第45話 四天刃・削将ルビー・ハート
レンガ・ウーマンを何らかの力で『消滅』させた謎の女。
その女が走り出し、【カース・アーツ】の契約名を言い放つ。
「【ルーク・オブ・ヘルシャドウ】!!!!!」
得体のしれない敵の出現に構わず二人は走り続ける!!!
そして敵の能力推理に入る!
「ヘリコプターは前方向だけ綺麗に『消滅』した。レンガ・ウーマンは膝から上だけ『消滅』した。
恐らく彼女の使う【カース・アーツ】は、何らかの上に存在する物質を全て『消し飛ばす能力』。」
「アレがそうって事です………?」
ニーズエルが指したその先……そこには、赤紫女の立っている位置から縦100mほど、横幅30m程の『巨大な真紅の影』があった。
そして考察通りその影は、自分の上に存在する物質全てを消滅させながら二人を追跡していた。
…影の上の車はタイヤの地面に接触している部分の上だけを残し『消滅』する。
影の上の人間は膝から下以外すべて『消滅』する。
「せ、洗脳兵も構わず消滅させてます!!!
でも………私たちの方がずっと足が速い!!
そしてこの【カース・アーツ】の攻撃リーチは大体150mといったところ……!!」
だが赤紫女が右手を上げる。すると、『影』の右手も伸び、ニーズエル達に一瞬で迫る。
そして影は、ニーズエルの背中から生えている翼と尻尾の真下に到達する。
「ぐわあああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
ニーズエルの尻尾と翼半分が消滅する。
『影』は契約者の女と動きを連動させている。
そしてニーズエルがダメージを受けたことで二人の走るスピードは急激に落ちた。
レンガ・ウーマンやアクアマリンとの激闘で披露していたのもあるだろう。
あと少しで『影』に呑まれるはずの其の瞬間、エクサタが走ってる途中に足の裏が『地面に触れる』衝撃を利用して【センチビート】を発動!!!
黄光が地面を走り、前方にあった『車のボンネット』の下に入り込む!!!
そして爆発し、ボンネットを吹き飛ばす!!!
「な、何をするつもりですッ!?」
「一か八かだ――――ニーズ、あなたはこの下に。」
エクサタがボンネットを拾い上げる。
そしてその上面を赤紫女に向け、その下に二人が隠れる。
そしてその上を赤紫女の真紅の影が通り過ぎる―――――――
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[図解]
影影 →赤紫女がいる方向
□□影影
□□影影
◎」□□影影
「/ □□影影
影影影影影影影 /> _| ̄|○ □□影影影影影影影
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※頭が◎の棒人間=エクサタ
※頭が○の棒人間=ニーズエル
※□=エクサタが持ち上げているボンネット
※影=赤紫女の【カース・アーツ】。影の上方にあるものは全て消滅する。
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ニーズエルとエクサタは、こうして一命を取り留めた。
「と、咄嗟の機転で助かりました…しかし…問題は…」
問題。それはこの後どうするかという事。
影はボンネットの上にある。
外に出れば『消滅』してしまう。
だが、そんな思考をする間に【影のカース・アーツ使い】の女が近づいてくる……………
5m…3m…1m…
そして……なぜか【影のカース・アーツ】が解除された。
二人が困惑する中、女が言葉を放つ。
「とりあえず自己紹介しましょうか!
私はゴールド様にお仕える四天刃がおひとり、【削将】ルビー・ハート!
名前が長いから、みんなは私の事をルビーって呼びますのよ~♪あはははははは~!」
ガラッ!!!!!
ルビーが蹴り上げて、ボンネットを吹き飛ばす――――
瞬間――――30発の【センチビート】の衝撃波とニーズエルのブレスがルビーに向かって放たれる。
しかしルビーが再度能力を発動、攻撃は影の上に入り、この世から『消えてなくなった』。
「なっ――――!!」
「ふふ……貴方たちの攻撃なんてききませんよ?
これは【ルーク・オブ・ヘルシャドウ】、かの有名な異端の魔女『ジャンヌ・ダルク』の最期の魂……
彼女の絶望の精神エネルギーを媒体とした強力な【カース・アーツ】です。
能力は『影の上に立つ全て』を此の世から『消滅』させる事、ただそれだけ……ですがそれ故に最強。
空気も、飛ぶ鳥でさえも、上空1万mを飛ぶ飛行機でさえもこの影の上に存在することはありえません。」
「――――!!」
「フフ………二人とも、美しい顔と目……
首から上をちぎってこの私のコレクションにしたいぐらいですわ。
フフフ………私がママになってあげる。
貴方たちは首から下を全て消滅させ、首だけにして殺します……。」
オオンッ!!
影の左腕が伸び、エクサタの右腕を消滅させる。
右腕を失ったエクサタがのた打ち回る!!
「グッアッ……!!!!!」
「エ、エクサタ君ッ!!!」
「う、腕が無い……腕がなくなった!!でも腕が無いこそが子供!
私がずっとほしかった…理想の赤ちゃん……❤」
ニーズエルが左目でルビーハートを睨む。
オオンッ!!
