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ディープ・デッド・フィラー  作者: とくめいきぼう
第二章 天才美少女探偵は勝利を信じてる
14/75

第14話 復活と復讐心

[探偵協会マレフィカルム・日本支部]


「おっ、ロンカロンカからメールだ。」

 ふわふわソファーでくつろぎ端末を取り出すその男、「三羅偵」東結 金次郎。

「ふむ。アイツ、殺ったみたいですぜ、あの伝説のシーフ・シルバーを…ま、予想通りだな。」


 〇――――――――――――――――――――――――――――〇

  件名:シーフシルバー殺しました。

  差出人:ロンカロンカ

  宛先:探偵王百賭様

  cc:東結金次郎、黒霧四揮、依頼者さんID2855285


   シーフ・シルバーの頭部に弾丸を4発撃って殺しました。

   死体は彼女の自宅に放置。

   以下証拠の死体画像。

            [添付画像1][添付画像2][添付画像3]

 ○――――――――――――――――――――――――――――○


「画像は―――どーせグロ画像だから見ないようにするぜ。あいつ趣味悪いからねぇ~~ヘヘ、ゴミ箱に転送っと」


Vooooooooo………

「……怪盗を殺したのはいい。問題は、アイツが【D・D・F】を見つけるのにどれほど時間がかかるか―――。」

 百賭は冷静にメールを見ている。

 

(……ク……フッフッフ!!在日アトランティス人どもが死んだ!!これで私の邪魔をする者は誰一人としていない!!!!願いかなえるぞーーーーーーーーーー!)

黒マントの男……歓喜………!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 『おれは怪盗島風!!』         『探偵王・百賭』


    『全身をこたえさせてくれるパンジー』


        『プレムは私の作るホットケーキが大好きだものね』


『貴方にはディープ・ダーク・フィアを守るという使命がある。』


        『私、試験を合格して…いい怪盗になれるかな?』


   『ワシが如何かしたのか……プレム?』

         『怪盗を撃ち殺して達成感という快感を得る!!!!』


       『キミと私の関係が―――女帝と囚人になるこの瞬間を。』



 意識が…ある………――――今までの人生の軌跡が見える……走馬灯だ……

 どうしたんだっけ、私は…あのロンカロンカにあっけも無く殺されて………使命も果たせず、無様に死んだ………


『………さん!プレムさん……!!!……っかり!!』

 声が聞こえる…誰の声だっけ……もう死にかけているのか………脳の細胞が朽ち果てていくせいか……何も思い出せない……

 というか、まだ、ギリギリ生きてたんだな……これも在日アトランティス人のもつ超人的な身体能力のおかげか……?

 でも、心臓は完全に止まってる…頭に4発の弾丸……もう助かる見込みは………


『――――プレムさん……!!』

 この"男"の声はとても聞き覚えがある……でも何か違和感があるんだ……呼び方だ。彼は私の事をプレムじゃなく―――グラン…って呼んでた。

 そして、何かすごく焦ってるような……


『プレムさん』

「そうだ……思い出した……ヨシヒロ君だ……最期に会うのは……君か……ふふ、良かった。でも、なんで君がここに……?それに、記憶が…知性が……修復されていくような……」

 死の世界のプレムの目の前に、右堂院の姿が半透明で現れる。


『ぼくも、良かった。プレムさん、"最期"に―――貴方に会う事が出来て。でも安心して、"最期"が訪れるのは僕だけだ。貴方は……貴方の命は間一髪。ぎりぎり助かった――――銃を4発も受けてまだかすかに生命が残っているなんて……』

「何を……ちょっとまって……最期……?な、何を言い出すんだ―――!」

『僕の能力は"等価交換"。貴方の傷は僕が受ける。』

「……!」

『ずっと、ぼくは頭の中で想い描いていたんだ。"理想の探偵"というものがある。人の為に生き、人の役に立つ――――自分の護りたいもの―――最愛の人をあらゆる脅威から守り抜く……それが僕の思い描く理想の探偵。』


 右堂院の体のアルファ値が徐々に上昇していく。


『そしてその理想の探偵になれるなら、僕は命だって差し出すよ。これでいいんだ…僕は夢を叶えられた――――

 だから、泣かないでプレムさん……そして―――さようなら………』

「よっ―――――――――ヨシヒロ君ッ!!!待って!!!」


 ―――――――――――――――!!!!

