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ディープ・デッド・フィラー  作者: とくめいきぼう
第五章 ロスト・マイ・ハート&キャッチ・マイ・ドリーム
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第44話 四天刃・貫将アクアマリン・クラブ

 ライフルのように回転するカジキに押され、ニーズエルが地面にあおむけになって落下する!!!

 炎のブレスを向かって吐くが、回転の風圧によって弾き飛ばされるッ!!


「がアァァ!!!やめっ……はいってッ…来るなッ………」


 死―――――――――――――――――いや…………


 だがニーズエルの体のカジキに刺されている部分が黄色い光を帯びる………

 そして、衝撃波を放ち、回転しているカジキを吹き飛ばした!!!

 これはエクサタがニーズエルの体に仕込ませていた、【【センチビート】】!

 先ほど抱きしめた際の、衝撃を保存していたのだ!


 地に落ちたカジキマグロが、蒸発する………


「き、消えた…―――――そして、エクサタ…君…!!」

 ニーズエルの背後にエクサタがいた……

「ニーズ、大丈夫か?」


「――――う、うん……でも………」


「さっきの回転する魚の【カース・アーツ】は――――ヘリのフロントガラスと中に乗ってた人間をグチャグチャにしてた奴ですよ…!!契約者はどこにいる…?洗脳兵と見分けがつかない!」


 これぞゴールドの【弯曲十字の聖歌隊】の真価。

 【カース・アーツ使い】に一般の人間との外見差は存在しない。

 ニーズエルのように一般人を巻き込んで戦えない怪盗からすれば、これは驚異的なサポートだった。


 ニーズエルがシルバーに支援を求めようと辺りを見渡すが、見当たらない、

 そしてそんなことをしてる間にエクサタ達の前方50m先で、洗脳兵の一人が【D・D・F】を拾って走り出す。

 他の洗脳兵一人も、護衛として走ってそれについて行く。

 シルバーに助力を借りる時間はもうない。

 ニーズエルとエクサタは、この問題は二人で解決するしかないとそう理解した。


「くっ……待ちやがれですよ!!!!」


 二人が【D・D・F】を手に入れた洗脳兵を追いかけ走る。しかしその周りを並走する10人ほどの洗脳兵。


「やりあいたくないのに!」


 洗脳兵が襲いかかる!!!

 しかし襲い掛かられる前にニーズエルが蹴りで全員地に叩き落す……

 殺してはいない。骨折させただけだ。


「そう出てくるから……!!」


 だが洗脳兵は岐阜市全てから無尽蔵に湧いて出る。

 二人がいくらが倒しても倒しても、湧いてくる。

 ニーズエルの脚や翼、尻尾には、骨の折れる感触が染みついた。

 肉がちぎれる感触が染みついた。

 罪悪感にむしばまれる。涙が出てくる。

 呼吸が荒くなる。


 かつてニーズエルはその食人欲求で罪なき自分の家族を皆殺しにし、絶望した。

 今彼女の脳裏には、その絶望がフラッシュバックしている。

 罪なき人を傷つければつけるほどに。

 心が崩れていく。折れていく。砕けていく。


「はぁ……はぁ……」


 そして、そのタイミングだった―――――ドッゴ!!!!ドッゴ!!!!ドッゴ!!!!

 右側にいた洗脳兵たちが次々と爆発していく。

 【カジキのカース・アーツ】による攻撃が再度始まったのだ。


「ううっ…あのカジキは人間の体内から人間の体内へと渡りながら移動するのか!!!」


 走る二人の右方向の人間が水風船が破裂させるような音を立てて爆発する!!

 そして、その中から回転する魚が飛び出し、その鋭い顎をニーズエルの首に突き刺した……!!!


「【センチ・ビート】!!」


 エクサタがニーズエルの体に仕込ませた衝撃のエネルギーを魚に放ち吹き飛ばすッ!!

 そして再度二人が走り出す!!


