第13話 ストーン・トラベルVSエンプレス・プリズン②
二人の距離―—9m!!8m!!
「こいつならどうだッ………」
シルバーコートの内側に入れていたブーメランをロンカロンカに投擲!!しかしそれはステップで軽やかに回避される!!
「難しい理論や能力とかそんなじゃない―――こいつ、聴覚、いや、『気配を察知する能力』が凄く高いんだ!!…まずい―――7m―――6m―――!!」
「クックック……(このロンカロンカの体は常人の20倍の感度を持つ……)」
しかし走り抜けていくロンカロンカの眼前には、『水たまり』が広がっていた―――!!水源はシルバーの近くから噴き出ている水だ!!
「水の音…なるほど、ここから先はキミの『結界』と言うわけですか――――ならば……」
【エンプレス・プリズン】の剣先から巨大な『鉄骨』が半身だけ取り出される!"工"の形をした、長さ6mほどの巨大な鉄骨!
「バ、馬鹿な……重さを感じないのかッ…!?」
次の瞬間――――!
その鉄骨はエンプレスプリズンの動きに追従し、シルバーのいる場所へと振り下ろされる!
「くッ………!!なんというパワー!!!」
「間一髪で避けましたか………ならば、『横薙ぎ』ならどうですッ!?」
右から左へと鉄骨&エンプレス・プリズンが薙ぎ払われる!!
ドッゴ!シルバーの左腕が完全に粉砕される!!!!
「グォォォォッ!?」
「さらにもう一発!」
ドッゴ!ゴキュッ!!!シルバーの両足が完全に粉砕される!!!!
「ギッッ……!!」
ドサ。シルバーその場に倒れ伏せる!!
「フフフ……『爆発』で重傷を負っていたせいで攻撃を避けきれませんでしたか?」
ロンカロンカが水たまりを踏まないよう瓦礫の上を辿りながらシルバーの元へと近づいていく!
「さて、そろそろこのゴミを剣の中に『封印』しておきましょうか?」
だが目の前の女はまだ睨みつけている…
「――――ロンカロンカ……と……言ったか……もう勝った気か―――?伝説のシルバーも舐められたもの……だな……既に勝利への布陣は出来上がっている……」
ショバアアアアアアアアア!!!ロンカロンカ背後から『水』を浴びせられる!!水源は―――先ほどシルバーの近くに会ったあの噴水だ!!
「っ――――――これは!?シルバーの近くに会った噴水が私に向かって射出されている……!?何故……?水は先ほどまで上方に向かって放たれていたはず……」
「私の『能力』は、水を利用する能力―――『流水』なら更に使える。噴水から噴き出る水を『石化』して、射出口に蓋を作り―――放たれる水の方向を制御した!!」
--------------------------------------------------------------------------
[図解]
□→水→
↑↑↑ □□□→↑水↑ ロンカロンカのいる方向→
水水水 □水水水□
■↑↑↑■ ■↑↑↑■
■水水水■ ■水水水■
■↑↑↑■ ■↑↑↑■
■水水水■ ■水水水■ ※■=射出口
※□=石化された部分
先ほどまでの噴水の状態 現在の噴水の状態
------------------------------------------------------------------------------
更にいえば水が噴き出る穴が『石化』によって小さくなっていたことにより、水の噴き出る勢いが結構増していた。
「【ストーン・トラベル】!!奴の周りの水を石化しろ!!」
ガっ!!ガっ!!顔面と――――左腕を石化!!足元の水を『石化』して動きを固定!!
「フッ、よくも人の家をブッ飛ばしてくれたな―――ローンの代わりはその命で払ってもらうぞ!!」
「……【エンプレス・プリズン】…」
カランカラン!『石化』した服を残してロンカロンカの姿が消えた!!彼女は自らを【エンプレス・プリズン】で切り裂き、暗黒の異世界に『転送』したのだ!!!!