影の左腕が伸び、ニーズエルの左肩を消滅させる。
「わああああああッ!!!」
「睨むなんていけない子………私はもうあなたのお母さんです❤
聞こえる…!悲鳴……!私の赤ちゃんは蹴り殺されたけど…❤こうして再びいいいい!!!」
「ひ、ひいッ……」
「ぐ………」
拷問狂人を前にニーズエルとエクサタが…怯える………
「私の赤ちゃんはね、パパに殺される時、足も切断されたんですの❤次は足だよ❤
もっと私の赤ちゃんになってね❤」
瞬間、ルビーが背後から胸を何かに貫かれ!前に倒れる!!!
「………!?」
エクサタの【センチビート】の黄色い光が拷問に夢中だったルビーの背後に静やかに回り込んで、発動されていた!
(影とは一方向にしか伸びないもの、ルビー・ハートの影がこちら側にかかるというのなら……背後は無防備。)
「エ、エクサタ君!!」
胸の傷は貫通し、空洞が開いている。
しかしルビー・ハートは足の関節を逆に曲げ、手を使わずに立ち上がろうとしている。
「まだ殺せていない…!?」
心臓を破壊したはずなのに生きている敵を前にエクサタとニーズエルが横に向かって走り出す………
ルビー・ハートが立ち上がる。不快な機械音を鳴らしながら。
「この痛み……陣痛みたい…。貴方達はやっぱり…このルビー・ハートの理想の赤ちゃんです……❤」
貫通した体内の穴からは、何か機械ようなものが露出している。
ルビー・ハートは人間と機械が合わさった生命体!
「サ、改造人間……!!」
「【ルーク・オブ・ヘルシャドウ】ッ!!!」
『真紅の影』がエクサタとニーズエルに迫る!!
二人はそれを避けようとするが……
「逃げられません……【ルーク・オブ・ヘルシャドウ】のスピードは、全【カース・アーツ】の中でもトップクラス………」
『真紅の影』とエクサタとニーズエルの距離、1m!!!
もう追いつかれるかと言ったその矢先、ニーズエルがポケットから左足で何かを取りだし、ルビーに見せつける!!
「な………!!」
【D・D・F】だ!
そして真紅の影の動きが止まる。
「お前はあの時、絶対的にこの私達に勝てるはずだったのに直ぐには殺せなかった……
さて、どういう理由があったのか……?慢心?相手をいたぶる趣味の為?
違うわ……アンタは、自分の能力でこの宝石を『消滅』させてしまう事を恐れていたんですよ!!!」
「気づかれてしまわれましたわね。
【D・D・F】は如何なる力をもってしても砕けない無敵の硬度を持つ最硬の宝石……
しかし、私の能力で消滅するかどうかと言うのは、一度も試したことはありませんでした。
ゴールド様も万が一の事を考えて試させてくれませんでしたからね……フフフ………」
二人が近くのビルに侵入する
「しかし、貴方達を子供にしたいという言葉、本当ですわ
ニーズ赤ちゃん、ビルに入る直前……右足を、『頂戴』いたしました❤」
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―――AM12:39 岐阜県岐阜市:弯曲十字周辺、どこかのビル内。1F
ビル内の人間の大半は洗脳されたようで、人の気配が全くしない。
「うあああああーーーーーー!!脚が――――右足がーーーーー!!!」
「ニ、ニーズ!!」
右足を消滅させられたニーズエルがのた打ち回っている。
そして左足で掴んでいた【D・D・F】も落とした。
ルビー・ハートが歩く音も聞こえる。
「ニーズ……掴まれ!!」
エクサタが【D・D・F】を拾い上げ、ニーズエルを背負って走り出す。
そして間もなく、ルビーハートが部屋に侵入する。
「室内なら、わたくしの【ルーク・オブ・ヘルシャドウ】も更に真価を発揮できる……」
しかしエクサタとニーズエルはいなかった………
「かくれんぼ❤でも居場所は分かりますわ……だって、貴方たちの血が飛び散ってるんですもの♪
入って左の廊下に逃げ込みましたわね。そして天井にはエクサタさんの光のトラップが……」
ルビー・ハートが左側を向き、大の字のポーズをとる。
そして『能力』を発動――――――――
廊下全てが赤い影に包まれ、天井が消えうせる。
このビルは13階までの高さがあったが……13Fの天井まで綺麗に『消滅』した……
「そこの曲がり角の先、体温の残骸を感じますわ。」
ルビー・ハートが廊下の曲がり角付近まで歩く、しかし――――
カランッ………カランッ!!!
ルビー・ハートの後ろに、何かが落ちてきた。
「えっ………」
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[曲がり角の先]
ニーズエルが………泣いている……
「エクサタ君………貴方は………貴方は『なんてこと』を………!!」
「ルビーと戦っている時に『奴』が『復活』している姿を見た時から考えてた手だ………貴方が生き残るには………この【策】しか―――!」
「足も目も使い物にならなくなって……エクサタ君もボロボロにされたのに……
私達……いったい何のために戦ってきたのッ………!!!」
ルビー・ハートを撃破するエクサタの【最後の策】。
それは一体どういうものなのか…




