6章 乱れ
「浅田くん!いらっしゃい!」
「お邪魔します。」
僕は葉山さんの部屋に通された。部屋に入ると葉山さんは鍵をしめた。
「今日は親帰ってこないんだ。だから2人きり...」
「え、ちょっと」
僕はベッドに押し倒された。
「大好きだよ...浅田くん...」
そう言うと葉山さんは僕にキスをした。
僕は葉山さんは優しく抱きしめ、それからすぐに離した。葉山さんの目は涙が溢れていた。
「なんで?やっぱり浅田くんは私じゃ嫌?」
「葉山さん、いくら僕でもこれは違うと思う。」
僕は真っ直ぐと葉山さんの目を見ながら言った。
「今葉山さんがしようとした事は、そんなに焦るものなの?今しなければならないの?」
「だから...」
「うるさい!」
葉山さんは僕を睨みつけながら続けた。
「浅田くんには私の気持ちわかんないでしょ!」
「浅田くんは私の事利用してるんでしょ!だったら私が浅田くんの事利用してもおあいこじゃん!」
「私は周りより時間がないの!邪魔しないで!」
そんな事を言う葉山さんは歪んだ表情をしていた。いつも元気で明るく人当たりがいい。僕達は葉山夏美はそういう人物だと思っていた。悩みなんて無いと、そう勝手に。目の前にいる少女は、ただ一人僕には分からない悩みや苦しみを味わい続けたそんな子だったのだ。
「葉山さん、なにか悩んでるなら相談にのるよ?」
「浅田くんには分からないよ!浅田くん自身のことだって、理解出来てないのに!」
「そうやって!」
「!?」
「決めつけるだけじゃ前には進めないよ!」
「2人で寄り添って、片方がつまずいたら支えてあげる、それが恋人だよ!」