第41話 D・D・F争奪戦
あらすじ:
最強の探偵レンガ・ウーマンによってエクス・クロスはレンガで腹を貫かれ死んだ。
そして【D・D・F】も奪われ、探偵でも怪盗でもない謎の第三勢力も出現。
5つの【D・D・F】をめぐり、今…3勢力による血で血を洗う【D・D・F】争奪戦が開幕する。
―――AM12:00 ビル街・弯曲十字周辺
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[弯曲十字から半径1㎞以内の各勢力残存戦力]
【マッレウス・マレフィカルム】
攻撃ヘリAH-64 アパッチ(カースアーツ使い2名搭乗) 8機
【新アトランティス軍】
セクンダー・グラン
弯曲十字の洗脳兵――――――622名(補充可能)
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「112 113 114 115 116 117 118 119 120!!!」
ドババババババババ!!!!!!!!!!!!
マレフィカルムの【カース・アーツ使い】達が数を数えながら
弯曲十字の洗脳兵をヘリの機関銃でゴミのように撃ち殺していく。
そして彼らはこれが遊びだと思っている!
『くそ―――これではキリが無いな!!』
『セクンダーはアトランティス人!!お前もロンカロンカ様経由でシルバーの死骸写真を確認したろう!!神々しい褐色肌だ!!』
『洗脳兵は殺せ!!!もし奴がここから逃げ出せたとしても殺しただけ百賭様の敵対戦力を減らせる!!!』
『百賭様への信仰心があるなら殺しまくれ!!!!!』
撃ちころす!正義に反する豚どもを笑いながら撃ち殺す!!!
これが探偵協会マレフィカルムのやり方!
「百賭様の命令通り攻撃を続けろ!!あの十字周辺には地下通路は存在しないから、外に出なければセクンダーはここから逃げ出せない!!袋のネズミだ!!」
ドババババババババ!!!!!!!!!!!!
「ハハハハハハハ!!!逃げ惑え愚民共!!!!」
『隊長<リーダー>ァァァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!』
3番ヘリ部隊の【カース・アーツ使い】から通信が入る!
『3番隊!!!何ごとだ!!」
「あ、あの………』
「ハッキリ言わんかい!!」
『我々の近くで作戦行動をしていた……4番隊と5番隊のヘリが――――その―――一瞬、目を離した隙に見失って!!』
ただ事ではない発言。
「馬鹿な!!!ヘリはデカい乗り物だ!!!一瞬で見失う筈がないだろ!!!」
『だって、どこを探して……ウオッ――――――――――』
<<ガ――――――――――――――――――――>>
急に通信とだえる…………
「ウ、ウオッ……?な、どうした、応答せよ!!!俺をビビらせ――――」
瞬間―――――――ドンゴン!!!!!!!前長1m程の深青のカジキのような怪物が回転しながら
隊長の乗るヘリに突撃する!!!フロントガラスを突き破り、隊長の胸を貫きえぐる!!!
ちなみにカジキとは上顎がめっちゃ鋭くでかい魚の事である。
「ガッハ―――――!?」
このカジキのモンスターもまた…【カース・アーツ】なのか……!?
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――AM12:01 新潟宝石博物館・3F
手すりの上に立つ百賭、その側には体が半壊したセクンダーの洗脳兵がいる。
彼女はヘリ部隊の壊滅を耳にし、半壊した洗脳兵を睨む。
「…セクンダー、お前まだ何か隠しているな…」
『【エンペラー・ゴールド】だ………』
「何だと?」
突如、そう言った。
『新・アトランティスの皇帝、【エンペラー・ゴールド】。
今後僕を呼ぶときはゴールド様と呼べ………!!ただの人間ふぜいが……!!あははははっ!!!』
「フッ……面白い事を言う奴だ―――まぁ大体想像はつくぞ、操っている兵士の中に紛れ込ませたんだろ…?
