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好きなタイプを聞いたんだけど…… (※玲奈視点)

誤字・脱字等の報告は、誤字報告からお願いいたします。




 頭を抱えていた良一が、姿勢を戻して諭すようにこう言ってきた。


「徳永さん、正気に戻ってください」

「む……良一は、私とキス、したくないの?」


 上目遣いをしながら訊ねる。

 それでも、良一は私の言葉をスルーした。


「そもそも、僕と徳永さんは、そんな関係じゃないはずです」

「それはそうだけど、私はしてもいいって思ってるよ?」


 私がしてもいいって言ってるのに、なんでそういうこと言うかな。

 ちょっと不機嫌になっていると、


「徳永さんは、僕のことを知りたいからうちに来たんですよね? 聞かれれば答えられる範囲で答えますから、キスのことは忘れてください」


 良一がそう言ってきた。

 思わぬ言葉に、私は反射的に即答した。


「ほんと⁉ じゃあ、忘れる!」


 嬉しい!

 これで、良一のことを知ることができる!

 しかも、本人と話をしながら。

 やっぱり、最初はアレを聞くべきだよね。


「じゃ、じゃあ、まず生年月日と血液型と星座を教えて!」


 そして、返ってきた答えが〝2111年8月22日、A型、獅子座〟だった。


「2111年8月22日、A型、獅子座……っと。へぇ、8月なんだ。私はねぇ、2111年7月7日で、B型、蟹座だよ」


 自分をアピールすることも忘れない。

 鞄から取り出したメモ帳にペンでメモる。

 すると、良一が――


「誕生日が七夕だと覚えてもらいやすそうでいいですね。僕の誕生日は夏休み中なので、家族以外に祝ってもらったことがないんですよ。まぁ、そもそも、祝ってくれる友達がいないんですけどね」


 そう頭の後ろを搔きながら笑って言った。

 笑い事ではないよね?

 良一と喋ってるあの男子は、やっぱりそこまでの仲じゃないんだ。

 私はいつも一美や乃梨子が祝いに来てくれるのに……。

 まぁ、夏休み中だから他の友達となにかしてるんだろうけど。

 よし、ここは私が一肌脱ごう!


「大丈夫、今年は私も祝ってあげる。だから、期待しておいて?」

「ハハハ、べつに無理して祝う必要はないですよ? 片倉さんや真辺さんとの用事があれば、そちらを優先させてください」


 冗談なんでしょ? みたいな笑いをしてそう言ってきた。

 私が祝わなかった時のための自分の心への保険をかけているようにも見えて、絶対に祝ってあげなきゃと奮起する。


「祝うったら祝うの! 良一の誕生日は絶対に祝うから、覚悟してね?」

「ただ誕生日を祝ってもらうだけなのに、覚悟が必要なんですか?」

「それは、誕生日になってからのお楽しみ」


 実際のところ、今は何も考えてないけど、良一が驚くような誕生日にする。

 それだけは断言できる。

 そう思った矢先、良一が


「では、嫌かもしれませんが、徳永さんの誕生日のときは、僕もお祝いさせてください」


 と、そんな嬉しい言葉を言ってくれた。


「えっ、ほんと⁉ ぜんぜん! ぜんっぜん、嫌じゃないよ! むしろ大歓迎!」


 私の誕生日の方が早いから、お礼も込めて良一の誕生日はすごいものにしないと!

 私は心の中でそう意気込んだ。


 ◇


 それから私は、良一にいくつか質問をした。


Q:好きな食べ物と嫌いな食べ物は?

A:好きな食べ物はハンバーグ、嫌いな食べ物は麺類全般。


 私はスイーツ全般が好きで、ピーマンが嫌い。


Q:好きなものと嫌いなものは?

A:好きなものはラノベ、嫌いなものはゴ○ブリ。


 私はカラオケが好きで、嫌いなものは虫全般。


Q:趣味は?

A:ラノベを読むこと。


 私はカラオケ。

 一美や乃梨子と一緒によく行く。


Q:特技は?

A:ラノベを読むこと。一日中でも読んでいられる。


 良一がそう答えたので、私も


 私はカラオケ。

 一日中でも歌っていられる。


 と返した。

 場も温まってきたところで、私は、満を持して、この質問をした。


「好きな人のタイプは?」


 これ、一番重要なところ!

 良一の好きなタイプが私と違ったら、それに近づける必要があるから。

 と、思ってたんだけど……


「ちなみに、徳永さんはどういうタイプが好みなんですか?」


 聞き返された。

 まぁ、答えるけど。


「私? 私はねぇ、告白を傷つけないように断ってくれる人、かな?」


 良一をチラッチラッと見ながら言う。

 すると、良一の顔が明らかに引きつった。


「そ、ソウナンデスネー。いやぁ、そんな人が見つかるといいですね!」


 まるで他人事のように言う良一に、私は少しムッとなった。


「絶対わかってて言ってるよね?」

「さ、さぁ? なんのことだかさっぱりですね。そんなことより、他には聞きたいことないんですか?」


 堂々と話を逸らそうとしてくる。

 でも確かに、まだまだ聞きたいことはある。

 なので、渋々、ほんとに渋々、良一の話に乗ってあげることにした。


「良一のお母さんって、若く見えるけど、何歳?」


 って、あれ? 良一の好きなタイプは教えてくれないの?



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