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ディープ・デッド・フィラー  作者: とくめいきぼう
第二章 天才美少女探偵は勝利を信じてる
15/75

第15話 二重能力者<デュアル>

あらすじ―——

天才美少女探偵・乱渦院 論夏<ロンカロンカ>によってシルバーは一度死に、右堂院や祖父プロメテウスも死に至った。

シルバーはロンカロンカへの復讐を誓うが……

[ロンカロンカの襲撃から二日後・PM6:00]


 この一週間の間でネオ鳥取市の『行方不明者』は既に600人を越え、警官隊による類に見ない大捜索が行われていた。

 行方不明者が続出する原因は言うまでもないだろう―――天才探偵ロンカロンカ……彼女の仕業だ。


「ロンカロンカ様!お勤めご苦労様です!!」

 何も知らぬ警官隊の一人が―――ロンカロンカに敬礼を行う。


「おまわりさんの方こそ、お勤めご苦労です!」

 ロンカロンカが、ニコニコ笑顔で返事を返す。して、その動作で胸部の豊満をさりげなく揺すぶり、警官隊たちを虜とする。

 魅了される警官隊たちは、彼女が人を殺してることを知る由もない。


(―――――さて、二日たっても見つからないとなると…【D・D・F】は既にこの街の外に持ち出されたのか?私の勘では、まだそうは思えないが……でも、これ以上この街にいるのもアレだな―――この街の人間が何人死のうとどうでもいいが、鳥取は何もなさすぎで飽きてきたし……学校の奴らから何度も心配の電話やメールを貰うのも癪だ。

 まぁだが、東京の『本部』から3人もサポートの探偵を呼び出したしもう少しはこの街にいてやろう………まあとりあえず、『拷問基地』に戻るとするかな。)


 面倒くさそうに体を伸ばす動作。

 ロンカロンカ自体は【D・D・F】自体に興味はなく、ただ仕事だから今回の事件にかかわっている形なので、今回の任務にあまりやる気はない。

 しばらくして、彼女の携帯端末の音が鳴り響いた。


「マレフィカルム三羅偵、ロンカロンカです。」

『金次郎だ。』


 ロンカロンカに電話をかけてきたその男、『三羅偵』東結 金次郎――――――――――


「珍しいじゃないですか、金次郎さんの方から連絡してくるなんて。くすっ…それで、何の要件です?」

『ニュース見たか……?ネオ鳥取で、600人もの行方不明者が出て大騒ぎってやつ。アレ、テメェの仕業だろ――――』

「フフ、確認するほどのことで?」

『いいか、今すぐそんな汚い推理で事を進めるのはやめろ。テメーのやり方はカスだ。正攻法<ジャスティス>じゃねェ。天才だの言ってるくせに犠牲を出さねぇ作法ってのがなってねぇんだよ。』

 カリッ。ロンカロンカがエンプレスプリズンから小さめのエビフライを取り出し、食べる。


「…あぁ、そうですか。でも、今週中に1000人は殺すつもりなんですよね。」

『は?』

「というか…金次郎さんは私の上司でもなんでもないでしょ?百賭様が止めろと言うのなら止めますが、キミなんかの命令を聞く筋合も義理もありませんよ。それに、罪なき人々の事を思うなら、今からこの街に直接乗り込んで私を殺しにくればいいでしょ。なんで東京に引きこもってるんですか?」

『テメッ!ロンカロン―――』


 ピ!ロンカロンカが携帯端末の通話停止ボタンを押下する。


「あいも変わらずちっぽけですねぇ。」


―――――――――――――――――――――――――――――――――

[同時刻]


 赤いフードを被る一人の女が路地裏を歩く。変装したシルバーだ!ロンカロンカに生きている事を感づかれないよう変装して行動しているのだ!!

 そんなシルバーが誰かと通話しながら歩いている。


「私がロンカロンカに完全敗北した一番の原因。――――それは、まず……奴に『先手』を取られたという事。正直言って―――家を爆破され重傷を負った時点で……私の敗北は決定していたようなものだった。だから、次奴と戦うときは……必ず先手を取らなくてはならない。」

『でも良くも悪くも運がいい事に、ロンカロンカは嬢ちゃんが生き返った事を知らないんだろ?』

「ああ、そうだよ………ロル。」

 通話相手は――――『ロル』!【無線サポート怪盗】の……ロルだ!!


