3話 恥じらいながら
「ごちそうさん」
いや、今日も空の料理は美味しかったな。そう思いながら自分の部屋に行こうとした瞬間
「お、お兄ちゃん!」
急に空に呼び止められた。俺を呼び止めた空の顔は少し赤く染まっていた。
「な、なんだ?」
そんな反応をされるとこちらもなんか緊張してしまうのだが。俺なんか悪いことしたっけ?
「え、えっと…」
もじもじと恥ずかしそうに少しの間口ごもっていたが意を決したかのように俺を見て、
「きょ、今日は助けてくれてありがとう!」
空は俺への感謝を口にした。
うん?何の話だ?
「今日私が変な人達に絡まれてる所助けてくれたでしょ。だから、その、ありがとう」
「ああ、なんだそんな事か。別に大したことはしてないぞ」
「いや、大したことしてるよ!だって私生まれて初めてだよ!変な人達に絡まれてる所を助けて貰ったこと。お兄ちゃんが私の初めてを貰ったんだよ!」
「最後のは意味不明だから流すけど、家族が危険な目に遭ってんのに無視するなんて普通しないだろ。空だって俺が危ない目に遭ってたら助けるだろ?」
そう。きっともし俺が危ない目にあっていたらきっと空は助けるだろう。だから別に大したことはしてない。というかむしろ礼を言うのはこっちの方だ。いつもご飯を作ってくれるし。
「そ、そうだけど。でも、お兄ちゃんが危ない目に遭うことなんてほぼ無いし…」
「ん?何それ?俺への宣戦布告ですか?お兄ちゃんは友達もいないし人との関わりもないから対人関係のこじれ合いがないよね、っていう嫌味ですか?」
え、なにこれ。親から子じゃなくて、妹から兄への虐待もあるの!怖いわぁ…
「何をどうしたらそんな考え方になんの。とにかく私が言いたいのは、お兄ちゃんに助けてくれたお礼をしたいなって」
「ああ、それならカルボナーラでもう大丈夫だよ。ありがとういつも俺に忙しい中ご飯を作ってくれて」
わさわさといぬをなでるように妹の頭を撫でる。髪サラサラだなおい。すると、妹は
「や、やめてよ。もう子供じゃないんだから!」
と言いつつも嬉しそうな様子だった。
「なんかして欲しいことないの?何でもするよ?」
「何でもするよとか簡単に言うなよ。俺が獣だったら襲われてるぞ」
「別にお兄ちゃんにだったら私は良いよ(ボソッ」
「ん?今なんて言った?」
「な、なんでもない!」
「そ、そうか」
聞き間違いだよな。なんか、予想だにしない言葉が聞こえ多様な気がした。俺もなかなかシスコンなのかもしれない。妹にそう言われたいっていうのが俺の幻聴を生み出してしまったらしい。
その後も妹に聞かれ続けたが俺はその度に断り続けたので納得しない様子だったが渋々諦めてくれた。そこまでしなくていいのに、本当に良くできた妹だな、と改めて思った。
僕の小説は不定期です。趣味で書いているので書きたくなったら書くみたいな感じなので本当に遅いです。申し訳ございません。
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