 プレムの視界が、光に包まれる。太陽が眩しい!!現実の世界に戻ってきたのだ!!………そして……そして、彼女は静かに起き上がる。


「私の………家だ………―――――!!!」

 彼女が隣にある者を見てしまう………右堂院義弘の―――死体だ。頭に4つ、脇腹に一つの穴が開き、右腕と両足が破壊されていた。頭部に少し火傷したような跡が見える。


『恐らく、これが彼のカースアーツの力だったのでしょう。ダメージを転移させる……そういう能力……』

神が分析する。

「―――そんな事は……どうでもいい……」


「…う………ううう………ばかっ……泣かないわけ……ないだろッ……!!」


 涙を流すシルバー……


『………心が落ち着いたら、すぐにディープ・ダーク・フィアを回収しに行きましょう―――あのロンカロンカはまだあれの在り処に気付いてはいない筈。』


私立探偵・右堂院義弘―――――――――――――死亡。その死に顔は、奇しくも笑顔であった。


――――――――――――――――――――――――――――――

 怪盗の死、すなわち私やプロメテウスのジジイの死は、ある意味自分から厄介毎に突っ込んだゆえの自業自得ともいえる。だが、彼、右堂院の死は何から何まで不運なものであったと思う。

 私とさえ出会わなければ――――彼は死ななかった。私が怪盗でなければ――――彼は死ななかった。

 そう、彼を殺したのは、この私も同然なのである。私が彼を運命に巻き込んでしまった。胸が張り裂けそうだ。

 だが、私はここでくじける訳にはいかない。涙を石に変えてでも前に進もう。血を石に変えてでも前に進もう。


 私は――――運命の使者なのだから。

 

 私はまず、ジジイの遺言の通り、変装して鳥取ネオ八番街のA-R地下倉庫に向かい―――ディープ・ダーク・フィアを再度回収した。

 それにしても、どいつもこいつもなんでパスワードを誕生日にするんだ?安直すぎるだろ………バカジジイ………死にやがって……


 あのクズ<ロンカロンカ>を倒したいのは山々だが、正直―――"今"の私では絶対にかなわないだろう。だからここは"機"を待つ――――――

 貴様を確実に殺してやる。右堂院やジジイの為―――それに、これ以上被害を増やさない為に……。

 取りあえず、私は近くのホテルへと向かい、奴を倒せる機を待つことにした。奴もDDFを見つけるまではこの街を離れようとはしないなだろう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

[PM5:21 ホテル・鳥取]


 ブルルルルルルルルル――――!!


「でん…わ…か………?誰だろ………もしもし――こちらシーフ・シルバー。」

「睦月だ。」


 睦月――――!?


「何の用だ?」

「シルバー、君の家……ニュースで、君の家が爆発してるのを……見たぞ。それに、君の街で、300人ほどの行方不明者が出ているとも。いったい何が起こっているんだ?」


 ――そうか、ニュースにも………。それに300人ほどの行方不明者、ロンカロンカの仕業だな……くそ、人が少なかったり警察がやけに多かったのはそのせいか!


「何かあるなら手を貸そうか?今丁度、野暮用で鳥取向かってるんだ。」

「――――!!」

『彼女は味方につけた方がいい。彼女のアリの能力は奴のエンプレスプリズンと相性がいい。』


 ………睦月がここに来たら、どうなる?奴<ロンカロンカ>は今うも街の人間を無差別に拷問し、情報を得て推理をしているだろう。

 その巻き添えになる可能性がある、それに……


「駄目だ―――睦月の実力じゃ……かえって足手まといになる」

「――!足手まといだって?フフン!シルバー、君は何か勘違いしているようだな。能力を得てもう二週間は経ってる。もう素人じゃない、前より練度はかなり上がっているぞ。」

「駄目だ!!お前を――――お前を私の運命に巻き込むわけにはいかない!!」


 通話が静かになる。


「……わ、私は………」

「―――?」

「私は―――キミの役に立ちたいんだ………!!!今、君の身の周りでとんでもないことが起きてるのは知っている!声で分かる!だがシルバーはコミュニティの入団試験の時や父親が死んだとき―――私の心を絶望の地の底から救い上げてくれた!!その恩を返すのは私の義理!!」


「全部……」

 睦月………お前は………でも――――


「睦月……私とお前の関係は……そんなに長くは無いよな。1年に一度、会うかどうかと言ったところだ。」

「――――!」

「でも、そんな短い時間の間でも、お前とは深い関係に慣れたと思っている。

 睦月――――私はお前の事が好きだ。ライクの方だがな……歳も同じだし。本当に気のあう、いい友人だと思っている。

 さっきの言葉もお前をカヤの外にしたり、お前が嫌いだから故の発言では決してない……

 睦月―――私を、信頼してくれ。」

「でも……危険なんだろ……!」



「約束してやる、必ず生きて帰ってくると…。」

「………わかった、よ。」

「睦月……ありがとう……」

「キミの事だから心配はないと思うけど―――無茶だけはするなよ。」

「フッ……さっきまで無茶を言ってたお前にはあまり言われたくないなぁ。」

「もうっシルバー……キミはホント冗談が好きだな―――わかった。でも、私はいつでも待っているからな。」

「ああ、ありがとう。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

[同時刻・別のホテル]


 そこでは、ロンカロンカによる拷問が始まっていた。人間火あぶりだ。


「ギャアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーー!!!」

「ふぅむ、あのプロメテウスじじいが本日の朝にネオ八番街のなんとか倉庫に何かを安置した――――という目撃情報ですか。まぁ、調べてみる価値はありますか。

 エキサイティング&ジェノサイディック…」


――――――――――――――――――――――つづく

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