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第七話 真相

「ちょっと待って下さいよ、どういうことですか…」

僕は今まで、隣の宇宙人のことを地球滅亡を阻止にやってきた良い宇宙人だと思っていた。

だけど今、その本人の口から信じられない言葉が…

待てよ、場合によっては隣の男こそ地球を滅亡へ導こうとしている宇宙人達の親玉なのでは…


と、その正体を想像し怯える僕をよそに、宇宙人は語りだした。

「まぁこの際、簡単に説明してやろう。 

 我々にとって地球というのは特別な星なんだ…」


そのグダグダと長い話を簡単にまとめると、


彼らの住む星は、地球に非常によく似ている星だけど、地球に比べると人口は遥かに少ないそうで、その星で地球人と全く姿の違う住民達が静かに暮らしているらしい。

だけど技術面では、宇宙を瞬時に移動できる宇宙船だったり、無限に物を入れることができる小さな箱だったり、地球に比べ遥かに進歩しているそうで、


そんな彼らにとって地球というのはこれまで何の脅威でも無かったけど、地球で宇宙開発が進むにつれ、かなり先の事だが自分達の星が発見される可能性が出てきて。

もし発見されれば、資源を奪われたり、移住地にされる場合もある、そうなれば星の寿命が減ったり、人間とは姿の違う自分達に危険が及ぶ可能性もあると考え、

そのときの対処法のひとつとして、ヤベさんの中身は地球人の脳に埋め込んで記憶喪失を誘発する脳組織を開発中で、その実験の為地球を訪れていたが、誤って開発された地球滅亡用の脳組織が何故か彼女に埋め込まれてしまったとか…


彼女に脳組織を埋め込んだ宇宙人ってのは正確にはヤベさんが作り出した生命体らしく、姿を消したり、人間の体に入り込んで動いたりはできるけど、それ以上の能力は無いはずなので、力の使えないヤベさんでもヤツらの姿さえ見えれば何とかなるとかならないとか…

とまあこんな感じ。



どうやったら、そんな間違いが起こるのか…


僕の頭が一気にSF話に染まり混乱している中、タクシーは港に到着した。


「とりあえず港に着きましたけど…どこまで…」

僕がすっかり存在を忘れていたタクシーの運転手が話しかけてきた。

僕らは相当怪しいだろうな。


「えっと…ここでいいです」

窓から見えるデカイ建物がその倉庫のようだし、何より今はこの変な空気の車内から降りたかった。


「あっはい…えっと1860円です…」

僕は財布から二千円を取り出し何となく、おつりはいいですと言った。


「もし、誰かに話したら、わかってるでしょうね!」

というヤベさん。

「あの…気にしないで下さい、映画の話なんで…」


「あ〜映画ね…」

と運転手。


もっと年寄りならそれを信じたかもしれないけど、あの中年の運転手はどう思ったか…


そんなやり取りがあって僕らはタクシーを降りた。



さて、おそらく目の前の寂れた倉庫の中に彼女がいるのだろうけど、


一体どうなることやら…


(続く)


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