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83 真実?




『あなたはこれを自分で……読んだの?』

『えと、どういうこと?普通に読めたよ。ちょっと開けるのが大変だったけど……』


特徴的な蒼白い炎を纏っている。

ーー間違いなく『創生の魔術書』だった。

これを開けられたということはやっぱり……この子は……。


そしてこの本がラクリマの伝記ということは、私が別世界に置いているのは『魂の在り方』。だとしたら、読めばレイラちゃんを助けられるかもしれない!


(しかも5冊読んだら、ピアノだって助けられるわ!)

思わず笑みが溢れる。


魔法をつかえば何でもできるけれど、強制力の強いものや呪いの類、強力な魔法は私だって解けないものがある。

ピアノに埋め込まれた魔法陣やレイラちゃんに必要な魂は今の私ではどうしようもできないけれど……これがあればーー。


『私も読んでみていいかしら?』

『うん!もちろんいいよ』


嬉々としてその本に手を伸ばそうとした時、後ろのドアから声がかかった。

(あっ……)


「その本の手渡しは待ってもらおうか……」

『?!』

『あ!お父さん〜』


黒い髪に藍色の瞳。少年とよく似ている。

40代半ばだろうか。

その人はカツカツと近づいてきて、無理矢理本を手に取った。


「アーノルド、よくやったな」

『うん!ちゃんとお姉さんと仲良くしてるよ』

「さて、そこのお嬢さん」


いきなり話を振られドキリとしてしまう。

(アーノルドのお父さん……この人は誰……?)


ーーーー

ミザリ中央部化学魔法研究所に所属するアーノルド・ミサ。

しかし、実際は神崇拝者であり神の復活を望む宗教団体に所属。

それ以上は秘匿情報のため開示できません。

ーーーー


「君かい?神候補というのは」

『えと、神候補…ってなんでしょうか?』

「ああ……そうか。ずっと学園にこもっていたからか」


ミサはふぅと一息つくと、本を懐へしまった。

長身の男性には深いシワが刻まれて、40代とは思えない貫禄を放っていた。

『創生の魔術書』は余程魔力が強くないと手に取れないはずーー。

(この人、強いわ)


その佇まいに一歩後退りをしてしまう。

(その本がどうしてもほしい……のだけれど。今はまだ難しいかしら。後でぜったいーー)


「今この国……いやこの世界は神がいないことはご存知かい?」

『はい……』

「神がいないことでどんなことが起こると思う?」

『え、と、信仰している人が悲しくなります?』


突然の問答。

な、何が目的なのかしら?

ーーーー

不明。

ーーーー

(情報はこれ以上得られない……)


「君は知っているようであまり知らないのかな。神がいない世界はね、崩壊してしまうんだよ」


ーーーー

そのような根拠はありませんが、可能性は否定できません。完全な憶測です。

ーーーー


「最近、黒い雨がよく降るだろう。あれはね、この世界の外側が崩れているからなんだ」

『えっ……?』

(黒い雨はミザリの化学魔法が原因じゃあ……?)


ーーーー

以下同文。

ーーーー


「時期にこの街も黒い雨に覆われるーー。その前になんとしてでも神を作らなければいけない」

『…………』


突然の話に頭がついていかない……!

黒い雨が世界の外側が崩れているからだというなら、なんとかしないといけない!

でもそれは本当、なの?

神様が、必要なの?


「子どもたちから魔力を集めているが、神の力を得るには全然足りない……」


ミサはライムをじっくりと見定めるように見ると、


「君の力を貸してくれないか?」




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