自分の協力者として雇った【カース・アーツ使い】を……」
セクンダーの洗脳兵がにやりと笑う。
そして百賭がそのセクンダーの洗脳兵の頭を踏み潰し破壊する。
そして彼女は、近くにあったドアを突き破り、中に侵入する――――
そこは、百賭がシルバー達を岐阜におびき寄せるために1つの【D・D・F】を安置していた部屋!!!
【D・D・F】を入れていたガラスケースを確認する。
何やら何か噛み千切られた穴が開いていて、中には何も入っていなかった。
穴は、睦月が【ダーク・ウォーカー】の『蟻』で盗みを行った痕跡だろう。
「フッ……予定通り持って行ってくれたか…シルバーの仲間よ。
そうすると思ったぞ。だがいい。その【D・D・F】はもう…『必要ない』。」
――――――――――――――――――
真の敵ッ!!
<わかりやすい相関図>
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|| マレフィカルム || ||シルバー&睦月チーム│
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
||「願い:すべての人間がこの百賭を 「願い:【D・D・F】を葬れ!」
|| 崇めるようにしろ!」 || : ||
|| : | <ブッ殺す!!!> || [シルバー] ||
|| [百賭] ←――――――――――――→ [睦月] ||
|| ↑<ロンカロンカを倒した要注意人物> [神] ||
<いつでも │ || ==↑↑=======
殺せる> │ || <弱点は知った!>││
|| │ || <取るに足らないザコ> ││
|| │ || ←─────── │<今は協力しよう>
|| │ || │ ││
|| │ || │ ││
|| │ || │ ││
|| │ ||<【D・D・F】を渡せ!>││
|| │──────────────── │
<レンガで││<レンガで殺す> _↓__ ↓______
|| 殺す>││ || ||ニーズエル&エクサタチーム ||
|| ↓│ || <エクスの仇> ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||
|| [レンガウーマン]←─────────→ [ニーズエル] ||
|| : <レンガで殺す>|| [エクサタ] ||
||「願い:私以外全ての人間を || : ||
|| 永遠にレンガで殺し続けろ!!」||「願い:このニーズエルを
|| || || 人間にしろ!」 ||
======== =============
↑<殺す>
<殺す>│
____↓______________
|| 新アトランティス帝国(人口1桁) ||
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||
|| [ゴールド] ||
|| : ||
|| 「願い:最強の魔術師クロイツェン・ ||
|| ママゴンネードの復活」 ||
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―――AM12:05 ビル街。
地には無数の操られた人間達―――――――
天には巨大な【弯曲十字】―――――――――
その異様な情景の中で飛び交う、二つの影。
建物の上から上へジャンプしながら移動しているその影は………
ニーズエルとエクサタ!
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シルバー&睦月チームの【第一目的】
―――――――→睦月がマレフィカルムからこっそり奪った【D・D・F】の回収
ニーズエル&エクサタチームの【第一目的】
―――――――→グレトジャンニに奪われた【D・D・F】を取り返す
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エクサタがジャンプし、着地する……
すると、エクサタの【カース・アーツ】―【センチビート】の『衝撃』を保存する『能力』が発動し、着地点がまばゆく黄色に輝きはじめる。そして、その黄色に輝く着地点…エクサタの足元が爆発し衝撃波を生む。
エクサタはその衝撃波を利用し、建物間の大ジャンプを行っているのだ。
ニーズエルも地面を蹴って大ジャンプし、エクサタと空中で並び跳ぶ。
「【ダーク・ウォーカー】で状況を監視していた睦月ちゃんによれば…
グレトジャンニはデパートに出た後、側で待機していた飛行中のアパッチ(攻撃ヘリ)に搭乗。
そしてそのアパッチは、この方向―――岐阜宝石博物館のある方向に向かって…真っ直ぐ飛んで行ったらしいです。」
「その方向に向かえば博物館、又はグレトジャンニの載ったヘリと……そのうち遭遇する可能性大……」
エクサタが言葉を話す。そう、エクサタはニーズエルと二人きりの時だけ言葉を発する。
