罰ゲーム告白を懇切丁寧に傷つけないように断った結果
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徳永さんと一緒に入り口の外へ行くと、結愛がレジ袋を持って待っていた。
「ごめん、結愛。お待たせ」
「あ、にぃに、お帰……り? なんで、その人がいるの?」
僕に気づいて笑顔だった顔を引き攣らせながら訊ねてくる。
「ふふん、結愛ちゃん、残念だったね。私と良一はもう蟠りはないんだよ。ね、良一?」
「はい」
ものすごくニヤニヤした顔で結愛に言葉をかける徳永さん。
絶対張り合ってるよね?
ふたりの気持ちを知った今だからこそわかる。
結愛は兄として(←ここ重要)好きな僕を徳永さんに取られたくないからで、徳永さんは異性として好きな僕と付き合いたいから。
嬉しいような、そうでもないような、複雑な気持ちになる。
片方実妹だからなぁ。
両方他人の女性なら純粋に「嬉しい!」ってなるんだけど、片方実妹だから喜びづらい。
兄冥利には尽きるんだけどさ。
「ねぇ、結愛ちゃん。今日も、お邪魔していいかな?」
「ふたり分の材料しか買ってないので、お断りします」
「まぁまぁ。結愛、そんな意地悪言わないで、あがってもらおう」
僕がそう言うと、結愛の顔から血の気が一瞬にして引いた。
「にぃにが落とされた⁉ そんな……結愛のにぃにが……」
ものすごくショックを受けている様子だ。
いや、可哀想だから助け舟を出しただけなんだけど……。
それもダメなのか。
なにか、声をかけないと。
そう思って結愛に言葉をかけようとした矢先、徳永さんが口を開いた。
「大丈夫だよ、結愛ちゃん。私達、まだそういう関係じゃないから」
妙に笑顔で〝まだ〟を強調して言う徳永さん。
追い打ちが容赦ないんじゃないかな……。
結愛は、それだけで徳永さんの言わんとしたことがわかったのか、結愛は目尻に涙を溜めながら徳永さんを睨みつけた。
「嘘なんでしょ? にぃにがそんなこと言うはずないもん」
「残念ながら良一が言ったんだよねぇ」
さらに口撃を放つ徳永さん。
見るからに上機嫌だ。
「にぃに、ほんとなの⁉」
「えっ、うん、まぁ……」
再び結愛の顔から血の気が引いていく。
「ふんっ! いいもんっ、夕飯、結愛の分だけ作るからいいもんっ」
とても小学生らしい拗ね方をしてそそくさと歩き出す結愛。
僕と徳永さんは顔を見合わせて苦笑いしたあと、結愛の後を追ったのだった。
◆
こんなこと、誰が予想できただろうか。
①偶然、徳永さんが何かの罰ゲームで告白することになったことを聞く。
②告白の相手がまさかの自分で、徳永さんに申し訳なくて断ったら逆に興味を持たれる。
③一緒に本屋に行く。
④「突撃! お向かいの僕の家」が始まって、夕飯まで一緒に食べる。
⑤見送りの時、突如キスされる。
これを罰ゲーム告白されたその日に実行され、それに僕はなんともないと思ってたけど、そうでもなかった。
表面上は耐えているように見えていただけで、心の奥底では、しっかりと徳永さんのことが気になり始めていた。
それを自覚したのは、殴られた僕を見た徳永さんの顔を見た時だった。
男子達が言っていた通り、僕は思い上がっていたのかもしれない。
そう思って、諦めてもらいたかったんだけど、それは無意味だった。
だったら僕は……
「良一? ボーッとしてどうしたの? 結愛ちゃん行っちゃうよ?」
「あ、はい、すみません。いま行きます!」
徳永さんの笑顔を守れる男でいたい。
えっ、今後の僕達がどうなるのかって?
――それはまた、別の話。
罰ゲーム告白を懇切丁寧に傷つけないように断った結果
Fin.
無理やりまとめた感が否めませんが、今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
と言いつつ、まだこの物語は続きます。
続きの作品は、少し時間がかかるかもしれませんが、でき次第投稿してここにリンクを貼ろうと思っております。
一先ず、書きたいところまで書けたのでスッキリしています。
あとは、二人をくっつけるだけです(使命感)
ご意見により、急遽、良一視点のみに変えたので、次作では玲奈視点もちょこちょこと入れていきたいと思っております(予定)
では、しばらくの間、さようなら。
また会える日まで。
ユウギリ
7/31 追記
連載スタート致しました。よろしくお願いいたします。
https://ncode.syosetu.com/n2170gk/




