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ディープ・デッド・フィラー  作者: とくめいきぼう
第三章 動かぬ探偵と心の崩れ逝く先
30/75

第30話 東結・金詩葉金次郎

・銀の怪盗シーフ・シルバー

 カース・アーツ―――【ストーン・トラベル<石の旅>】

 『能力』――――――契約者の視界内、または契約者が触れた液体を自由に『石化』できること。


・食人怪盗ニーズエル

 カース・アーツ―――【魔龍の契約<ドラゴニック・エンゲージ>】

 『能力』――――――竜人に変身できる。弾丸程度ならいともたやすく弾く防御力とヘリを素手で粉々にできる攻撃力を持つ。


・怪盗エクス・クロス

 カース・アーツ―――【P・N・G<ピーエヌジー>】

 『能力』――――――銀色の爪を左手に具現化できる。爪に触れたものは硬度を保ったまま、極限まで『薄くなる』。

 

・動かぬ探偵 東結金次郎

 カース・アーツ―――【アタシの体温はマイナス一億度<アイアム・ワースト・オーバー>】

 『能力』――――――空気を凍らせる能力。(詳細不明)


[岐阜県・町の中]


 街が何やら騒がしい…その中でフードをかぶった5人組が、落ち着いて会話している。


「なぁ知ってるか!?このあたりで殺人事件が起きたようだ。」

「殺人事件?」

「ああ、背の高い20代程の女性が両手に持った【レンガ】で一般人を無差別に襲っているようなのだ。聞いた話では既に12人程殺されておる。」

「無差別か、探偵ではなさそうだな。で、今もそいつは逃走中ってわけか。」

「『我々』の敵では無いとは思うが、一応用心しておけよ。」


-――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 一方、東結と戦うシルバーたち。


「くっ……!!とはいえこの氷…どこまで追跡を!!」


 追跡する氷…しかし、エクスの目の前に氷に掴まっていたはずのニーズエルが下りてくる!

 火炎放射で自身の呪縛を解いたのだ!


「ゴメンッ…氷を火炎放射で解かすのに時間が結構かかりました!!」

「ニーズッ!!」


 ニーズエルがエクスを掴んで空を飛ぶ!


「シルバーは気絶した…?」

「フリだろう…アトランティス人はアレぐらいでは気絶しない…。奴の攻撃リーチは10m!!お前はその距離を保ちながら奴の周りを旋回し、シルバーを助けに行け!!」

「お、お前はって―――エクスさんはどうするのよ!!」


 エクスはニーズエルの腕をほどいて、高度6mから地上に落下する!!!


「あ奴の能力を暴く。」

「バ―――バカッ…自殺行為です!!!」


 ドンゴ!!エクスが東結の正面に5点着地する!!!

 エクスが東結の周りを走って旋回する!!!しかしそのスピードは人間並みだ!


「捕まりに来た…?いや、策がある様ね…」

「エ、エクスさん!!走るのはいいけどなんでそんなに遅いんです!!?普通の人間並み!!あの酒を飲んだ貴方ならもっと速く走れる筈…!!」


 氷のツタがエクスに向かって伸びる!!!

 しかし――エクスは氷が命中する瞬時に高速移動し、それを回避する!!!


「人間の早さじゃないわねっ☆」


 エクスが歩き始めた…

(あのオカマは、このエクスが呪増酒を飲んでいることをまだ知らない…だからあえて普通の人間のスピードで移動し、敵を油断させる…敵を観察する時間を稼ぐために!!)


 一方で空を飛ぶニーズエル。

「――――東結は今、エクスへの攻撃に集中している。私はシルバーを助けに行きますか。」

「……【増呪酒】かしら…?」


 そして東結は再呼吸……そして吐く!!だがその瞬間…エクスが左手に銃を持ち、東結の方に向け弾丸を二発発射!!!一発は東結の左肩を貫き、二つ目は右胸を貫いた!!!


「グオオウ!!!!」

「7000円の偽乳といってたな?20000円から30000円のもののほうがクオリティが高いというのに…乳グッズに妥協しやがって!」

「フン…だけど『肺』を狙うとは、攻撃の『条件』、理解した様ね…」

「どうやらお主の能力、永続的な攻撃は出来ないようだな。一定時間の攻撃の後、一定時間の休憩が必要になる。その休憩のタイミングは――――お主が【息を吸うタイミング】と全く同じ!!つまり息を吐く時でしか冷気の操作は行えない!!!」


 【アイアム・ワースト・オーバー】の攻撃条件は、東結の呼吸!!

