第33話 最後の三羅偵・レンガ・ウーマン
あらすじ:
男と女を持つ探偵・東結金次郎を撃破したシルバーたちだが
今度はレンガで100人以上を無差別に撲殺した謎の殺人鬼がシルバーたちを追跡する!
シルバーが睦月に駆け寄る。
「睦月!敵は…!?」
「今、この建設中デパートの【西入口前】にいる!!レンガを持ってはいないが、身長は2mを越えていて、藍色の髪…!!顔はすごく…おびえた表情をしているな…」
「情報と同じ……例の殺人鬼か!!睦月、お前のダークウォーカーで奴の身元から奴の身分が分かるものは盗み出せないか?」
「や、やってみる!」
ダークウォーカー(蟻)が2mの女の服をまさぐり、財布をこっそりと盗み出す。中には免許証があった。
「免許証を奪った、名前は―――ッ!!【黒霧四揮】。マレフィカルムの探偵ッ!!」
「四揮――――!」
「レンガの殺人鬼が、最後の『三羅偵』……」
「『三羅偵』なのはいいよ…でも、何かおかしいぞこれ…」
「何がおかしいんだ…」
VOOOOOOOOO……
「免許証の交付日が―――『昭和44年』。西暦に変えると『1969年』。今は2010年だから…最後に免許を更新したのが『約40年前』と言う事になる…」
「40年前…?奇妙ね。日本の免許の有効期間は大体『3年から5年』だ。
交付日が40年前だという事は…とっくに期限切れ…タイムオーバーの免許証。なんでそんなものをわざわざ持ち歩いてるのよ…」
「それだけじゃない…その――――顔写真が…その…
記載情報から察するに40年以上前のものだと思うんだけど…今と全く…『顔が変わらない』んだ…!
61歳の筈なのに…その顔に小じわ一つない…若々しすぎるぞッ…!!」
「…」
タンっ!!(重き足音)
「その四揮って奴は、恐らく【自己強化特化型】の【カース・アーツ】を持っているんだと思います。」
「ニーズエル…!」
ニーズエルが睦月とシルバーの会話に割って入る。
「私もそうなんだけど、【自己強化特化型】の【カース・アーツ使い】は、自分の持つ【カース・アーツ】に呪われて、人外じみた外見、性格になるケースが大半なんですよ。
カースアーツは死んだ人間の負のエネルギーで作られたらしいから…言うならば、死人に体と心を乗っ取られた状態になる…か。」
同じ【自己強化特化型】のニーズエルは、抑えきれない『食人欲求』と、『白すぎる肌』を持っていた。
「―――成程、年齢の割にあまりに若々しい外見と、その高身長、目に入る人間にレンガをぶつけて殺したくなる習性は…【自己強化特化型カース・アーツ】の副作用…というわけね。」
「でも、ちょっと年齢が気になりますねえ。【自己強化特化型】の【カース・アーツ使い】は、その魂を呪いにむしばまれ、30年も生きられないはずなのに…」
そし―――
「は―――――入ってきたッ!!!ついにこのデパートに入って来たぞ!!」
「睦月、蟻の顎で四揮の体を攻撃してみて呉れ―――」
「――――――――!わかった」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
廃デパート西入口から四揮が入場する…
彼女は荒く呼吸している…
「この"反応"……敵は……二階にいる!!ハァ……ハァ…早く―――解放シタい―!!!レンガ・ウーマンを解き放ちたい…!!すべての人間の後頭部に【レンガ】を叩きつけ―――!!」
そこで、唐突に紫の蟻が、四揮の右手に噛みつく!!
「キャ、キャアアアアアアーーーーーーーーーーー!!!何よコレェェ――!!!」
四揮が左手に【レンガ】を出現させ、自分の右手を叩き潰す!!!!!
【レンガ】を『具現化』する『能力』!!
「ヒャハハハッッッ!!!!おい・・・おい!!!!!敵!!!敵!!!敵敵敵敵的的適適適適適!!!!!きいてるか!!!!!私を止めるという事は世界を滅ぼすと同義なんだぞ!!!!!」
狂乱の四揮。
そしてレンガの女は走り出す!!!!!!!そして…二階までジャンプし、更に走り出す!!!!
この驚異的な身体能力は…ニーズエルと同じ…【自己強化特化型】こその身体能力だ!!
「動くなですよーーーーーーーーーーーッッッ!!!!」
「!!!」
四揮の前方10m先の柱の影から、身長147㎝程の少女が現れた。ニーズエルだ。右手で銃を構えている。
「殺人探偵!お前に与えられた選択肢は3つある!