「――――ハァッ……!!ハァッ……!!また消えた……?」

「ニーズ…俺達の体の表面には、俺が【センチビート】で作りだした、『衝撃』の塊が、十数個仕込まれている。カジキがどの方向から来ようと…」


 ニーズエルが服をめくると、そこには衝撃を保存した黄色い光が多数あった。


「あ、ありがと……それとエクサタ君…

 【カジキのカース・アーツ】の特性を理解しました。

 カジキは人間の体から人間の体できる。

 移動する時、元にあった人間の体は爆裂し、カジキはダーツの矢のように次の標的に刺さる。

 だが、刺さらなかったとき、カジキは消滅する。

 

 そして恐らく、この敵があの魚を召喚できる数は、"1"。

 2匹以上出せるのなら、とっくに私達はやられてるはずです………


 だけど1体しか召喚できないのにかかわらず、攻撃のインターバルの早さ……

 この敵は私達よりそんなに遠くは離れてはいないと思うんだけど……」

「――――ニーズ……

 最優先は敵撃破では無く【D・D・F】の入手、それを忘れるな………」

「……だね、まともに戦って死んだら元も子もない!」


 二人が【D・D・F】所有者とその護衛の洗脳兵の所まで走って追いつく!!

 ニーズが聴覚を研ぎ澄まし、辺りの音を観察する!

 爆裂音はしない!


「よし!!追いついた!!!そしてカジキはまだここには来ていない!!終わった!!!」


 ニーズエルが洗脳兵が持つ【D・D・F】まで手を伸ばす!!!!

 だがしかし、護衛の一人がニーズエルの方に振りむき…


「【ナイト・オブ・ヘルフィッシュ】。」

「え―――――――」


 【D・D・F】所有者の横にいた洗脳兵が、両手の指で三角形を作りだし、それをニーズエルの顔に向けている。

 瞬間―――――――――両手の三角形の中心から

 【カジキのカース・アーツ】…【ナイト・オブ・ヘルフィッシュ】が彼女の顔めがけて射出される――――!!!


 カジキの召喚獣はニーズエルの右目に命中!!回転し、脳まで到達しようとする!!


「ギャアアアアアアア!!!!」

「貴様――――――セ、【センチビート】…………!!!」


 ニーズエルの顔が黄色に光り、中から出た衝撃波が魚を弾き飛ばす。

 だがニーズエルの右目は失われた!

 レンガ・ウーマンに奪われた両腕に続いて、右目まで!


「―――――成程、衝撃波を放つ光の【カース・アーツ】の契約者はそちら……ならば片づける順番は、決まっているな。」

「湾曲十字の仲間か……!」

「フン……」


 その洗脳兵に紛れていた水色髪ショートポニテの男、

 そいつはイケメンだった………まぎれも無い、身長174cmのイケメン男………

 両目を黒い半透明のマスクで覆い、青い貴族服を見に纏っている………

 そして褐色肌だ…その褐色肌は…シルバーと同じ『アトランティス人』であるという証!!


 ニーズエルは今右目を破壊された痛みで動けない、エクサタが動くしかない!!


「アトランティス人……!?」

「怪盗か、汚物極まりない。」

「セ―――――」


 エクサタが攻撃しようとしたが、その動きを読んでいたように男が両手で作りだした三角形の中から魚が射出される!!!

 魚はエクサタの右足に命中、引きちぎり、ミンチにする。


「速い―――!!」


 エクサタが自分の体の表面を走る黄色い光の塊を爆発させ、

 その男に向かって衝撃波を放つ……


 しかし男は隣にいた【D・D・F】を持つ洗脳兵の体を引っ張り衝撃波の盾にする……

 攻撃を受けたその洗脳兵。


「………!!」

「フン、人は何故、逃げるべき場面で逃げようとしないのか……

 我が名は【貫将】アクアマリン・クラブ。ゴールド様にお仕える『四天刃』が一本。」


 【D・D・F】所有者の体が爆裂し、中から、魚が出現!!

 そしてエクサタの胸を貫く!!!


「お前たちは生まれたときより罪なる存在。

 その罪とは、新アトランティス人としてこの世に生を受けなかった罪………

 許されざることだ……贖罪せよ怪盗。贖罪せよ。」


 魚が回転し……エクサタの胸がミンチになり抉られるッ-―――!!!

 そして爆発する!!