 能力を暴かれ銃弾も打たれた東結!!

 しかし東結瞬時に立ちあがるッ!!

 そのタフネスに恐怖するエクス…


「執念を感じる…肩を撃たれてなお立ち上がるとは…!!貴様の執念は一体!!」


 東結が傷口を凍結する。


「私ちゃんたちは…二人で一人」

「弾丸の周りに猛毒を塗っていたが、傷口を凍らされては無意味か――――。」


 ボロボロになったポケットから一枚の写真が落ちる。それは、姉である『金詩葉』のもの。

 エクスはそれを見て、東結金次郎の女装形態と瓜二つの印象を見た!


「かつて私と我が姉『金詩葉』は…三羅偵の2隻を埋める存在だった…!!20年…!20年もの間、奴の発動を防いできたのよ♪だが、ロンカロンカによって我が姉は殺された……」


 エクスが―……東結の呼吸のタイミングを読む。だが、銃弾を受けたことにより呼吸が小刻みになり勝機をつかむのが難しいようだ。


「奴を発動させるわけにはいかない。『黒霧四崎』の…封印を……」


 時間がたつにつれ、【アイアム・ワースト・オーバー】迫りくる…!!勝機が失われていく!!

 エクスも弱気になっていく!!だが………


「そうすると思ったわ。」


 ポチャン……東結金次郎が、水たまりを踏む。その瞬間―――――――


「なっ……水を………!」

「ニーズエルは、自分の氷の拘束を、火炎放射で溶かして解いたと言っていた――――氷は溶けると水となる。アンタが今踏んでいるのは、ニーズエルを拘束していた氷………」


「……―-------【ストーン・トラベル】!!奴の踏んでいる水溜まりを『石化』しろ!!!」


 水たまりが石化し、東結金次郎は足元の動きを固定される!!その瞬間、東結は確かに『息をのむ』!!!

 -―――その瞬間、エクスは弾丸を三発発射!!!

 東結は三発の弾丸を足に撃たれ、ダウンする!!!能力が解け、シルバーの拘束が解かれる!!!

 そしてシルバーはツタから落ちてくるときに東結の顔面をキック!!

 東結の体が宙に浮き、その間に、ワンツー!!銃弾を2発発射!!右足をも破壊する!!!

 これでもう東結は立つことはできない!東結は痛みで白目を向いている!!


「おぎゃああああああああああああ!!!!!!!」


「トドメだ!!!食らえ!!!」


 勝った!!シルバーたちは5秒後の勝利を予想し、歓喜する!!だが、5秒後、シルバーは動きを止めていた!!

 エクス、ニーズエルもだ!!


 音がしていたからだ…!!とてもきもちわるいおとがした!!

 みしき!!ぐちょっ!!ぐちり!!!ぼきっ!!


 軋み音!!肉がちぎれる音!!骨が折れる音!!

 ぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎちぎち!!!!!!


 瞬間、東結の両足からピンク色の液体が宙に舞う!!!血と、雪が混ざった桃色の肉液!!


「私ちゃんは―――――――――」


 女の声――――――


「俺ちゃんは―――――――――」


 男の声――――――


 立ち上がる――――――立てないはずの男が、女が。そして怒っていた。この世にあるまじき深い憎しみが詰まった顔だ。

 だが無防備、勝てる!!3人は同時に銃を構える!だが、まだ動かない!!


「東結・金詩葉金次郎<かしはきんじろう>」

「え?」


 東結が謎の言葉を言った。


「金詩葉と金次郎、合体して金詩葉金次郎<かしはきんじろう>。わたし・おれちゃんがロンカロンカと『黒霧四崎』を殺すためだけに生み出した最終形態。」


 意味不明だった。だが、恐怖があった。目の前の女は。目の前の男は。左半分が金次郎。右半分が金詩葉の顔となっていた。

 両足がちぎれる、そこには、氷の足があった。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「勝つ!!!!!!!!」

 

 シルバーが銃弾を撃つ!!だが、東結の前身の氷の鎧が出現する!!


