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悪役令嬢の恋を応援したい!  作者: 鮇 天魚
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久しぶりの更新です。


「この部屋、私が使って良いんですか?」


「はい。殿下がお連れされたご学友様には此方の客室をご用意させていただいております。」


「……しゅごい。」



セレネ様と殿下に招かれて足を踏み入れたお屋敷のとても広い玄関ホールに集まっていた大勢の使用人さん達から歓迎の挨拶を受けた後、それぞれに用意されていた部屋へと案内された。

前世今世ともにロイヤルなものに縁が無い私は部屋の豪華さに圧倒される。

……いや、今お世話になっている男爵家のお部屋も前世に比べれば豪華で素敵なんだけど、それ以上に王家の別荘であるお屋敷のお部屋は凄いのだ。


私はよくあるベッドと洗面台とかがあるホテルみたいな一室を想像していたんだけど、扉を開けた向こう側に広がっていたのはリビングのような広い空間だった。そこには足の短いテーブルとそれに合わせてソファーが4つ置いてある。それらが佇まう床は大理石なんですか? ってくらいツルツルでピカピカしているし、その床に敷いてある絨毯も繊細な模様が描かれている上に触り心地が良さそうで思わず寝転がりたくなるけれどそれはさすがに自重しよう。

ゆったり出来そうなリビングの更に奥にはこれまた広そうなバルコニーが広がっていて湖と緑の森が一望できて景色を眺めているだけでも一日過ごせそうな気がする。


入り口正面から見える場所の確認後、リビングの左側に扉があることに気づくと察しの良い案内メイドさんがベッドルームであることを教えてくれた。



「では、私はこれで失礼します。何かご入り用がございましたら入り口に掛かっている此方のベルでお呼びくださいませ。」


「はい、ありがとうございました。」


「後程、他の者が昼食のご案内をしに来ますのでそれまでごゆっくりと寛ぎくださいませ。」



そう言うと、綺麗なお辞儀をして案内してくれたメイドさんは退室していった。

綺麗な所作や言葉使い、そして察しが良くて優しいメイドさんが素敵でファンになってしまいそう。


メイドさんの所作を意識しながら一通り部屋を確認した後、私はバルコニーへと出てみることにした。



「うわぁ! 凄いっ、綺麗ー!!」



リビングから見る景色も素敵だったが実際に外からみる景色は視界を遮るものがなく解放感があって思わず声が漏れた。

目の前にある湖はお日様に照らされて輝いているし、奥に広がる森の緑が気持ちを優しくさせてくれるし、爽やかな風が吹く空は広々していて王家がここに別荘を建てたのも何となく理解できる気がする。



「ここに来たら、どんな気分もリフレッシュできそう。」


「ふふ、それは良かったわ。」


「え?! せせ、セレネ様?!!」



一人だと思ってぼけっとしていたら右隣から大好きなセレネ様の声が聞こえて驚く。

声の方に視線を向けるとそこにはイタズラに成功して嬉しそうに笑うセレネ様がいてその笑顔の可愛らしさいに私のライフポイントと言う名のトキメキゲージが一気に上昇した気がする。



「驚かせてしまってごめんなさいね。実は、貴女とお隣にしてもらえるよう殿下にお願いしていたの。」



何ですか、その可愛らしいお願いは……!!



「こうして偶然お逢いできたら楽しいかしらと思って。」



最高of最高ですよ!!!



「貴女なら受け入れてくださると思ったのだけど……迷惑だったかしら?」


「大っ歓っ迎です!!!」


「あぁ、良かったわ!」


「ん‘’ん‘’っ!!」



セレネ様は私が萌え死にそうなのを耐えて無言でいる事に一度不安そうな表情を見せられるが、私の返答に安堵し、大輪が咲き誇る瞬間のように笑顔を咲かせ更に私のLPを削っていく。


無理、可愛い!! 尊いよ、セレネ様……!!

