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100コのおねがい。  作者: すーみん。
2/2

1話 踏切にいた少女。

(はる)の葬儀が終わり、俺は、いつも通りに高校へ通っていた。




「あ、彼方ー」


「ん?ああ、楓坂(かえでざか)か。」


「おはよ。そういえば、陽ちゃんだっけ?お前の幼馴染」


「そうだよ。今頃、天国にでも行ってる頃か…」


「そうだな~、ま、元気出せ!」


「痛って…やめろ…」



親友にバシバシと背中を叩かれる。

それにしても、こいつは元気だなぁ…


そのまま今日も、放課後まで気だるげな授業を受けた。


はぁ…今日もやっと終わった…帰れる。

よし。帰ろう。

そう決意した時、手を掴まれた。


「ゆーきーむーらー?まさか、帰る気じゃないわよね?」


「くそ…見つかったか…桜」


「行くわよ。幽霊部員。」


そのまま桜に連れていかれ、結局帰るのは、18時。

なんということだ…運悪く予約が出来なかったアニメを見逃してしまったではないか…

世界は残酷だなぁ…

そう考えながら、ため息をつき、暗くなり始めた帰り道を歩いていると、一人の女の子が踏切にいた。



鳴り出す踏切警報機の警告音。

おいおいおいおい

あれ、やばいだろ、絶対。

気がついた時には、体が動いていた。


「おい!!立て!」


『え…』


「え、じゃねぇ!死にてーのか!クソっ」


『わっ』



小学生くらいの女の子を抱え上げ、急いで踏切を出た。

あと5秒、動くのが遅かったら、間違いなく死んでいた気がする。

ゆっくりと女の子を下ろし、力が抜け、その場にしゃがみ込んだ。


「はぁ…お前、あんなとこで何してたんだ?」


まさか、死のうとしてたなんて言い出さねーよな…?

微かな不安に似たようなモノが脳裏をよぎった。


『私、気がついたらあそこにいて…』


ひとまず自殺ではないよう。

ならば、この女の子は、どうしたというのだろうか。

それから、長話になるようで、一旦うちに来ることになった。


「ん。そこに座って待ってて。」


『う、うん。お兄ちゃん誰?』


雪村彼方(ゆきむらかなた)。」


『じゃあ、彼方って呼んでもいい?』


無駄にキラキラした目で見つめられ、断る気力もなく、OKした。


キッチンで、2人分のココアを入れて、持っていく。

女の子に手渡した。

そういえば、名前…


「お前、名前は?」


(はるか)だよ!!彼方!』


「遥か…じゃ、お前のこと、はるって呼んでい?」


慣れない笑顔を必死に作り、聞いた途端、遥は、必死に『それだけは、ダメ。絶対許さないから!』と止めてきた。

先日亡くなった幼馴染の名前も、(はる)だったから、なんとなく雰囲気似てるし、いいと思ったんだが。


「じゃ、はるか。でいいか?」


『いいよ!彼方!』


「おう」


それからココアを飲みながら、遥から色々なことを聞いた。


まず、遥は、気がついたら、あの踏切にいて、体が思うように動かなかったこと。

次に名前以外は、自分のことがどこの子だとか、わからないということ。

いわゆる記憶喪失ということなのだろうか。


そして、俺が警察に遥の捜索願いが出てないか問い合せたところ、全くなし。

普通、この時間に小学生が帰ってこないとなると、捜索願いくらいは、出すはず。

それが出ていないとなると、残される可能性は…


" 捨て子 "


「お前さ」


『遥』


「遥は、捨てられたわけ?」


『失礼な!これだけは、言えるもん。捨てられたんじゃない』


「じゃ、なんで?」


『私にもわからないの。でも、これ…』


そう言いながら、おずおずと遥が服のポケットから1枚の紙を取り出した。

そこに書いてあったことを見た瞬間、遥という人間が現世(ここ)に居ていい存在ではないということを、直感した。



" この子を拾ってくださった方へ



この子のおねがいを100コ、叶えてあげてください。


そうすれば、この子は、無事帰れます。


小学校に通わせる必要は、ありません。


あなたは、ただ、この子のおねがいを叶えてあげてください。


よろしくお願いします。



────────────────────


【人物紹介】


雪村(ゆきむら) 彼方(かなた)

青花(せいか)高校1年。

・一人暮らしの普通の男子高校生。

・写真部の幽霊部員。


麻倉(あさくら) (はる)

・死亡。

・彼方の幼馴染。


楓坂(かえでざか) 遥斗(はると)

青花(せいか)高校1年。

・彼方の中学からの親友。



(さくら) 愛菜美(まなみ)

青花(せいか)高校1年。

・彼方の友達であり、世話係。

・写真部。



(はるか)

・踏切にいた謎多き女の子。

・彼方に助けてもらい、命は助かった。

現世(ここ)の人間ではない。

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