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悪役令嬢の恋を応援したい!  作者: 鮇 天魚
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メルクに繋がれた手は、セレネ様達と距離が取れると早々に離された。

そのまま並び歩きながら、庭園には迷路になっている場所があるとか湖ではボートに乗れるとか楽器も豊富に取り揃えてあるので演奏会も開けるとか、この別荘の事を聞いている内にあっという間に目的の場所に到着する。


ついてビックリ、そこには想像以上に色々な料理が並んでいた。


食べやすいように小さくカットされたサンドイッチや器の形に作られたタルト生地に乗っている美味しそうな何か、ワンスプーンに乗っかっている可愛い料理、クラッカーの上には綺麗なオレンジ色のサーモンぽものがまるで花を模した様に乗せられていて、美味しそうなのもそうなんだけど見た目でも楽しませてくれている。

ミニカップのデザートに一口サイズのケーキ、やお洒落なお皿にのせられた焼き菓子にデザインカットされた果物もあって完璧なビュッフェスタイルのガーデンパーティーのような昼食に胸が高鳴る。


そういえば、前世で友人の結婚式に参加した時もこんな感じのガーデンパーティーだったなぁ。純白のドレスからお色直しもして、好きな人と結ばれた友達はすごく幸せそうに笑っていて世界で一番綺麗だった。



「殿下と結婚されるセレネ様は世界で一番綺麗なんだろうなぁ」


「おやおや、確定していない事を不用意に発言するのはどうかと思いますよ?」

「!!」



素敵な料理からの想像が膨らみヘリ×セレ妄想に発展した私は隣に人がいた事すっかり忘れたうえに妄想が口から溢れていたようでメルクに指摘を受けてしまった。



「すみません、気持ちが先走りすぎてしまいました。」


「貴女は……殿下があの人が一緒になる事を望んでいるんですか?」


「えーと、それはどう言う事でしょうか?」


「貴女と殿下が一緒に居るところを良く学園で見ていたものですから。それに……彼女がやっていた事もね。」



なるほど、それで気を使ってくれていたのか。

確かに以前の私達の見ていたのだったら私が殿下を好きだと勘違いしていてもおかしくないし、そもそも、セレネ様にもそうやって勘違いされていたので険悪な関係だったのは確かだ。


だけど、今の私とセレネ様の関係は大きく違う。



「心配してくださってありがとうございます。ですが、先程の言葉は私の本心です。」


「……それは彼女に無理矢理言わされているのでは無く?」


「はいっ!」



私の返答が以外だったのか、メルク一瞬驚きで目を丸くすると口許に手を当てて考え込むように黙ってしまう。


うーん、何をそんなに真剣に考えているんだろう?


暫く様子を見ていたけれど、考え事から帰ってくる気配がないのでセレネ様の所へ戻ろうかな、と考えているとメルクの後ろ側から人が近づいてくる事に気が付く。


特徴的な柔らかなオレンジ色の長い髪、その髪を右下の方で一つに結び、オリーブ色の瞳に垂れ目な好青年は……ゲームの攻略対象の一人のジョーヴェ・ハウ!!


新たな攻略対象の出現に思わず声を上げそうになるとジョーヴェは人差し指を唇にそっと当てて片目を瞑る。

私はそのジェスチャーの意図を汲み取り、小さく頷くとジョーヴェはにっこりと満面の笑みを見せると一歩、また一歩と静かにメルクに近づく。

メクルに気づかれるのではないかとドキドキしながら見守っていると、ジョーヴェは見事に気づかれること無くメルクの背後に立つことができた。

そして、静かに両手を大きく広げたかと思うと勢い良く、背後からメクルに抱きついた。



「メールーくんっ!」


「うわぁぁっ!!!」


「っ?!!!」



突然の事に先程までの穏やかな声色からは考えられないような声で叫ぶメルク。

それに対し楽しそうに力を込めてぎゅっとするジョーヴェ。

予想外の行動に声にならない声をあげる私。



「背後から来るのはやめてくださいと何時もいってるでしょ!!」


「隙だらけなうえに、気配を読まないメルくんがいけないんだよ~!」


「それは……!気配を読んだり回りを気にするのは護衛の仕事だから良いんですよ!」


「少しは自衛も大切だよ? それを俺が教えてあげてるんじゃん。」


「余計なお世話なのですが?!」



いきなり目の前で繰り広げられた男同士のイチャイチャ(個人的主観です)