でも大丈夫、まだ私のLPは残ってる。鉄壁レベルで残ってるから大丈夫。


自分を落ち着かせるために一度深呼吸をしてからセレネ様の方へ向き直おる。

自然と私に向けてくださる笑顔に胸がキュンとなるけれどさっきよりは落ち着いてお話できそうだ。



「セレネ様は以前もこちらに来たことがあるんですね。」


「えぇ、小さい時に何度か。殿下に誘われて弟や従兄弟と一緒に年に一度遊びに来たわ。」


「セレネ様、従兄弟がいらっしゃるんですね!!」


「あら、結構有名なのだけどご存じなかったのね。」



どうやら貴族の間では有名な事らしいのだけど、残念なことに私は知らなかった。

ゲームでもそんな設定書かれていなかったし驚きの真実である。



「でも……そうね。本人は隠したがっているみたいですし知らない方がいてもおかしく無いわ。」


「そうなんですか?」



もし私がセレネ様と従姉妹だったなら喜んで言い回るんだけどなぁ。



「……学園での貴女に対する行動や周りで囁かれている私の噂は良いものでは有りませんでしたから。」


「セレネ様……」



そう言うと、悲しそうに微笑まれるセレネ様を見ているのが切なくて、なんて声を掛けようか悩んでいると昼食の準備がで来た知らせが来た。



「さぁ、このお話はここでお終い。せっかく素敵な所に来たんだもの楽しみましょうね。」


「はいっ、セレネ様!」





***





昼食が用意できたと言われセレネ様と一緒に案内された先は、瑞々しい芝生の絨毯が広がる湖の畔の中庭だった。

中庭ってこんなに広いものだっけ? と、疑問を抱くくらい広くて解放感がるその場所に白いクロスが掛けられた幾つもの円卓が並び、その上に色んな種類の料理が乗せられている。


ガーデンパーティのようなその空間ではすでに何人か来ていたようで会話に花を咲かせているようだった。


人が集まっている所に近づいて行くと、セレネ様が来たことに気がついた子爵家コンビが挨拶にやって来た。



「セレネ様、この度はお誘いありがとうございます。」


「まさか、殿下の側近の方々ともご一緒だとは思わず、この様な機会を恵んでいただいた事に感謝しかありませんわ。」


「お二人の頑張りは耳にしていましたので、たまにはゆっくりされるのも良いかと思いましたので。」



あの町での一件以来、子爵家コンビとセレネ様と一緒に「変わる」と言うのを本気で頑張っているらしくマナーや勉強に慈善活動など積極的に行っているとセレネ様から聞いたことがあった。

その成果なのか以前よりも所作は綺麗になっているし雰囲気も陰湿で暗いようなものがなくなっている気がする。

セレネ様の隣にいる私を他所に会話をしているのだけど、これはセレネ様以外目に入っていない感じだから無視とは違いそうだ。

それにしても……



「なんてお優しいのかしら……」


「なんて慈悲深いのかしら……」



完全にセレネ様の虜、セレネ様の信者のようである。

前は嫌な貴族だなって思っていたのだけれど、今は仲良くなれそうな気がするぞ!


私が子爵家コンビの気持ちに共感しながらニヨニヨしていると、セレネ様が二人の背中をそっと押して私の前に並ばせる。



「さぁ、サティーナ様、ユノス様。」


「…………」


「…………」



子爵家コンビそんな名前だったんだ!

初めて名前を知った二人を見ると、少し気まずそうな緊張しているような顔で私を見ては「あの」とか「ええと」と何か言い出そうとしては言い淀む。

二人の様子につられて緊張してきた頃、「あっ」と小さく声をだした子爵家コンビの視線が私の頭よりも上に移り目がキラキラと輝き頬が赤くなった事に疑問を感じると、背後から聞き覚えのある男の人の声が聞こえた。



「このような場所に固まって皆さん何をなさっているんですか?」



その声に振り返ると、そこには眼鏡の奥にある琥珀色の少しつり上がった目を細め、昼間の海のような綺麗な色の少し癖のある髪を耳にかけ、眼鏡のおくながら優しげに微笑んでいる男の人が立っていた。


その人物は学園でも有名な殿下の側近の一人、何故か今回の別荘にも一緒に来たゲームの攻略対象者でもある……



「メルク・マーレ」


「はい、メルクでございます。貴女に名前を覚えていただけていて光栄ですね。」



人当たりの良さそうな優しそうな笑顔でそう答えると、メルクは私の手を取り料理の並ぶテーブルの方へと歩き出そうとした。



「お待ちなさい、メルク。シャルロッテさんは私たちと話をしていたのですよ。」


「ん~、ですがあまり弾んでいないように見えたのですが?」


「それは……大切な話をしようとしていたからで……」


「そうだったんですね、それは失礼しました。ですが、美味しそうな料理も並んでいることですし先にお腹を満たしてからでも良いかと思いますよ?」



メルクがそう言うと子爵家コンビがお互いの顔を見合わせて戸惑っている。

そんな二人を見てセレネ様が何か言おうとした時、先にメルクが声を発した。



「さぁ、皆さんも行きましょう。そろそろ殿下も来ますよ。」



優しい笑顔のわりに有無言わさない雰囲気があり、私はメルクに手を引かれて状況を飲み込めないまま料理の方向かわされる。


なんだろう、この状況モヤモヤするぞ?

メルクはわざと言葉を遮ったように感じたし、一瞬だけセレネ様を見る目が鋭くなった様にも感じた。


ただの楽しい小旅行のはずが、何だか波乱の予感?





イベントが動き始めました!

これからも楽しんでいただければと思います!

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