妹が優秀すぎる。
誤字・脱字等の報告は、誤字報告からお願いいたします。
そして、昨日、
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『【IFルート】オタクな僕は実はアイドル〜荒波が立たぬよう黙ってたけどもう限界。いい振らします〜』
がネコlove様の方で投稿されました。
ネコlove様とのコラボ短編です。
こちらも合わせてよろしくお願いいたします。
目が覚めると、目の前で結愛がソファーの前でしゃがんでいた。
僕を見る顔は、柔げにニッコリと笑っている。
「あっ、にぃに、起きた? おはよ」
「なにしてるんだ?」
起き上がりながら訊ねる。
「にぃにが寝たから、ずっとにぃにの寝顔を見てたの」
「そんなにおもしろくないだろ? オタク地味男な兄ちゃんの寝顔なんて」
「それを決めるのはにぃにじゃなくて結愛でしょ? 勝手におもしろくないなんて決めないで」
真剣な顔でそう言われ、僕は何も言えなくなる。
「今まで言えてなかったけど、結愛は、にぃにのこと、大好きだし、大切だと思ってるから!」
えっ……?
じゃあ、今までの召使いのような扱いは愛情の裏返し的なものだったってこと?
いや待て。
「そ、それは、兄ちゃんとして好きって意味だよな?」
「? そうだよ?」
当然でしょ? みたいな雰囲気で肯定する結愛。
よかった……異性としてなんて言われたらどうしようかと……
「5歳になるまでは違ったんだけどね!」
……なんだって?
「それはまさか、異性としてってこと……」
――ピーンポーン♪
嘘でしょ、このタイミングで来客⁉
インターホンのところへ行こうと立ち上がる前に、結愛がインターホンのところに辿り着いていた。
「はい」
『徳永です。良一くんはいますか?』
ギクッ⁉
突然の徳永さんの声に、体が跳び上がった。
「結愛が出るから、にぃにはここにいて。大丈夫。絶対に入れさせないから」
妹に守られことほど見苦しいものはないけど、藁にも縋る思いで結愛に頼んだ。
結愛が外に出たので、僕は、インターホンのモニター機能を使って様子を見守ることにした。
『なんの用ですか?』
『良一はいないの?』
『あなたが関わったせいでにぃにがあんな目に合ったのに、今さらなんの用ですか?』
『……結愛ちゃんには関係ないでしょ? これは、私と良一の問題なんだから』
『関係なくない! 結愛はにぃにの妹なんだから! ――だいたい、なんでそんなに偉そうなの? にぃにをあんな目に合わせたくせに』
『うっ……』
妹が優秀すぎる。
本当に10歳なのか疑うレベルだ。
『とにかく、もうにぃにとか関わらないで』
そう言った後、結愛が徳永さんの耳元へ近づいて何事かを耳打ちする。
された徳永さんは、結愛を驚きの表情で見詰めた後、泣きながら踵を返して自分の家に走っていった。
◆
「にぃに、褒めて!」
戻ってくるや否や、結愛が僕に抱きつきながら満面の笑みでそう言ってきた。
「ありがとう」
お礼を言いながら頭を撫でてやる。
「えへへ、どういたしまして!」
そう言ってはにかむ結愛。
そんな結愛に、気になったことを訊ねる。
「で、結愛さん。最後、徳永さんになんて言ったんだい?」
「ふふん、ひ・み・つ♪」
そう言いながら人差し指の先を口元に当てる結愛。
その小悪魔みたいな仕草に、少しドキッとしてしまった。
5歳までは違ったって、本当だったのか?
思えば、召し使い的な扱いというよりは甘えてきていただけのような気もする。
えっ、まさか、今までの行動は、僕への気持ちの表れだった?
確かに、罵倒されたことは一度もないけど……いやいや、そんなまさか。
「にぃにが何を考えてるかわかるけど、それは置いといて。今日の夕飯は何がいい? にぃにの好きなもの作ってあげるよ?」
置いとかれてしまった……。
というか、僕の考えは筒抜けになるくらいに分かりやすいのだろうか。
徳永さんにも、分かりやすいって言われたし……。
いや、なんでここで徳永さんを思い浮かべるんだ、僕。
これじゃまるで未練があるみたいじゃないか。
「にぃに?」
「あ、いや、なんでもない。そうだな……結愛の作るものはなんでも美味しいけど、やっぱり生姜焼きかな」
「わかった! じゃあ、一緒に買い物行こ!」
「そうだな。ちょっと気分転換もしたいし」
というわけで、歩いて15分のところにあるスーパーへと向かうことになった。




