12話 校外学習4
「お兄ちゃんは明日から浅草に女の子達とデートしに行くんだもんね」
俺が学校から帰宅するとむすっとした妹がいた。
「デートじゃねぇ。校外に出て学習をするんだ」
「とは言っても、2時間寄席を見たらほぼ自由なんでしょ?しかも女の子だけの班で。これをデートと言わずなんと言うのか!」
ビシッと指をさして言ってくる空。
「別に俺だって女子ばっかの班になりたかなかったね。しかもほぼ初対面だぞ!そんな所に純粋の陰キャである俺を入れられるんだぞ?考えてもみろ」
そんなもん考えただけで…ああ、恐ろしや恐ろしや。
明日の校外学習憂鬱になってくるぜ。
「とは言っても最後まで余り物だったから先生たちにごめんね、匠くんのこと入れてあげてって言われて組まされた訳じゃなくて、女の子の方からデートのお誘い来たんでしょ?」
「デートじゃねぇ。何故そこまでデートにこだわるんだ。まあ、あっちから一緒の班にならないって言われたのは確かだけどさ」
「ほら!興味の無い人なんて女の子は誘わないの!つまりお兄ちゃんはその人達に気に入られてるんだよ!」
そう言って更に不機嫌になる空。
「おいおい。待て待て。ただ単にその人たちがお情けで入れてくれただけだよ。逆に俺なんかに気を持つ方がおかしいんだよ」
初対面で一目惚れとか、運命を感じたとか…笑わせんなよ。そんな少女漫画みたいなことリアルにある訳ね
ぇじゃねぇか。
「お兄ちゃんは明日どんな格好していくの?」
不意に妹がそんな質問をしてきた。
「んー。どうしよう…髪の毛は…うん、切ろっかな」
今の俺の前髪は目を覆い隠すのには十分な程の毛量がある。最初に前髪で隠すスタイルで来たので今頃になって前髪を上げでもすれば悪目立ちするからやめとこうと思っていたのだ。
だが…非常に邪魔だ。
「もし髪切るんだとしたら中学校の時みたいにした方がいいと思うよ」
空が俺の髪型について指摘してきた。
「昔の髪型の方がお前の好みか?」
ちょっと髪を上げて陽キャの仲間入りをしていた時のほうが。
「そりゃそうだよ!だってその時のお兄ちゃんのこと私の同級生の友達がいっつもかっこいいかっこいいって言ってたよ」
「そうなのか。知らなかった。でも、また目立たない?」
「その子たちが今のお兄ちゃんの姿を見たら…はぁ…きっと悲しむだろうなぁ」
「……今更俺が髪切ったとしても、どうせ空気として扱われるだろうし悪目立ちしないよな!よし切ろう!さっぱりさせるわ!空の言うように!」
もう俺の事話題にするやつもいねぇだろ。うんうん。
そう思い、俺は髪を切りに行った。
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