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この星が滅ぶまで  作者: 朱井いと
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第六章 天帝の子

 出産に関することがすべて終わり、助産師さんも帰って行った。

(三姉妹)「かわいー!!」

「あなたたちの妹よ。あんたたちは三つ子だから大変だったのよ。」

(三姉妹)「ふーん(他人事)。」

じゃあ盛大に万歳いくか! との矢先に、唐突に赤ちゃんがふわりと宙に浮いた。

「我は天帝。この世の安寧、民を導く者なり。」

そう言うと静かに降り、モモの腕の中に入った。

 しーん……。

(エリカ)「ママ、パパ。」

(アヤメ)「赤ちゃんって浮くの?」

(アイリス)「天帝ってなに?」

モモは焦った。

「ど、どどど、どうしよう。天帝って聞いたことはあるけど、歴史は全く知らないし……。」

そうだ。モモは文系科目は全くできなかった、というかやる気がなかったので、歴史も全く知らないのだ。

「え、…………。まじで……? そういう冗談やめてくださいよ……。」

魔王はそれらしからぬ言葉を吐いた。そして、魔王尾はあごに手を当て、沈思黙考した。

「(ということは、奴がやってくる……。いや、問題はそこじゃない。いや、やっぱ問題だ。天帝が降臨したとなると、世界が滅ぶか平和になるかもしれん……。こえぇな……。)」

「ダーリン?」

「あ、すまん。ちょっと考え事を……。」

みなに明かすべきか悩んだが、明かすことを選んだ。

「さっきこの赤ちゃんが言った通り、世界を安寧に導く者だ。不定期に突如として現れる。それは血筋とか一切関係なくだ。天帝教があるだろ? それだ。ある意味、神が具現化したようなものなんだが……。」

(エリカ)「神様!?」

(アヤメ)「すごいじゃん!」

(アイリス)「何が心配なの?」

「つまりだ。世界平和ということで、みんな平和になるかもしれない。だが、みなを滅ぼすことで戦争がなくなるから、ある意味平和になるだろ?」

「それって……?」

「俺らの育て方次第だ。あと、奴か……。まぁ、奴はたぶんうまくやってくれるはずなんだが……。」

「奴?」

「まぁ、そのうちやってくる。どこに行こうとも天帝のいる場所に必ず。」

「この子の命を狙うの? 何者なの?」

「いや、それはない。信じてくれるかわからんが、二千五百年を生きる不死身のバケモノだ。」

(エリカ)「不死身!?」

(アヤメ)「二千五百年!?」

(アイリス)「強いの!?」

「強いとかそういう次元じゃねえ。まともにやると俺は普通にやられる。まぁ、だからこそやつがいる意味があるのかもしれんが……。」

 モモには魔王の言ってることが全く理解できなかった。

「結局、何なの? 」

「あぁ。俺、もっと言えば先代の魔王が途中から侵略進行が減ってきただろ?」

「うん……。ヒト族は裏があると思ってかなり警戒していたけど。」

「実はな、先代は会ってるんだ。天帝に。」

「?」

「先代は正直、戦争がめんどくさくなっていた。同じことの繰り返しだからな。それでたまたま天帝が降臨したと聞き、そこに赴いた。それでいろいろ話した挙句、相談した結果が……。」