「―――!!自分で入った―――!?」
「勝利への布陣は出来上がっている―――フフ。そっくりそのまま同じ言葉を返させていただきます。」
地に落ちた【エンプレス・プリズン】から黒い服を身にまとったロンカロンカが出現する!
(なっ………!?む、『無敵』か……こいつの能力……!!)
そして水の当たらない場所へと移動し―――ブンッ!
横なぎに払われた【エンプレス・プリズン】から手足の無い子供たちが投げ捨てられ、シルバーの横に投げられる!
「う……ああ……」
「なッ……」
そしてその瞬間、子供に気を取られシルバーが横を向いたその瞬間……ロンカロンカが【エンプレス・プリズン】でシルバーを縦切りにし、暗黒の異世界に『転送』する!!そして剣心からシルバーの肩より上の部分だけを『取り出す』!!
「しまっ………」
「この瞬間を待っていました。キミと私の関係が―――女帝と囚人になるこの瞬間を。こうなればどんな行動すら無意味ですよ、きみは牢につながれたのですッ!」
【エンプレス・プリズン】に繋がれたシルバーが瓦礫に叩きつけられる!
「ガッ…」
「さぁ、【D・D・F】の在り処を話すのです。」
(ば、万事休すか……)
どうすることもできない、【エンプレス・プリズン】に一度捕らわれてしまえば、もはや脱出するすべはない!!
シルバー今度は近くの炎に剣刃を向けられ火あぶりされる!
「ぐああああああああ!!」
「クズ虫の存在は私の癇に障りますが、鳴き声だけは本当に心地のいいものです。ですがまだ弱い――――もっと更なる悲鳴を所望する!"モーツァルトのレクイエム「怒りの日」のような絶叫を!!」
サディストである。
「―――――ハァ…ハァ」
「…………どうした!ほら叫べ!?それとも例の宝石について話すつもりになったか!?」
(―――『ロンカロンカ』、お前の勝ちだよ……。正直言って、ここからお前に勝てるビジョンって奴が全く見えない…―――だがな、貴様のようなゲス野郎だけにはあの宝石の在り処は絶対に言えん…無関係のカタギの命を己の利益だけに利用するような外道にはなァァ)
「――――フン。ならば蠱毒の材料にしてやりましょう。」
【エンプレス・プリズン】からムカデやゲジゲジ、カエルのバラバラ死骸が噴出する。
―――しかし。怪盗の口から血。
「―――?怪盗……その口の血……舌を噛み切ったのですか!?」
(くそ……だが……これでいい………これで奴は私から【D・D・F】の在り処を聞き出せない……)
【エンプレス・プリズン】から拳銃が取り出される。そして………
バンバンバンバン!!!シルバー頭を銃弾で撃ち抜かれる!!しかも4発!!!
「まぁいい、自分で探しますか。」
【エンプレス・プリズン】からシルバーの全身が投げ捨てられる。
怪盗シーフ・シルバー
(プレイマー・グラン)―――――――――――――死亡。
「やはり、『知性』―――知性のあるものが戦場で生き残るのです。
怪盗シルバーにプロメテウス……私の見たところ、キミ達のIQはおよそ『180~250』と言ったところ。
私のIQは全人類最強の『503』。3歳のころに両親を殺すほどの最強知性です。最初から君たちに勝機など無かった。
しかしこうやって探すのは嫌ですね…誰かに目撃されるかもしれませんし。」
ロンカロンカが【エンプレス・プリズン】の柄頭の部分にひもを括り付け、ぶん回し始める!!!あらゆるガラクタ、金庫、箪笥、トイレなどが【エンプレス・プリズン】に取り込まれる!!
「まぁこれぐらいでいいでしょう、さっ……退散退散。―――ん?」
「ひ、ヒィィィィィ」
「目撃者がいるな……フン、走って逃げたか。」
【エンプレス・プリズン】からモーターバイク・ドゥカティが現れる。ブッキュウ・オオオン!!!バイクに乗って目撃者に迫りくるロンカロンカ!!!
「う、うわあああああああああああああああ!!!」
ドンゴン!