「でも一つだけ問題があって――――アイツ……探偵の増援を東京の本部に要請したようなんだ。正直言ってロンカロンカは今まで出会ってきた中で最強の探偵だ。一対一でもかなり厳しい相手なのに、サポートがいるとなればまず勝ち目は無くなる

 ――――――――『一人はすでに始末したが』…後二人の居所が分からない…」

『そこで、俺の出番だと。』

「ああ、お前の【カース・アーツ】の力を借りる。『この宝石の半径150m以内の情報を正確に取得できる』という、お前の【カース・アーツ】の能力を…」

『【ザ・レーダー】だ、それが俺のカースアーツの名前。』


………

「ちなみに今回は制限時間がある。【7時12分】までに3人の探偵を倒し、ロンカロンカの所に向かわなくてはならない。」

『ずいぶん細かい時間指定だな。何か『作戦』があるのか?』

「ああ、ロンカロンカを倒せる唯一の『策』がある…今日の【7時12分】、この時が……私が奴を倒せる…最後のチャンス!」

―――――――――――――――――――――――――――――――

[PM:6:30]


 探偵が一人、メモに何か書きながら歩いていた。

 身長137㎝、白髪縦ツインロール、童顔。ゴスロリとリクルートスーツが合わさったような奇抜な格好をしている。

 名刺には、

  "マッレウス・マレフィカルム日本支部 ID.231

   ロードクーヘン・リスケッタル 42歳"

          ――――――――――――と書かれている。


「身長150mぐらいの女が焦りながら倉庫から出た後小走りで移動してたという目撃情報かぁ。うーん、わっかんないなぁ…今日は天気も荒れそうだし早めに引き上げるかな」


 ピス!!探偵の首筋に謎の針が刺さる。


「ッ……!?な、な……な……に……ね、眠たくってきた……寝よ。」


 探偵が眠る……そしてそれを陰から見ていたシルバー。

「よし、二人目は始末した。残り一人だ。―――しっかし…リボルバー以外の銃はイマイチ使いにくいな……この麻酔銃、一回一回弾を装填しなきゃいけないし。」


 シルバーが麻酔銃の弾を再装填する。


『感づかれないうちに残り一人を早く始末する事をおススメするぜ。あと一人は、えーと…"怪盗抹殺と書かれたマスクを頭にかぶってる男"だな。―――いたぜ、お前の位置から100m先にいる…。方向は7時だ。』


 シルバー7時の方向に歩き出す……。そして、いた!河の横の堤防に静かに立っている――怪盗抹殺と書かれたマスクを頭にかぶってるリクルートスーツの男が!!

 敵を見つけたシルバー隠れながら麻酔銃を構える。そして彼の首筋に狙いを定め……


 ワン!!一発!!麻酔銃から一発の針を彼の首に向かって射出する!!!


 しかし―――――針は彼に命中した瞬間、鈍い音を出してはじけ飛んだ!!


「なんだと……」

「ぬな!?首筋に『鉄を仕込んでいた』から助かった……しかしその恰好は…怪盗!?殺さねば!!!」


 探偵がシルバーの方向を凝視する!!頭に怪盗抹殺と書かれたマスクを被り、リクルートスーツを身にまとい、ふくらはぎに縦長の鉄板を身に着けた

 ―――探偵の王道のような恰好をしたその男が!!


 ゴファァァァァーーーーーーーッッ!!!!!!(突風の音)


 このネオ鳥取の人通りの少ない場所で、夕の光に彩られた探偵と怪盗が対峙る。

挿絵(By みてみん)


 怪盗と探偵の逢瀬――――それが意味するのは何か?決闘。死闘。戦闘。闘争。運命。殺戮。即ち己の魂を掛けた殺し合いのGONG。


「―――御初にお目にかかる!!それがしの名は怪盗大裁判!!すべての怪盗は死刑だ!!お主を怪盗罪で現行犯死刑する!!」

「チッ……こんな奴に構ってる時間は無いんだが……」

「【不協和音<ディスソンアンス>】ッ!!!」

 なんという!!???探偵大裁判が叫ぶと同時に――――手に持っていた警棒が伸びに『伸びて』8mほどの長い棒になったではないか!!