「今に至る訳ね。」

今までの疑問点がふっ切れたモモであった。

「まぁ、天帝はその役割を果たすときが来るまでは普通の生物だ。だから、こいつら(三姉妹)のように育てりゃいいんじゃねえの? とりあえずは。」

三姉妹は難しい話はわからないので、二人をよそに、勝手に命名をしだした。赤ちゃんは三姉妹を見て、にこぉ、としている。

(エリカ)「天帝だからてんちゃん!」

(アヤメ)「天帝だからていちゃん!」

(アイリス)「天帝だからて(ん)て(い)ちゃん!」

赤ちゃんは笑顔をやめた。どうやら気に入らないらしい。

「あんたたち勝手に変な名前つけないでよ! イチゴなんてどうかしら?」

赤ちゃんはモモを見たまま動じない。どうやらこれも気に入らないようだ。

「んー、アイビー……。アイちゃんはなんてどうだ?」

にこぉ。

「ほれみろ! 俺のネーミングセンスは完璧だろ!」

「げ、解せぬ……。でも、本人が気に入ったならいいんじゃないかしら? ね、アイちゃん?」

にこぉ。この子の笑顔はかわいいだけでなく、何かこう、優しいものに包まれる、そんな気がしていた。

 そんなアイちゃんなのだが、基本的に泣かなかったのだ。泣くことは泣くんだが、あまり大きな声で泣かないのだ。生後数日経って魔王とモモは気づいた。

ふえぇ、ふえぇ……。

こんな感じでひっそりと泣くのだ。排泄物程度じゃ泣くことはあまりなかった。空腹だけはどうしようもなかったので、そのときだけ泣いた。しかし、大声で泣かないので、モモも気づかないときがあった。

 これは天帝のせいなのか? ともモモは思っていた。

「ダーリンどう思う?」

「いや、わからん。」

「だってあの子たち元気よく泣いてたでしょ?」

「うーん……。天帝を見たことないし、天帝の赤子とか知らねぇし……。」

(三姉妹)「何の話ー!?」

「あ? お前らは赤ん坊のときからギャーギャーわめいてたって話してたんだよ。」

「アイちゃんあまり泣かないからどうしようかねーって……。」

(エリカ)「そんなの簡単だよ!」

(アヤメ)「泣かせれば!」

(アイリス)「いいんだよ!」

(魔王・モモ)「は?」

 三姉妹はアイちゃんのもとへ行き、

(三姉妹)「泣けー! 泣けー!」

「あ、そうか!」

モモは三姉妹からアイちゃんを取り上げ、

「アイちゃん。おしめ変えたいときは泣いていいのよ。おなか空いたら泣いていいのよ。ダーリンやこの子たちがいじめたら泣いていいのよ。」

(モモ以外)「なんと横暴な……。」

きょとんとしていたアイちゃんだったが、にこぉ、と笑った。

「これで通じたかなぁ?」

「いや、わからん……。」

 翌日から元気に泣くようになった。

 ふえぇ! ふえぇ! と、ちょっと力強くなった。

 そんなこんなでアイちゃんも五歳になった。どこで覚えたのか、アイちゃんはなぜか丁寧語や謙譲語を使う。家族に対してもだ。

「ママでいいのよ? それにそんなに敬語使わなくても……。」

と説いたところ、

「いえ、お母様で大丈夫です。」

と返された。家族みなに誰にも似なかった点だ。この親と三姉妹にしてこの子にあらず、という感じで、非常に上品な感じだった。天帝という先天的なものだろうか? これだけはみなわからずにいた。

 ただ、大きな問題を抱えていた。

早い子は三歳前後で初級魔術を使えるようになる。仮にできなくとも、ほんの少し火やら出て、一瞬で消えるくらいはできるようになる。アイちゃんはその気配がなかった。四歳になっても全くなかった。

 天帝ってそういうもんなのか? 魔王とモモは気になったので、村の魔術師に診てもらった。もちろん魔王確認はしているので事実は黙っていた。

「……、うーん。魔力自体が全くありません。」

「え?」

「(やっぱそうか……。)」

「この子のお姉ちゃん達は赤子で浮遊魔術をこなせていたんですけど……。」

「確かに。血縁関係も重要な要素ですが、まれに遺伝とは無縁の個体もできます。」

「そんな……。」

「(うーん、天帝ってそんなものなのか?)」

幼いながらもその事実を知ったアイちゃんは、姉と比較し、村の子供と比較しはじめた。そして、魔術不能者という烙印は、徐々にアイちゃんの心を捻じ曲げていった。

 アイちゃんは地面をついばんでいる小鳥に石を投げた。

「何してるの?!」

モモだ。モモはアイちゃんの行いを見ていた。

「弱い者いじめなんて、やっちゃだめでしょう? やられる方は可哀そうでしょう?!」

確かにその通りだ。アイちゃんもわかっていた。だが、このやるせない感情を何かに当てるしか、心の持ちようがなかったのだ。

「みんなは楽しそうに魔術を使います。私はできません。魔術不適合者です。ただのクズです。」

パンッ!!