①―――前に進んで私達に殺される!!!
②―――後ろに進んで、無傷でこのデパートを出る!!!
③―――それ以外の事をして、ここで死ぬ、この3つだ!!!」
「――――ハァ……ハァ……ここにいる5人の怪盗のうち、【D・D・F】っていう宝石を持っているのは誰!?そいつを殺したい!!!」
バキュン!!!四揮右足撃ち抜かれてその場に倒れる。
「③か?③を選ぶのか!?」
「ヒャハハハ…………私も忠告はしたんだよォォォ……?」
四揮立ち上がる。
ニーズエルの近くの柱から、銃を構えたシルバーが静かに顔を出す。
「………やはり【自己強化特化型】か……」
「―――無暗に近かないでくださいね、敵の能力はまだ得体がしれない。知れなさすぎる。」
ニーズエルが携帯端末取り出して誰かと通話する。
「エクスさんとエクサタは、奴の後ろに周れた?」
『嗚呼、あっさりとな。準備はいつでもOKだ。睦月くんも無事に敵から距離を取れたようだ。』
WAWARAWARAWARA---四揮の周りに、紫色の蟻が集まる…。睦月の【ダーク・ウォーカー】
「四面楚歌――――ってヤツだね……奴に逃げ場はない……」
だが四揮は……
「――――DDF持ってる一人だけ殺して許してやろうと思ったんだけど…もういい。こんな痛い目にあわせやがって……全員死んでしまえ!!!」
四揮の立つ場所に、黒百合が生えてくる。黒百合の花言葉は『呪い』『復讐』。
VOOOOOooooooo――――
「ハァァァァァァ!!!!!!ハッハハハハハ……!!!!これで夢が叶う!!!!!百賭様………!!必ず私を殺してくださいね!!!!私を殺せるのは貴方だけなのですから!!!!」
大量の黒百合が四揮の体を覆うように成長し伸び始める!!!!!!!
VOOOOOOOOOOOOOOOO――――――――
『今だッ!!!』
しかしそれと同時に……睦月の大量のダークウォーカーが!!!
シルバーの銃弾が!!!!エクスのトランプが!!!!!
ニーズエルの投げた石が四揮に襲い掛かる………
VOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO――――――
「スゥゥゥ―――――――――――――」
四揮が息を大きく吸いこむ。そして――――
瞬時―――――――その場に衝撃波が走る!!!!!!!!!【ダーク・ウォーカー】が潰れ!!!銃弾は逸れ!!エクスのトランプは吹っ飛び!!!!!ニーズエルの投げた石が砕け散るッッッ!!!
「な、何が起きたあああああああああああああああああ!?」
黒霧四揮の体が『漆黒色』に『光り輝き』、人以外の周囲の背景を闇にする!!
バンゴッッ!!!!―――――四揮の右手に【レンガ】が出現するッ!!!!!!!!!!!
「「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアアああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
四揮の雄叫びが二重になっているッ!!!
「なッ-―――なんだコイツはッ――――!!それに手に【レンガ】出現ッ…!?自己強化特化型じゃあないのッ…!?」
バンゴッッ!!!!――――――四揮の左手に【レンガ】が出現するッ!!!!!!!!!!!
「「ぬあああああああああああああああああああああああああああああああ」」
カッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!四揮の体が光り輝き巨大化する――――!!
-―――ドンゴ!!!
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VAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――――――――
……
フォサァ…
光と闇の中から、四揮が現れる。
ニコッ
その顔、先ほどの怯えと絶望の表情は何処へ行った――――まるで隣人に寝取られそうなおっとり系の団地妻糸目お姉さんのような優しさを感じる笑顔と言った感じだ…
( ´ ∇ ` ← こんな感じ )
しかしそれは逆に恐怖であった。何故なら両手にレンガを持っていたから…黒く禍々しい闘気を全身から放っていたから…
身長は先ほどの205㎝からさらに大きく―――230㎝ほどになっている。
「フフフ―――――ハッハッハッハ!!!」
ニーズエルが怯えている。
「……なんだこのエナジー…しょ、正真正銘の化物だ……!!四揮、それがアンタの正体か!!!!」
「私は四揮では無い…あの人格は―――殺した!!!」
「えっ―――?」
「取りあえず自己紹介しましょうか?私はレンガ・ウーマン…レンガはいかが?レンガをどうぞ…」