「【アイアム・ワースト・オーバー・コズミック・アンダー<宇宙の底>】!!!」


 さらに撃つ!!撃つ!!撃つ!!

「甘い!!!!甘い!!!!甘い!!!!」


 東結が激昂する!!!

 シルバーは思った、この女…さっきのように隙が、ない!!!常に呼吸している!!

 東結が氷の足を一歩踏み占める!!!


「止まりやがれええええええええええええ!!!!」

「きかぬ!!!」


 ニーズエルが蹴りをかます、だが、半身を凍らされ、一掃されて気絶する!!!

 エクスは、近づけすらしない!!!

 だが、シルバーは今東結の体に生じている現象を完全に理解した!!

 肺が、別々に、動いている!!!左肺が吸う動作をしているときに、右肺は吐く動作をしている!!

 これでは呼吸に隙が無い!!!


 絶望的状況に、大汗をかいた。

 東結・金詩葉金次郎は、今、二人の人間を宿している。

 左脳と右脳で別々の考えをする。

 目も別々に動く。

 一つの体に二つの心。金詩葉と金次郎。

 二つの命を持つ、新生物。


 シルバーが、下がり、走る。


 東結・金詩葉金次郎が走るというより、氷の床を出現させ、滑る。


 負ける、負ける、負ける?

 考えろ。考えろ。考えろ。

 いや、あきらめた方が――――――――――


 だが、そこで脳裏に浮かんだのは論渦院論夏の姿であった。

 雨の中でも、最後まで勝利を信じていたあの強敵。


 心は保たれた――――――――シルバーが向かった先は……最初に目標としていた湖!!!

 湖までの距離は20m!!だが、スピードは滑る東結・金詩葉金次郎の方が早い!!


 15m――――――10m――――――5m!!!!

 だが、残り2mともいわんときに、東結・金詩葉金次郎が、シルバーを追い越し、前に出る!!!!


 ぐちょりぐちょりぐちょりぐちょりぐちょりぐちょり!!!!

 肉片の飛び散る音!!東結のちぎれた脚から生える氷の足は、東結の命をもむしばむ力なのだ!!!


「【アイアム・ワースト・オーバー・コズミック・アンダー<宇宙の底>】!!!」


 氷が、迫る。


「勝つる。勝たねば終わらないのよ!!終わらないんだぜ!!」勝たなければすべてを奪われる!!私たちのように!!私たちのように」


 金詩葉金次郎が泣いていた。かつてロンカロンカにすべてを奪われたゆえの。大涙。

 だがシルバーもまた、泣いた。

 シルバーもロンカロンカにすべてを奪われた当事者だからだ。心の崩れ逝く先にいる二人。勝敗は今…決する。


「終わりだあああああ!」


 最後に勝つ勝者は、シルバー!銀の怪盗シーフ・シルバー!!

 突如、シルバーと湖に挟まれ立っていた東結の体が、地面に沈む!!!


「【ストーン・トラベル】。湖の一部分の表面を『石化』し、まるで足場のように見せかけていた。」


 そしてその『石化』部分に立っていたのが東結・金詩葉金次郎!!!!

 『石化』を『解除』すれば当然彼・彼女は体勢を崩し、湖に沈む。彼は氷の鎧を纏うからなおさらだ。


「うぼあ!!!」


 身動きが取れなくなった東結をよそに、シルバーが湖の表面を『石化』させながら、陸地から60mの場所に下り立つ!!

 そして、湖の一部分を『石化』させ、長柄の武器を作る!!

 柄の長さが50m程ある、超長柄のモーニングスターだ!!!


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」


 【増呪酒】のパワーを借りて、それを、横なぎに振り、東結・金詩葉金次郎を討つ!!!


「【ストーン・トラベル】……」

「死ぬ……?ああ…俺ちゃんはやっと……姉さんのところに……」


 ドンゴン!!!ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!

 氷の鎧が砕け!!東結・金詩葉金次郎が吹き飛んだ!!!!

 そしてその金詩葉金次郎の体から、赤い瘴気が抜け出ていった!!!

 ロンカロンカへの憎しみ、執着、そして…恨み!!全ての呪いが今解かれた!!!!