「これが推理だ!!!!!!!!!!」

 ゴヒュン!!

 瞬時―――それをシルバーに向けて振り下ろす!!


 しかしシルバーはそれを在日アトランティス特有の反射神経で当然が如く見切り回避する!!

「『物体の長さ』を操作する能力か!?」

 シルバーリボルバー構え怪盗大裁判に向け弾丸を2発射出する!!

「痴犬!甘い甘い!!!」

 しかし――――奇抜!!彼は能力でふくらはぎに装着していた足の鉄板の『長さを操作』――――自分の上半身を覆うように上に伸ばした!!!!


 ガキンガキン!!二弾とも弾かれる!!!

「これも推理だ!!!!!!!!!!!」

 しかし逆転大裁判はそのまま銃弾を跳ね返した反動でこけ、道端をゴロゴロと転がる!!転がった先は、道はずれの草むらだ!!


「伸びろ!!」


 ザザアアアアアアアアアアアア!!!裁判が叫ぶと同時に、あたり一帯の雑草が50mほどに上方向に『伸び始める』!!!その光景はまさにジャングル!!!


「俺の推理は草むらをアマゾン・ジャングルにすら変える……クックック……

 この視界妨害と伸びる音による聴覚妨害!!!私の位置はもはや分かるまい!!

 ジャッジメントをくれてやる!!!しねい!!!!」


「隠れたなら隠れたで別にいい。私の攻撃は既に……終了している!」

「何ゆえ!!!!???」

 次の瞬間――――


「アバァ―――ッ!!み、水が―――ッ!?」


 突然の水の波が怪盗大裁判を襲う!!水源は川だ!川が『氾濫』している!


「これが私の『能力』だ。流れる川の底を坂状に『石化』させ、水位を上昇させた!そして……波に流れる貴様の、下半身全てを『石化』させた!!

 時間が無いのに焦らせやがって…さぁ、その状態の貴様にはもう何もできない!!眠ってもらおうか!!」


 シルバーが麻酔銃を構える―――しかし!!瞬時―――怪盗大裁判の目の部分が『異様なきらめき』をみせる!!!


「な―――――」

「【バジリスク】ッ!!!!!!!!」


 オオォ――――ンッッ!!!怪盗大裁判のマスクが破れ、両目から『深紅色の光線』が放たれる!!!

 右目、左目、合わせて二本のレーザー砲が!!

 シルバー回避する!!しかし一本はシルバーの脇を通り外れたが……もう一本はシルバーの胸元を貫通する!!!


「グオオッ……急所は外れたが……こいつ……能力を【二つ】持っているのか!?この世には人格や精神を『複数持つ』人間がいて、そういった人間は、【カース・アーツ】を複数契約できるとは聞いたことがあるが……!!」


 ピポパ―――!!怪盗大裁判が更に波に濡れながらもポケットから携帯端末を取りだし、誰かと通話しようとする!

「ロ、ロンカロ――――――」


 カチッ!!!

「ス、【ストーン・トラベル】、川の流れごと奴の全身を『石化』した――――」

 

マッレウス・マレフィカルム日本支部 ID.152

怪盗大裁判――――――――――――――――――――死亡。


「クソ………―――今の電話…ヤバい気がする……ロンカロンカの警戒心が強くなったかも…」

『嬢ちゃん、例の時間まで…あと30分しかないが………どうする?諦めるか?』

「いや、さっきも言ったが今日奴をこの街で倒さなないと……奴を倒すチャンスは二度と訪れない………奴は私がまだ生きている事を知らない今だけがチャンスなんだ……


 ロル!!【ザ・レーダー】再度展開しろ!!ロンカロンカの位置を探し出し、動きを追うんだ!!」

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