進展
誤字・脱字等の報告は、誤字報告からお願いいたします。
すみません。遅くなりました。
あと、急ですが、次の話で完結します。
完結すると言っても、続編はあるのでご心配なく。
二人を恋人同士にしたいですし(使命感)
すぐに投稿できると思いますので、お楽しみに。
「と、徳永さん⁉」
よく見ると、私服姿であることがわかった。
さっき結愛と話してるときは、制服姿だったのに……。
「良一! 私……。私、良一だから好きになったんだよ? どんな良一でも私は受け入れるから、だから、諦めろなんて言わないで!」
縋るように、切実な想いをぶつけてくる徳永さん。
「でも、僕は、周りから侮蔑の対象として見られている、人間の底辺にいるようなやつなんですよ? そのせいで、今日、徳永さんを泣かせてしまいました。それを見て思ったんです。僕では徳永さんを笑顔でいさせ続けるのは無理だって……」
両サイドから「おぉ……」という声が聞こえてくるけど気にしない。
「なので、僕のことは……むぐっ⁉」
諦めてください、と言おうとしたところで徳永さんに手で口を塞がれた。
「2回も聞きたくない! それに、良一はそのままでいい。私は、今のままの良一のことが好きだから」
両サイドから「ヒューヒュー!」という声が聞こえてくるけど気にしない。
「だから……これからも、一緒にいて!」
ここでやっと僕の口から手をどける。
僕は、言われた言葉の意味を理解できず、目をパチクリさせる。
えっと、今のは友達として? それとも、彼氏として?
「えっと……?」
「そこは〝はい〟って言えよ!」
片倉さんにツッコミを入れられた。
「いや、まだお付き合いするのは早いかなぁ、と思いまして……」
「まだ? まだって言ったよね⁉」
徳永さんが過剰に反応する。
「は、はい。徳永さんのことは嫌いではないですし、もっとお近づきになりたいと思ってます」
「うんうん! もっとお近づきになろ!」
「でも、その為には、周りの男子をどうにかしないことには、今日の繰り返しになると思うんです」
「今日の……繰り返し……」
そう呟いた徳永さんの顔が青ざめる。
これ絶対、僕に「諦めてください」って言われた方を思い出してる顔だ。
「違いますよ⁉ 僕が殴られることの方ですからね⁉」
「あっ、なんだ、そっちか……。よかったぁ……」
ものすごく安堵した表情になる徳永さん。
予想通りだった。
「あっ、だからって、良一が殴られることがいいってわけじゃないからね⁉」
「わかってます。わかってますから、落ち着いて、座ってください」
「あっ……う、うん……」
こちらに乗り出すほど興奮状態だった徳永さんは、僕の言葉で興奮が収まったのか、顔を赤くしながら恥ずかしそうに椅子に座った。
「じゃあ、私達は帰るとしますか」
「そうだね」
「あっ、二人とも、ありがとう!」
「いいっていいって、また明日ね」
「また明日」
「うん、また明日!」
そうして去っていく片倉さんと真辺さん。
徳永さんのためにここまでできるなんて、それだけ徳永さんのことが大切なんだな……。
「ねぇ、良一」
「はい?」
「ううん、呼んだだけ」
そう言って嬉しそうに満面の笑みを浮かべる徳永さん。
なんだ……。と思いつつ、僕も自然と笑みが溢れる。
徳永さんにはやっぱり笑顔が似合うな。
「あっ、そうだ。良一、仲直りの印に今日の夕飯、うちで一緒に食べない?」
「夕飯……あっ、そうだった!」
夕飯という言葉で、僕は大事なことを思い出して椅子から立ち上がる。
「えっ、なに? どうしたの?」
「結愛と一緒に買い物に来たので、今頃、入り口の外で待ってると思うんです」
「えっ、そうなの⁉ じゃあ、私も一緒に行く!」
「そうですね。行きましょう」
一人で帰らせるなんて、そんな無責任なことはできないし。
そんなわけで、徳永さんと一緒に、結愛が待つ入り口の外へと向かった。