「ガッ……あっ……!!!」

「贖罪せよ……贖罪せよ……」


 カジキのカース・アーツ使い『四天刃』アクアマリン・クラブが近くに落ちていた死体が握っていた【D・D・F】を奪い取り、その場を去る。痛みに苦しむ二人に背を向けながら。


「アアアッ………ああッ……!!!」

「――――!!!―――!!」


 ニーズエルは右目を潰された、。エクサタは心臓に傷を付けられた。

 不死身の肉体を持っているので、死んではいないが、出血多量でまともには動けない…


「圧倒的絶望、打つ手なしこそが罪人に与えられた罰……十字架を背負って心より死ね。」


 アクアマリンが内ポケットから携帯端末を取り出す。


「『ルビー』………私だ、アクアマリン・クラブだ。

 例の『三羅偵』・黒霧四揮だが――――

 私の【ナイト・オブ・ヘルフィッシュ】で脳を刺しても心臓を破壊しても死ななかった……奴は不死身の体を持っている。


 故、奴への天罰はお前に任せる。

 お前の能力は無敵だ………あの女の体を細胞一つの残らず消滅させることが

 できる………今奴は何処にいるって?

 近くだ………奴は私たちがヘリを墜落させた音を聞きつけて、

 真っ直ぐと此方に向かってきている!!


 迎え撃て!!お前が迎え撃つのだ!!

 私は全身全霊を以て今から奴らから奪った【D・D・F】を直接ゴールド様の元まで届けねばならん…!!!」


ピ!!!!


「ゴールド様…今…向かいます……」


 しかしその瞬間―――――――――――――


 ダン!!!!!!!


 アクアマリンの後頭部が何かで撃ち抜かれる!!


「な―――――――――

 ば、バカな――――竜女は両腕と片目が無い。軍服の男はさっき殺した……

 そして、洗脳兵を指揮するゴールド様よりこの二人以外に【カース・アーツ使い】がこの周辺に来ているという連絡も無かった!!だ、誰が撃った―――誰が罪をおおおおおおおおおおおおおお!?」


 アクアマリンが倒れゆっくりと背後を見る……


「な――――――!!」


 そこには、死にそうな目で右手に銃を握ったエクサタといた………

 右目が潰されながらも立っているニーズエルがいた。


「バ――――バカな!!心臓を破壊して、なぜ動く!!」


 エクサタは不死身の体が幸いしたか―――

 心臓を破壊されたので、意識を辛うじて保っていられるレベルだ。

 最後の力で銃弾をアクアマリンに打ち込んだのだ。

 だからニーズエルが、立つ。


「エクサタ君、後は、私に任せて……」


 エクサタ、その場に倒れる………

 そして龍の怪盗とアクアマリンが対峙る……


「―――不死身…軍服の男は改造人間<サイボーグ>か、成程……」


「頭を撃たれて立ってるお前は…やっぱり…在日アトランティス人ですね…

 シルバーと同じで、超常的な身体能力を持っている。」


 アクアマリンがニーズエルの右側に周りこむ!!!


「罪人貴様は右目が破壊されてるから右側の物体を視認する事が出来ない。

 右側を行くこの私のいる位置を正確に特定する事が出来ない……そして―――」


 アクアマリンとニーズエルの間に洗脳兵が入り込む!!!


「肉の盾―――。一般人を巻き込みたくない貴様にこの私を攻撃する事は出来ないぬう!

 だが私は遠慮なく貴様に攻撃する事が出来るぬ…どうだ?貴様にはもう一片の勝機もない!!

 どうする、【ナイト・オブ・ヘルフィッシュ】発動!」

 アクアマリンが肉壁越しに手で三角形を作り出す構えに入る!


「お前の位置なら分かってますよ……シルバーが【D・D・F】につけた『硫黄』の匂いが……私に位置を教えてくれた……」


 ドンゴン!!三角形を作り出す前にニーズエルが敵と自分の間にいる洗脳兵に向かってタックルを行う!!!そしてそのまま洗脳兵をアクアマリンに向かって吹き飛ばす!!

 洗脳兵とアクアマリンが密着する!!!


「グ………小癪な真似してんじゃねえぞ、ガキャアアアアアア!!!!!【ナイト・オブ・ヘルフィッシュ】はすでに召喚されつつあるう!!死ねや腐れメス豚あああああああ!!!!」

「エクサタ君の代わりに私が名前を叫んでやる………【百足<センチビート>】ッ!!」


 洗脳兵とアクアマリンの密着部分が黄色く光りはじめる―――――そして爆発し放たれる衝撃波。それはアクアマリンの心臓を貫いた――――


「ニギャアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?」


 胸に大穴をあけたアクアマリンがうつ伏せに倒れる。


「エクサタ君が私の体に纏わせていた衝撃の保存エネルギーを、タックルを行うときにその洗脳されてる人に、転移させ――――そしてお前の急所を確実に貫ける位置で爆発させた……」


「バ――――馬鹿な……そこの罪人は……気絶したではないか……」


「目を瞑って―――倒れたふりをしただけだよ……勿論、気絶寸前なのは変わりないけど……」


「この俺を騙したというのか………クソ罪人……!!!

