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スーパーにて

誤字・脱字等の報告は、誤字報告からお願いいたします。


今日は、もう一度更新する予定です。お楽しみに。


 結愛の提案に乗ってスーパーへと向かう。

 家を出るとき、徳永さんが出てこないかヒヤヒヤしたけど、出てくることはなかった。

 そのことに安堵しながらスーパーに向かい、スーパーに着くや否や、結愛に


「にぃに、生姜焼き用の豚肉を確保してきて!」


 と、指示を出され、現在、肉売り場に来ている。

 えっと……生姜焼き用の豚肉は、っと。

 そうして並べられている肉達とにらめっこをしていると、肩をとんとんされた。

 そちらを見ると、私服(しふく)姿の片倉さんと真辺さんの二人が並んで立っていた。

 それを見た僕は、思わず二人から離れるように後退った。


「ど、どうしてお二人がここに……?」

「玲奈からあんたがスーパーにいるって連絡が来たから」


 あぁ、それで徳永さんは家から出てこなかったのか。


「でさ、ちょっと面貸してくんない?」

「いや、今ちょっと買い物中で……」

「いいから来て!」


 片倉さんに腕を掴まれ引っ張られる。


「ですから、いま買い物中なんですってば……!」


 引っ張られないように踏ん張っていると、救世主が現れた。


「にぃに〜、生姜焼き用の豚肉あった? ……って、どうしたの⁉」

「あなたが結愛ちゃん?」

「そうですけど……あっ、もしかして、徳永とか言う女のまわし者……⁉」


 ほとんどヒントも何もないのに、なんでそこまで推測できるんだ? しかも当たってるし……。


「放してください! にぃにが困ってるじゃないですか!」


 駆け寄ってきた結愛が僕と片倉さんを引き離そうとする。

 しかし、結愛の力では高校生の握力には敵わず、引き離すことができない。

 このままだと大騒ぎになりそうな予感がした僕は、諦めることにした。


「いいよ、結愛。ちょっと行ってくるから、夕飯の買い出しは頼んでいいか?」

「にぃに……。うん、わかった。終わったら入ってきた入り口の外で待ってるから」


 渋々といった様子で承諾した結愛が、そう言って手を離した。

 僕はそれに頷いて返し、片倉さんと真辺さんに付いていった。


 ◆


 やってきたのは、スーパーの一角にある椅子と机が並べられた休憩スペース。

 そのうちの一つに座らされ、僕を挟むように二人が座った。

 そして、間髪入れず片倉さんが質問してきた。


「あんたさ、玲奈のことどう思ってんの?」

「僕なんかにはもったいないくらい、美人で可愛い人だと思ってます」


 迷わずそんな言葉がすんなり出た。

 聞いていた二人は目を見開いて驚きの表情になった。

 僕自身も少しだけ驚いた。


「だ、だったら、なんで諦めろなんて言ったわけ? 玲奈はあんたのこと本気で想ってるんだよ?」

「僕なんかが徳永さんと付き合うことは許されないからですよ。そのせいで今日、殴られたんですから」

「玲奈のせいだって言いたいの?」

「いいえ」


 首を横に振る。


「じゃあなんなの?」


 真辺さんに訊ねられる。

 言われて思い出すのは、徳永さんのあの笑顔。

 そうだ、それを曇らせてしまった自身の不甲斐なさに、僕は……。

 でも、今さら後戻りはできない。


「徳永さんにはもっと釣り合った人を見つけてほしいんです。僕では徳永さんを悲しませるだけですから。現に今日、今にも泣き出しそうな顔をさせてしまいましたし……。僕では、男として情けないところしか見せられないんです! なので、お二人からも諦めるように言ってもらえませんか!」


 上手く言えたかわからないけど、言いたいことは言ったので、勢いよく頭を下げる。


「だってさ」

「どうする? ()()

「えっ……?」


 思わず顔を上げる。

 すると、向かい側の椅子に徳永さんが座っていた。

 えっ、なにこれ、イリュージョン⁉

 どこから現れたんだ⁉



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