「…………?!」

アイちゃんはモモに思いっきり頬を叩かれた。普段はニコニコして優しいモモなのに、ひどく平手打ちをされて、アイちゃんは驚いたのだ。痛かった。

 アイちゃんはモモの顔を見た。思いっきり睨んでいる。こんなモモの姿を見るのは初めてだった。

「アイちゃん、見なさい。あそこ(自宅の畑)を見なさい。あんなにきれいに育っているでしょ? いつもおいしく食べているでしょ? それは自然にたくましく育ったからでしょう?」

それはわかる。しかし、植物との相関関係は腑に落ちなかった。その納得いかなさそうな顔を見て、モモは続けた。

「じゃあ、さっきの鳥は何なの? 浮遊魔術でも使っているの? 違うでしょ? 大きな羽を広げて飛んでいるでしょ?」

これはアイちゃんもちょっと納得した。

「師匠も魔術が全くといっていいくらい使えないのよ? でも、当時ではかなり若くして剣聖になったのよ!? 私が剣聖になっちゃったけど、師匠は剣聖誉なのよ?!」

「え…………?」

それは初耳だった。モモでさえずっと慕い続けるあの剣豪も魔術が使えないとは……。つまり、剣だけ(いや一応体術もできる)で剣聖まで登りつめたとは……。

 モモはガッとアイちゃんの両肩をつかんだ。

「天帝なんて知らないけど、あなたは生きてるのよ!!」

ふえっ、ふえぇん……。ふえぇん……。

「生命はきっと、何か役割があって、生きてると思うの。そして、あなたも生まれたのよ。大丈夫! きっと何かあるはずよ!」

 アイちゃんは、モモに深い愛を注ぎ込まれた。注ぎ込まれた、気がした。

 うーん、ボクは思うけど、非常に高度な魔術も使えて、史上最年少で剣聖となったお前が言うのもなぁ……。

そして、その晩、モモは気づいた。

「アイちゃん、口を大きく開けて。」

「あー……。」

「もっと!」

「んはぁ……。」

アイちゃんの口からよだれが出だした。なんか恍惚な感じがする。三姉妹は昔あの晩に見たモモの顔を思い出し、密かに「なんかエロい」と思っていた。

それはそうと、アイちゃんの舌の奥に口内炎のような小さな炎症があった。

「いつからなの? 痛くない?」

「わかりません。ずっとです。みなさんは違うのですか?」

モモは悲しそうな眼差しでアイちゃんを見るや否や、すぐに薬を飲ませ、治療した。魔王も帰ってきたので、事情を話した。

「まじか……。ストレス性の炎症だな……。症状がひどいほど、病人の身体能力や魔力が劣る。これはまずった……。ここまでひどいのに気づかなかったとは……。」

モモはアイちゃんを強く抱きしめた。

「アイちゃん、すぐに我慢するから……。駄目よ! 遠慮しないではっきり言いなさい! このお姉ちゃんたちはバカに正直でしょ?」

(三姉妹)「ひどーい!」

「まぁ、即効性の薬飲んだから、完治しなくても明日はましになるはず。……魔術使えるようになるといいな……。」

翌日。アイちゃんの炎症は完治したようだった。アイちゃんは魔術を使えるように……、ならなかった。しかし、驚くべきことが起こった。高難度魔術でも「回避」できるようになっていた。術を使うよりも回避する方が難しい。