 悪知恵の働く…豚あああああああああああああああああああ!!!!!!」


「残念だけど――――全部エクサタ君の策ですよ。考えるのは、苦手なんでね………(元探偵だけど…)」


「黙れ豚ああああああああああああああああ!!!!!!

 豚が俺の上を行くというのならあああああああああああああああ!!!!!!!

 俺は豚の上だああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 アクアマリンが最後の力を振り絞り【D・D・F】を投げようとする!!


「エンペラー・ゴールド様ばんざーーーーーーーーーーい!!!!!

 新アトランティスに栄光あれーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」


 ボオオっ!!!

 その瞬間、ニーズエルが火炎のブレスを吐いて、

 アクアマリンの体を焼き尽くした。

 ニーズエルが肌についたアクアマリンの肉片を翼ですくい、舐め、吐く。


「口に入れる価値もない、豚肉に劣る味だったよ………」


 そして彼女はアクアマリンの持っていた【D・D・F】をそおっと足で掴み拾い上げる。


新アトランティス帝国『四天刃』

貫将アクアマリン・クラブ―――――――――――――死亡。


 ニーズエルが、【D・D・F】をコートのポケットの中にしまう。


 そして、エクサタの脚を拾い上げ、エクサタの近くに置く。

 すると、エクサタの体と合体していく……


 そしてニーズエルがエクサタを背負う……

 エクサタが虚ろになりながら微笑し、言葉を発する。


「強敵……運故に勝てた闘い。破壊されたのが……心臓では無く、頭だったのなら、俺は死に、きっと全員敗北していた。」


「エクサタ君の脚が治ったらどうする?取りあえず…私さっきビルに張り付いていた、シルバーに会いたいんだけど…」


「―――まずは俺を待たずに移動すべきだ、さっき、あの男が誰かと通話していた時、黒霧四揮が来ているという声が聞こえた。その情報が正しいのだとすると……これ以上ここにいるのは不味い…」


「レンガ・ウーマン……!!」


 二人が周りを確認する…………

 すると―――200m先、レンガ・ウーマンが自分たちが移動していたルートを辿り此方にまっすぐ走ってくのが見えた……


「う…こっち来るなっての!あいつはアクアマリンの10倍は強い……!!」


 150m――――――――――100m―――――――――70m――――――――

 しかし………その瞬間、レンガウーマンの膝から上が、一瞬にして【消滅】する。


「な………」


 レンガ・ウーマンの膝から下に一人の女が近づく。

挿絵(By みてみん)

 身長155㎝。褐色肌。

 髪と服装全てが赤紫色で彩られている。


 赤紫の女はレンガ・ウーマンの両足の膝から下を両方の手で持ち上げる。

 すると、瞬きする暇も無く一瞬で、持っていたそれは【消滅】する。

 二人の肩に、震えがあった。得体のしれない力への恐怖。

「エクサタ君……、脚、大丈夫……?」

「完治はしてない。だが走れる。」


「あの赤紫女の能力………何かヤバい……逃げるよッ!!!」


 エクサタとニーズエルが女に背を向け走り出す!!!

 しかし―――――女が叫び、二人に向かって走り出す!!


「【ルーク・オブ・ヘルシャドウ】!!!!!」


◆その他人物名鑑◆ #2

アクアマリン・グラン


人種――――――アトランティス人

二つ名―――――貫将

年齢――――――24歳

身長――――――174cm

所属――――――新アトランティス帝国


新アトランティス帝国四天刃の1人で、かなりのイケメン。

冷酷かつ残酷な性格だが、熱くなりやすく、精神的面は脆い。

カース・アーツは強いがこのアクアマリン自体はかなり無能で使えない男としか言いようがないだろう。


【カース・アーツ】は【使役獣召喚型】の【ナイト・オブ・ヘルフィッシュ】

 最大召喚数は"1"。

 両手で△の形を作る事で、その中心から前長1m程の深青色のカジキのような怪物を召喚し、射出する。

 射出された怪物は、次に何かにぶつかるまで回転しながら直進する。

 ぶつかった先にある物体が液体なら、再度好きな方向に射出が可能。

 液体が無ければその場で蒸発する。

 五感共有可能。

 射程は∞。

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