普段穏やかなメルクが声を荒げて嫌がり、それを気にせずからかうジョーヴェは楽しそう。

え、ちょっと待って二人とも顔が近いよ?



……やめろ、そのやり取りは私に効くぞ。



設定でも同じクラスでゲーム内でも良く一緒にいたから仲が良いのも知ってはいるのだけれど、もっと普通の距離感だったいし会話も丁寧な感じでしたよ? あんなに顔近くないし、こんな可愛いじゃれあい初めてしりましたけど?!


キャッキャ(ギャアギャア?)と戯れる二人は私の奥深くに隠している腐の心を呼び覚まそうとしてきていて油断したらニヨニヨと気持ちの悪い笑みが溢れそうになる。

私が必死に腐海の扉を閉め、賢者を降臨させようとしていると横に人が来た気配を感じて視線を移す。


あ、攻略対象が揃った。


そこには短い錆色の髪に燃えるような赤い瞳、キリッと上がった太めの眉が真面目そうな印象を与えている体育会系男子のアレス・モントがいた。



「何してるんですか、先輩方。」



先程までキリッと上がっていた眉を少し下げ、呆れたように二人に声を掛けるアレス。

ジョーヴェは気にした様子も無くヒラヒラとアレスに手を振り、メルクは先程よりも抵抗する力を強めて抜け出そうともがいている。



「んんっ!!」


「ほら、お二人のせいで女性が困っているじゃないですか。」



アレスの登場でなりを潜めていた腐の感情が再び暴れだし声が漏れてしまい、それを聞いたアレスが気を使ってくれる。

しかし、ただ萌が爆発しただけなので申し訳ない気持ちになってしまう。



「すみません、モント様。私は大丈夫ですので……」


「ん? 君は……同じクラスの……シャルロッテ・アントス?」


「はい、そうですが何か……?」



アレスは私の事を認識すると、驚きで目を見開くと次は眉間に皺を寄せて辛そうな顔をした。


あれ、私何かしましたっけ?

アレスは攻略対象者で同じクラスではあるけれど殆ど会話したこと無いしそんな顔をされるような覚えはないんだけど……。



「君は、ここに居ても平気なのか?」


「はい?」


「ここには……」


「シャルロッテさん!!」



アレスが何か言おうとした時、セレネ様の声が聞こえた。

声の方を向くと、はしたなくならないギリギリの早さで歩いてくるセレネ様が見え、その優雅で品のある歩き方にうっとりしてしまう。


だけど、優雅な歩き方とは裏腹に表情には焦りの色が見えていて心配を掛けてしまった事に申し訳なくなる。

早くセレネ様を安心させねばと、アレスには申し訳ないのだけど一礼してセレネ様のお近くまで行こうとすると、誰かに腕を捕まれ阻止されてしまった。



「えっと……マーレ様?」


「慌てて行かなくても、彼女もすぐに此方に来ますよ。」


「それはそうなのですが……」



ジョーヴェとじゃれていたと思ったのに気がつけば二人は離れていてメルクはまた私の腕を掴んだ。

その顔は笑っているのに冷ややかで、メルクは私とセレネ様を近づけたくないみたいに感じる。


さっきの私の言葉は信じてもらえてないみたいだし、何か理由もありそうだし……どうしたものかなぁ。






これで小旅行にきたメンバー全員登場させることができました!

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