「昨日の薬のおかげで、魔術は使えなくとも、魔力の流れが見えるようになりました。」

と言った。もっと早く気づいてあげればよかったのに……。モモはアイちゃんを抱きしめ、

「ごめんね! もっと早く気づいてあげられなくてごめんね! 昨日ぶったりしてごめんね!」

と泣いた。アイちゃんは、

「いいえ、大丈夫です。お母様に怒られて、それで、私は別の道を探そうと思うことができました。」

と返した。なんてけなげな子だ……。

 モモはすかさず三姉妹を見た。

「あんたたち、定期的にアイちゃんの口を見るのよ!」

(三姉妹)「りょうかーい!!」

 アイちゃんの道は、ロボット工学であった。

魔術による文明だということはこれまで言ってきたと思うが、この世界は君たちより中途半端な技術発展であるため、魔術で完結することは魔術任せにしている。電子工学は特にそうだ。

アイちゃんは魔術を使わなくとも半自動的に稼働する何かを行う、「モノ(=ロボット)」を作り始めたのだ。

 最初はモモの日常の観察から始まった。例えば、洗濯物を干すとき、干したらいちいちかがむ必要がある。そこで、かがむ動作をしなくて良いように、はじめはロボットアーム(木製)を造った。理屈としてはドアノブだ。ドアノブを引いた力で、アームを引き上げる、という感じのものだった。最初はモノをつかむこともできなかったが、徐々に精度を増していった。そして今度は、踏板を押したら、自動で洗濯物をモモの位置まで引き上げるモノ(ここで金属製となる)を造った。踏むだけで洗濯物をモモのもとへ渡すようになった。そして今度は、踏板の原理を除き、自動化を目指した。しかし、これは電気が必要だ。アイちゃんは魔術を使えない。そこで、次に化学反応を応用して電池を造った、そして直列、並列を利用し、さらにパワー(電力)を使えるモノ……、と開発した。俗にいう電気式アクチュエータの基礎を築いた。

といった具合に、アイちゃんの考案したモノは、魔王家を豊かにしていった。

「お前、天才だな!」

「ほんと、アイちゃんすごい!」

(三姉妹)「今度教えてよー!」

「どうせ途中で寝るでしょ。」

(三姉妹)「ひどーい!」

 自分しかできないことができ、アイちゃんは初めて自分の居場所ができたように感じた。

 そして、これらのアイちゃんの発明品は、彼女が天帝になったのち、すべて論文化し、世に発表した。三つ名はロボット工学の権威(本名がアイビー、二つ名が天帝)として、科学者に賞賛された。尚、冒頭にも触れたが、人工知能は思想こそあったものの、技術が追い付かないまま、この星は消滅した。

 アイちゃんはモモ以上の瞬算ができた。モモがいくら瞬算できるといっても、さすがに演算のために一瞬無防備になる。アイちゃんはその演算時間すらほとんどなかった。これはおそらく天帝の賜物だろう。

モモはアイちゃんに好きなことをもっとさせようと、算術や物理学を教えた。アイちゃんは素直に、全科目をほぼ独学でマスターした。修士課程くらいのレベルまでは、軽く。地理・歴期は家にあまり置いてなかったが、天帝の知識があったので、別になんちゃなかった。

