プロローグ
昔からあまり話さなかったが、ちょくちょく気にしていた幼馴染の女の子が死んだ。
死因は、溺れている子供を助け、自分が溺れたらしい。
名前は、麻倉 陽。
笑顔が可愛くて、モテていた記憶がある。
小学校の頃は、一緒に帰ったりが当たり前だったから、周りからからかわれたりもした。
そして、その晩、幼馴染として通夜に呼ばれた。
「あら、雪村さんとこの…彼方くん!?大きくなったわねぇ…」
「あ、はい。こんばんは…陽は…」
「ええ。あの子は天国に行けたかしらね?」
声をかけてきたのは、陽のお母さんだった。
悲しそうに笑った。
その後、陽の顔を見に行った。
死んでいるとは思えないような笑顔で、棺桶の中にいる幼馴染をみた。
俺は、なんとも言えない気持ちになった。
陽のことは、幼馴染としか思っていなかったから。
最後に陽のお母さんに一言いって、家に帰ろうと思っていると、丁度、陽のお母さんが話しかけてきた。
淡いピンク色の桜が描かれている封筒を持って。
「彼方くん。これ、あなた宛の手紙なの。陽の机の奥から出てきたわ。貰ってくれる?」
「あ、はい。」
反射的に封筒を受け取り、陽のお母さんに一言告げ、帰った。
家に帰り、封筒を開け、手紙を読んだ。
手紙の内容は、4文字だけ。
" だいすき "
その夜は不思議な夢をみた。
不思議な女の子が出てくる夢を────