 東結の周りを囲っていた氷の壁が溶け、消滅する。シルバーが東結に歩み寄り、銃を構える。


「シーフ……シルバー………」

「東結…あなたも私と同じ………」

「俺ちゃんは…マレフィカルムの幹部でありながら、一般人の感性、一般人の倫理観。そして不殺主義。化物の世界に入りきれなかった存在…。だが姉きはロンカロンカに殺され、俺自身も奴に7度の敗北を喫した…」

「………『三羅偵』・最弱だったというわけね…」

「フッ……貴方が……うらやましいわ…」


 東結が気絶する………


 マッレウス・マレフィカルム日本支部『三羅偵』

 動かぬ探偵 東結金次郎―――――――――――――戦闘不能。


「…………」


-――――――――――――――――――――――――――――――――――――

[岐阜県――ホテル『SaveAndPeace』ROOM223

                ――――「睦月とシルバーの部屋」]


「この感覚、この集中力―――間違いない。私はいま、呪増酒の副作用を乗り越えた……ようやくシルバーと共に戦える―――多分。」

「………」(コクッ)


 部屋のテーブルの上に睦月と携帯端末を弄るエクサタが立っている。暫く立つと睦月はテーブルを降りて、部屋のキッチンまで移動する。


「エクサタ君、その身体の動き、喉、乾いてるだろ。コーラ飲むか?」


 しかしエクサタは微動だにしない。

挿絵(By みてみん)


「あー炭酸は嫌いなんだな。じゃあこれは。」


 睦月が冷蔵庫からポカリを取り出す。しかしエクサタは微動だにしない。


「炭酸じゃなくてジュースがダメなのか…。じゃあこれ。」


 次に取り出したのは、爽健美茶。しかしエクサタは微動だにしない。


「成程、これか。ほら、どうぞ。」


 エクサタが睦月から茶のペットボトルを受け取る、そして、キャップを開け、ごくごくと飲み始める。一気飲みだ、全部飲みやがった。

「―――その眼の動き、テレビを付けたいのか?」


 睦月がテレビを付けると同時に、エクサタはテレビの正面にあったソファーに座る。そしてそのすぐ隣に、睦月がちょこんと座った。


 エクサタはしばらくテレビを眺めていたが、暫くすると携帯端末を取りだし、ポチポチとボタンを撃ち始めた。


 するとそれを見ていた睦月も同時に、携帯端末を取り出す。


「―――フフ、私にメールしたいんだね。」

(エクサタはニーズエル以外とはなぜか一切喋らない。故に他人とどうしても言葉を伝えたいときは携帯のメールで意思疎通する。)


 ポチ!


「あ―――来た。えっと内容は…『睦月殿のカース・アーツはヒトの心を読み取る能力なのか?』かぁ。あぁ。これは違うよ。私のカースアーツはそんなんじゃないって。」


 エクサタは再度携帯端末を取りだし、ポチポチとボタンを撃ち始めた。


 ポチ!


「『能力ではないのならなんなのだ。明らかに私の心情を察した行動しているではないか。』――――か。嗚呼、これはね…ただ洞察力が強いだけだよ。私の一族……怪盗の一族だったらしいんだけど、代々洞察力が強くて、人の心を読むことに長けていたんだって。」


 ポチ!


「『テレビの動物番組とかでよく動物の心の声を聞き取れる設定の人が出てくるが、アレと同じようなものか』―――

 まぁそうだね、でも、人間の心は、動物の心なんかより、ずっと読みやすいかな。」

「………」

「後さ、聞きたい事あったんだけどさ、エクサタ君って、もしかして……ニーズとそういう関係なの?」


 エクサタが顔を赤く染める。


「あ、あはは…いいよ、言わなくてもわかる。」




『テレレレン!!(警告音)緊急ニュースです

 岐阜県岐阜市にて、例の20代後半、身長2mを越える女性が、中央小学校に乗り込み、両手に持った【レンガ】で学生、教師含め無差別に80名ほど殺害、現在も逃走中との…………』


「80人…!?」


-――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 商店街の中を、身長205㎝程の巨大な女性が狂いながら歩いている。両手にはレンガを持っている。


「お、大きい御嬢さん、大丈夫ですか?」


「あーーーはっはっはっは…!!だめだメダめ……これ以上解放しちゃうと……あはハハハハ!!レンガ・ウーマンを………抑えられなくなる………!!!」



――――――――――――――――――――つづく。

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