「ヘリが博物館の方にまっすぐ向かったというのならば―――博物館で全ての【D・D・F】を揃えようというのなら―――
恐らく博物館には探偵王・百賭がいるという推理が出来ますね…
取りあえず奴とグレトジャンニを合流させるのはまずい、間に合えばいいんですが…」
ニーズエルとエクサタがさらにジャンプし、並び跳ぶ……
「それにしても――――二人だけで戦うするなんて久しぶりだね。アルギュロスさんに出会って、ウィザーズに入る前はずっと二人っきりで世界を放浪してたなぁ…」
「……」
「ゴメン、いやな事思い出させちゃった…?」
「………ニーズの言葉で不快になる事など無い。」
更に着地、そして再度並び跳ぶ――――するとニーズエルが何かを見つけ、驚き始める。
「エクサタ君!あれ!!」
ニーズエルが右下に向かって指を差す。
エクサタがその指の差す先に視線を合わせると、そこには道路に墜落したヘリとそれに群がる操られた人間がいた。
そして――――
そばの鉄柱にはヘリの乗員の死体と思わしき『もの』が3つ綺麗に並んで串刺しにされていた。
「ひどいな―――下にいる操られた人間達がやったのか?あの有様じゃあれがグレトジャンニ達の死体かどうかわかんないな。」
ニーズエルとエクサタが窓を足場にしながらビルを下り、
その惨状を近くで確認する。
3つの死体は見る影も無い程顔と体がぐちゃぐちゃにされており、
「እነዚህ ሰዎች ሞኞች ናቸው. እሱ የተሸነፈች አገር ናት.(こいつらは馬鹿です。敗戦国の民です。)」と書かれた紙が胸に貼られていた。
「―――――ニーズ…」
中央の死体に向けて指を指すエクサタ。その死体は右腕が綺麗に欠損していた。
エクサタはこれがグレトジャンニの死体だと言っている。
生前のグレトジャンニもエクスのトランプで右腕が欠損していたからだ。
「………確かに特徴は一致する。
あの、それとエクサタ君―――唐突な質問だけど…よく…現実舞台のフィクションの映像作品とかでジジイの執事とかよく出てくるじゃん。
あいつらってさ…なんか必ずと言っても良い程片目だけに丸眼鏡のグラスみたいなの付けてるよね…あれってなんだっけ…?」
「カタメガネ……」
「カタメガネって言うんだ…エクサタ君、あれを見て。」
ニーズエルが指を差す、そしてその方向の先には――――
血で濡れグラスが割れた片眼鏡があった。
「―――あれは…?」
「恐らく、グレトジャンニが付けていたカタメガネ。さっきあのデパートで見た時のものと色と大きさがほぼ一致してる。」
……右腕欠損、死体…カタメガネ……
間違いなく、グレトジャンニは、ここで洗脳兵に殺されて死んだ。
推 理 完 了 !
エクサタとニーズエルが、状況から全てを察する。
「……問題は、グレトジャンニを殺して【D・D・F】を持ち出したのは
誰かということだ……。候補は二つ。レンガの女……そして弯曲十字を操る奴……」
「恐らく……こいつらをゾンビのように操っている奴ですよ…
レンガ・ウーマンは性格上、鉄柱で死体を晒し上げにするなんてこと絶対にしないし、それにあのヘリの周り……大量のカラスの死体と羽根が落ちている。」
「カラス……」
「恐らく、ヘリを墜落させたのはあのグチャグチャのカラスたちです。
あの十字の【カース・アーツ】でカラスたちを操り、ヘリを墜落させたんです。つまり洗脳されるのは人間だけじゃない!」
「となると……【D・D・F】探しは益々混迷を極める―――この地上にいる無数の人間全てが……十字の敵の操り人形だとすると…誰が盗んだかの特定は難しい。」
エクサタとニーズエルが近くの建物(2階建て)の天井に飛び移る。
そして、エクサタがニーズエルの懐から携帯端末を取りだし、誰かと通話を始める。
「もしもしシルバー、聞こえる?」
『ニーズか……【D・D・F】を見失ったの?』
「うん……――グレトジャンニが十字架のカースアーツが操ってる奴らにやられたらしい……恐らく【D・D・F】もそいつらに―――」
『ニーズ、貴方の【ドラゴニック・エンゲージ】だけど確か、かなり鼻が利いたよね?』
「うん、この『能力』は感度さえも上昇させる……」
『実は私、グレトジャンニに【D・D・F】を持って行かれる際、液体にした硫黄を【D・D・F】にこぼし、石化させていたの―――
そしてさっき、「神」を通じて【D・D・F】の移動ルートが変わったのを感知した時にその石化を解除した。
これがどういう意味か、分かるわよね?』
アトランティスの神はシルバーの所持していた【D・D・F】の状況をある程度感知する事が出来る。
(第10話 D・D・Fに忍び寄る二つの影―――参照)
「まさかですが…」
ニーズエル目を見開く。
『硫黄は激臭がするわ。腐った卵のようなにおい…。ニーズエル、貴方はその異様な嗅覚でその臭いを探しだし、追うのよ!匂いを辿った先に【D・D・F】を奪った奴は、必ずいる!』
「―――成程、OKです!」
『私たちの方なら心配しないで、依然順調よ。睦月によればまだ【D・D・F】を盗まれたことに百賭達は気づいていないようだからね。』
ピ!!
