11話 校外学習3
「お兄ちゃんおかえりなさーい!」
俺が玄関に入ると妹が待ってましたと言わんばかりの声量で俺を迎えてくれた。そしてすぐに声を出した張本人もやってきた。
「おかえりなさい!」
「さっきも言ったろ?」
「顔見て言ってなかったから」
「お前と俺は新婚か!」
ちなみに兄弟での結婚は禁止されてるぞ。
「ところでお兄ちゃんがずっとヤダヤダ言ってた校外学習の班はどうなったの?」
「ああ、決まったよ」
「どうだった?」
「まあ、女子ばっかの所に入ってしまったけど、全員いい人ばっかだった」
そう言うと空はくわっと目を見開き、雷に打たれたように酷く動揺していた。
「え?え?高校では陰キャのお兄ちゃんが…なんで…?なんで…?」
「その女の子達も全員ハブられててハブられ同士仲良くしようってことでこうなった」
そう言うと空は
「お兄ちゃんが…取られちゃう…わぁぁ、どうしよぉ〜」
俺には内容が聞こえない程度の声量でブツブツと独り言を呟いていた。
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時も流れ校外学習前日のLHRの時間…。そこで最後に先生が校外学習についての説明をする。
「ではこれまでにも何度も確認してきましたが、もう一度だけ確認しときますね。まず9時までに浅草演芸ホールの前で9時までに集合して頂きます。自分達だけで浅草演芸ホールまで行くので決して1人では行かずに友達と公共交通機関を通って来てください。1人で行って迷子になってしまうのだけは絶対に避けて下さいね。そして──」
先生の話を要約するとこういうことらしい。
9時までに浅草演芸ホールに集合。そして2時間ぐらい寄席を見てからそこからは浅草を班別行動。そして2時に一旦集合してそこから解散だそうだ。その後は浅草で遊んでてもいいし、家に帰るもよしと言っていた。まあ、ただあまり遅くなりすぎるのはダメだぞと釘は刺された。
先生の話が終わる頃にちょうど終わりのチャイムがなった。
「はい、ではLHRの時間を終わりにします。皆さんも早く帰りたいと思うのでこのまま帰りの話に移りますね。明日は校外学習です。今日浮かれて事故が起こってしまったということはくれぐれも無いように。浅草には9時集合で昼ごはん等は寄席が終わった後の班別行動て自由に食べてください。では、さようなら」
先生の話が終わり、俺は長い溜息をつく。
「やっと終わったぁぁ〜」
俺はさっさと家に帰って妹に美味しいご飯を作ってもらうとするか。
「明日はよろしくね。日暮君 」
「日暮っち、じゃあね〜。楽しみにしてるよん」
「ひ、日暮さん、あ、明日はよろしくお願いします!」
明日一緒の班になってくれた3人がいた。
「こちらこそよろしく」
俺はその一言だけを言ってみんなとお別れをした。
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