 モノづくりに没頭していたアイちゃんは七歳になった。誕生日祝いだ。

(一同)「アイちゃん、お誕生日おめでとー!」

「あ、ありがとうございます。」

魔王は奮発して何万とする〇〇牛を焼きまくった。モモに金銭面で怒られた。アイちゃんもおいしそうに食べていた。

 そして、誕生ケーキのろうそくを消し、一口食べ終えた頃、やってきた。アイちゃんは宙に浮かび、こう言った。

「我は天帝。この世の安寧、民を導く者なり。」

「ダーリン、あれ……。」

「あぁ……。もう来やがった……。」

(三姉妹)「あ、あのときのあれ……。」

「汝らに問う。我は如何なる存在か。我に示せ。」

「そんなこと言われても……。」

「おい、貴様! お前が天帝だろうと何だろうと、アイビーは俺の娘だ! 身体を乗っ取るんじゃねえ! 返せ!」

「そ、そうよ! あなたは何がしたいの? 何も言わないなんて失礼でしょ?!」

(三姉妹)「そ、そーだ(ビビり)! 返せー!」

「汝らの答え、一理ある。汝らにこの身を返還せしめんとす。しかし、我はこの身とともに存在する。忘るることなかれ。」

と、宙に浮いたアイちゃんは床に仰向けに寝そべった。天帝の底知れぬオーラも消えていた。

みなが胸をなで下ろしたとき、アイちゃんが突如、電気ショックを断続的に与えられたように、反り返りを繰り返した。

「あ、あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

(一同)「アイちゃん!!」

みなは何もできないまま、ただアイちゃんを見ていた。そして、この状態が止んだ。

 アイちゃんは目覚めて起き上がった。

「みなさん、どうしたのですか?」

「どうしたじゃねぇ……。お前、大丈夫なのか?」

「はい? なんともありません。」

さっきのは一体……。

「でも、私は私ですが、私ではない私になった感じがします。」

(一同)「は?」

「えっと、そうですね……。例えるなら、お母様が後ろにいて、傍で読み書きを教えてもらうような……。なにか、大きなものに包まれるような感じです。それは、心地よいものです。」

(一同)「お、おう……。」

「それと……。」

「それと?」

「これまで世界が築き上げた、あらゆる知識が頭の中に入ってきました。」

さっきの挙動はそれか。

「……ん? ちょっと待てよ。ちょっとあそこまで行くぞ。」

みんな飛び立った。アイちゃんは魔王におぶられていたが、

「あれ?」

アイちゃんは魔力に気付いたのだ。

「ここならいいだろ。アイちゃん、とりあえずお前の最大火力の魔術をやってみな。」

「え、ダーリン。アイちゃんh。」

 空中で核爆発が起きたような、凄まじい爆発だった。一瞬のことで何が起こったかわからなかった。これは最大魔術・極級魔術のひとつで、世界に数人いるかわからない爆発系魔術である。何より魔王が驚いていたのは、アイちゃんの魔術発動速度であった。

「お前、瞬算と瞬時詠唱(瞬唱)か? 今の……。」

文字通り、瞬時に魔術を発動する。無詠唱と異なる点は、詠唱に必要なものを一切必要としない点である。無詠唱と言えど、詠唱が「無い」だけであって、実際は無詠唱に必要な媒介を集める必要がある。瞬唱はそれらが全くない。考えずに魔術を一瞬で打てるのだ。

(三姉妹)「うええぇぇぇぇ! なんじゃ今の?!」

「剣は? 神の御剣はどうなの?」

モモは自分の専売特許を心配した。

「知識はあります。でも、身体的に剣術は使えません。ただ、回避はできるようになりました。」

「つまり、物理はなんでも回避するし、魔術が全て瞬唱だと。つまり、お前は事実上、最強の生物だな。」

「て、天帝の力です!」

「ハッ、そりゃぁ世界が半壊したときがあったという訳だ……。」

「で、でも、あくまで過去の知見しかありません。なので、ロボットはもっと作りたいです。」

「うん。アイちゃんの好きなようにしなさい。でも、あたしはアイちゃんの母親よ!」

「はい! もちろんです!」

(三姉妹)「ア、アノ、ワレワレハ……。」

あまりのショックでまともにしゃべれない三姉妹であった。

「もちろんお姉様です!」

(エリカ)「そうよ!」

(アヤメ)「私たち!」

(アイビス)「お姉ちゃんだから!」

 みなでクスクス笑っている中、魔王は深刻そうな顔をしている。

「思ったより早かったな……。まさかこんなに早く覚醒するとは……。まだ、もっと家族生活をしたかったんだが……。近々、奴が来るな……。」

「え? どういうこと……? 奴ってあの……?」

「あぁ……。まぁ、悪い奴じゃないから楽しみにしてな。」

モモはそれ以上聞くことができなかった。

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