は一瞬!!!


 二人が激突するッ!!!!


 答えは0文字!!!無言の対決!!!


 シュバキン!!!!!!!!!!

 バババババババババババババキンキンキンキンキン!!!!!


 レンガと黒い剣がぶつかり合い火花を散らす!!!


 シルバーが距離を詰めて―――――――――――――――

 レンガを右手で持って決着を付けようとするッ!!!!!!!!


 しかしレンガ・ウーマンそれをレンガでガードするッ!!!!


 再度レンガの押し合いが始まる―――――今度は二人とも地上で

 二人共左腕を失っているッ!!同等のパワーだッ!!


 同時にシルバーの背後からレンガ触手が襲いかかる!!!

 しかしシルバーそれをデモニック・スカーフで全て切り落とす!!!


 -――――――――瞬時レンガ・ウーマンが左に引き、

 レンガの押し合いを終わらせる。


 そして、レンガを振り上げる。

 レンガが赤いイナズマを帯びる。


 -―――――悪魔の力?


 -―――――――デモニック・スカーフ?


 -――――――――――そんなものより、私の煉瓦の方が強いに決まってる。


 -―――――――――――――私こそが全て。私だけが世界―――――


 振り下ろしたレンガが――――――――デモニック・スカーフの刃を破壊する。


(馬鹿な―――――――これだけ捧げても、まだ足りないというの?)


 シルバーの視界が真っ暗になる――――――――――

 絶望―――絶望が襲う。

 

-―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 そこは、黒い世界。黒く染まった世界。


 一色の恐怖で染め上げられた。闇の世界。


 私はそこを歩いていく。孤独に歩いていく。

 自らの過去を思い返しながら。


 ああ、焼けていく。みんなが焼けていく。


 正義は――――自分を救ったりはしない。

 悪も――――自分を救う事は無い。


 何故ならこの世は戦いだからだ。戦いには力なくしては勝てないからだ。

 正義や悪、意志というモノは―――力では無い。


 ならば強くなれ――――誰よりも、誰よりも誰よりも――――


 力を備えしものだけが―――――天国にたどり着く事が出来る。


「でも、貴方は弱っちいじゃないですか♪」


 目の前から、眩しすぎるなにかが歩いてくる。


 身長は170㎝、巨乳、人形のように細い手足、目は鷹のように鋭く、瞳は黒紫。深紫色のコートを腕を通さないように羽織っており、内には紫色の胸空きタートルネックに黒いズボン、そして、金髪のツインテール。


 天才少女探偵、三羅偵【乱渦院論夏<ロンカロンカ>】。

 私は、お前に勝ちたかった、ずっとずっと、お前に勝てなかった。


 ロンカロンカが私の右腕に手を伸ばす。

 すると、私の左腕とロンカロンカの右腕が同化する。

 そして同化した腕が私の首を絞めつける。


「ほーら、力で何とかしてください。」

「うっ……えぐ――――」


 これが正義を抱いた弱きものの末路だ。力弱きものは強きものに蹂躙される。


「う―――――――――――――あああああああああああ!!!!!!!」


 ママが死んだのは――――――力が無かったからだ。

 パパが死んだのは――――――力が無かったからだ。

 島風のおやっさんもジジイも右堂院君もエクスもニーズエル

 ―――――弱かったから死んだ。敗北した。全てを失った。だから地獄に堕ちた。


 大切なのは心じゃない。目的を達成できる力だ。


「私を殺した貴方がこの程度で死んでどうするんですか?

 振りほどいてください、シルバー。」


 弱者は、たとえ敵を倒せたとしても、呪われる―――――

 精神的に力の勝る相手には勝てないのだ―――――――


 振りほどきたい―――――――――

 この腕を振りほどきたい――――――――――でも、もうだめだ。


 嗚呼、死後もなお私の宿敵ライバルであり続ける悪夢よ。

 お前に、一度でもいいから―――――――勝ちたかった……





 ボロッ…


 ロンカロンカの右腕が何かに食われたように千切れ消える。


「―――――!」


「…………!!」


 何だ、何が起きた…………?


「チッ―――なるほど、ね。」


 何かは分からない。

 だが、今の力は、何か温かくて、とても、守りたくなるような力だ――――


 私は立ち上がり、白い光に向かって歩き出す。そして、ロンカロンカとすれ違う。


「………私は、ここを出る。出なければならない。」


「くすっ…もう少し苦しめたかったのに、まぁいいです。」


「私をこのまま行かせていいの?」


「別れを惜しむ必要も無いでしょう。貴方の事なんてどうでもいいですが、

 どうせ、また会えるのです。

 貴方がまたここに来るか、私がそちらに行くか、どういう形になるかは、

 まだ言えませんが。」


「………」


 最悪の宿敵〈ライバル〉に背を見せ、一歩一歩進んでいく――


 ……そうか、やっぱりお前か。

 私を救う力は……私の心を強くしてくれる力は……


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最期の日―――PM1:35 弯曲十字付近、交差点


「―――――――クッ………」


 シルバーの目の前に、睦月がいた。


 睦月は目の上前で両手を交差させ、その下に、レンガ・ウーマンの右腕があった。

 恐らくレンガ・ウーマンが右腕の煉瓦で睦月を殺そうと思ったのだろうが、右腕が睦月の腕の下を通った瞬間、腕の上にダークウォーカーを出現させられ、瞬時にして右腕をかみちぎられたのだ。


「シルバーは殺らせないぞ………」


「フン-―――」


 レンガ・ウーマンが右足で睦月の腹を蹴り飛ばす。

 レンガが無いと言っても、そのパワーは【ドラゴニック・エンゲージ】以上。

 咄嗟にガードは出来たが、睦月は血を吐きながら、私の横に転がった。


「情けないな………私は――――」

「いや、ありがとう、アンタが親友で、良かったよ……」


シルバー立ち上がる……


「あとは、私に任せて。」

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