そして通話終わる…………
「硫黄の匂い――――腐った卵のようなにおいだったですね……」
ニーズエルが翼を広げ、洗脳された人間たちによる攻撃が当たらないよう、道路の上を飛行……
そしてクンカクンカと臭いをかぐ仕草を行う。暫く立つと不快な顔をしてとある方向を向く。
「思ったより臭い―――硫黄ってこんな臭いだったんですか……能力で嗅覚が上昇しているせいで、余計に臭いです。
あーもう……!!-――ふぅ、でもこれで方向が分かった―――やっぱりあの怪盗は頭がキレるよ…」
ニーズエルが上昇し、脚をエクサタの方に向かって振る。どうやら臭いは今まで向かってきた方向から左に向かった先に続いているようだ。
「こっちです!ついてきて!」
エクサタも【センチ・ビート】の能力を駆使しながら建物の壁を渡り、
移動する。順調にいけばこのまま【D・D・F】の持ち主までたどり着ける。
しかし…事態はそう甘くはない。
「――――………何か音が聞こえる……」
「………ニーズ…?」
「エクサタ君は聞こえない?後ろからですよ!」
「……」
――ドンゴン(極小)……――ドンゴン(極小)……――ドンゴン(極小)
――ドンゴン(小)………――ドンゴン(小)………――ドンゴン(小)
――ドンゴン(中)………――ドンゴン(中)………――ドンゴン(中)
「何かが何かにぶつかるような音―――ちょっと何か嫌な予感がしてきたよ……」
「――――これは!」
二人が背後に振り返ると――――
ドンゴゴゴン!!!!!
ビルの影で見えないが、ヘリの墜落現場周辺で血が飛び散っている。
操られた人間達の頭が何かで潰されているようだ。
「う…うそでしょ!!」
ヘリの影から一人の女が顔を出す!!!
身長230㎝の巨大なその影―――――
「――――――――ッ!?」
「レンッ―――――!!!」
言葉を失う。それは絶望の化身。それは悪夢の具現化。
そのシルエットが何者か、もはや言うまでもないだろう……
「アーーーーーハッハッハッハ!!レンガをどうぞおおおお!!」
レンガ・ウーマンの登場だァァァーーーー!!
レンガ・ウーマンが辺りを歩く人々をレンガで殴殺、鏖殺している!!!
◆探偵名鑑◆ #7
グレトジャンニ
本名―――不明
民族―――イギリス人
年齢―――75
身長―――176cm
ID探偵No.1。探偵王補佐を務める、年配の男性。
数々の視線を乗り越えID探偵の頂点に立った大探偵で、並の怪盗では手も足も出ない。
夜調牙百賭と共にDDF争奪戦へと参加する。
『能力』は【マイティ・ウォール】
指輪の形をした【装備型カース・アーツ】。
はめた指の指し示す方向に向かってくるあらゆるエネルギーをゼロに出来る壁を生成する。




