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第1話 大悪魔(仮)の予定のあ・くま、マクーニャ参上。

幾千にも輝く満天の星空。少年少女がもたらした物語。それは夏休みの中盤だった。僕は湖を見るといまだに思い出す。親の田舎に行った際、ある女の子と湖で約束したのだ。

「私たちここでさよならだけど、いつか会えたら一緒になりましょう。」

「ああ、約束しよう。ここで愛を誓い合おう。」

「嬉しいありがとう。その言葉大切にするね。」

若干9歳の2人は唇を合わせ愛を誓い合った。

「……」

「……」

りりりりりーーーー

携帯のアラームがなっている。うーん。まだまぶたが開かないよ。眠たい。お布団が愛しいよ。

まだ季節は冬。太陽は出ているが布団から出たらまだ寒い。窓から見たら雪景色だ。瞳からは涙が出ている。

「なんだか懐かしい夢を見たな。子供の時に出会った少女……誰だっけ?」

「そうだ。今日は用事があって早く起きたんだった。準備しなきゃ。」

僕はスーツに着替え、白ネクタイをし、今日も格好良く決めた。

「よし。いい感じだ。今日も一段とカッコいい。」

僕の名前はユーリ。都会の大学2年生だ。地元は田舎で地方出身だ。

机に置いてあった僕のスマホが鳴る。見ると同じ地元の田村からだった。

「集合は今日の10時で駅前な」

了解!!時間を見ると9時だ。今から行くぜ。


うぅ、コートを着ているが、外は寒い。一面雪景色だ。何で今日に限ってこんなに雪が降るんだよ。いつもだったら降らないのに。ぶつぶつ言っているうちに駅前に集合20分前に着いた。着いたら駅前のカフェに田村はいた。

「よ。早いな。もう少し遅れるかと思ってたよ。」

「今日は結婚式なんだしよ。早く行かないとな。」

僕は久々に会った友人に笑顔を見せた。

「それにしても久々にあの夢見たんだ。」

「あの夢?なんだそれ?」と田村は興味津々で聞いてきた。

僕はふっーと息を吹き、地下鉄に向かうために階段を降りながら

「親の実家に行った際、その近くに湖があったんだ。」

「僕が湖の近くで遊んでいる時に1人の少女が立っていて、こっちに向かってニコって笑ってくれたんだ。」

一緒に歩く田村はウンウン聞いてくれながら、僕は

「あれ以来、その子とは会ったことないのに頻繁に夢で遊んでいるシーンばかり見ていたんだ。中学入ったらパッタリと見なくなって、今日久々に見たんだ。」

考え込む僕を見て田村は早足になりながら「気になるんだったら行ってみりゃ良いじゃん?明日から大学休みじゃん。良いよな。学生は」

はーーと白い息を吐き。僕は、「別に暇してるわけではないよ。それにその湖はここから結構遠いし何か特別なことがない限りいけないよ。」

それを聞き、残念そうに田村は「そう。まあ良いんじゃね。ユーリが良ければ」

「まぁ今日たまたま見ただけの夢だしな。行っても何もないと思うし。」

僕は田村とのたわいもない話をしながら時間を気にしつつ、地下鉄に乗った。


結婚式も無事終わり僕はそのまま家に帰った。そしてなんとなく湖のことが気になった僕はパソコンで検索していた。

「うーん。」嘆く僕。あんまり情報が見つからない。まして少女が出たとかの情報はない。

「もう疲れたし、寝るか。」

布団をいつものところに敷き、今日は眠ることにした。

「……」

「…………」

「ここは、湖?」僕は寝たはずなのにあの湖に立っている。なぜだ!!。

「こんにちは。」と少女が声をかけて来た。

にこやかな笑顔で僕に「私のこと覚えてる?」

記憶にはある。しかし名前がわからない。

「私は覚えてるよ。ユーリくん。」

僕の名前だ。僕は驚いたように目を開き「どこかで会ったことあるっけ?ごめん。薄っすらとしか記憶にないんだ。」

少女は驚き、そして「湖は覚えてるでしょ。その夕方から夜に落ちる片割れ時にそこに来て。待ってるから」

「待って」そう僕は言うと目が覚めていた。相変わらずに寒い。何だったんだ今のは。妙に現実っぽい感じだった。あの湖に来いと。そしてその少女は待っているのか?

「まぁ夢だろう。妙に現実的な夢を見るときもあるだろう。」

僕はそう不思議がらず、時間を見る。「まだ朝3時か。寝るか。」再度布団をかぶって眠った。


あれから一週間がたって、その夢のことを僕は忘れていた。

「うーん。課題疲れた。もうすぐ寝るか。」僕は大あくびをしてもうすでに目は閉じかかっている。

もうすでに夜24時を回っていた。布団に入るやいなやもう夢の中だった。

「……」

「…………」

「ここは湖?」

僕は久々な感覚に包まれた。木から伝わる心地よい風、太陽が差し込むベンチに僕は座っていた。

目の前には以前見た少女がそこにいる。するとか開口一番「なんで来ないのよ。1週間前の夢で来てって言ったじゃない。」

見るからに怒っているようだった。僕は口をポカンと開けている。

「ずっと待っていたんだからね。早く来なさい。いい、ユーリ私はここにいる。幾千にも広がる星が見える前の片割れ時に。」

そう言うと彼女は去り、僕は口を開けた瞬間夢から覚めていた。

「あれは夢?妙に現実っぽい。まぁ夢だし。あー眠い。寝よ寝よ。」

そして、もう1週間たった頃、ピンポーンとアパートのインターホンが鳴る。誰だろう。まぁアンケート取っている作業員だろう。最近多いし。よし。居留守使おう!!「いませーん。」僕は気配を消していた。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。インターホンが鳴り止まない。

「ん?、普通はこんなに鳴らさないよな。」僕は不思議がり疑問を抱いていると玄関のドアから

「ちょっと入るんでしょう。ユーリ。早く出て来なさい。」

僕はドアを開けると夢に出て来た少女が目の前にいた。

「寒すぎる。寒すぎるわよここは。ふざけてるの。湖の周辺は暖かかったのに、もう少しで凍え死にそうだったわ。」

僕はその少女を見て思わず、「夢なのか。これは」

それを聞いた少女は「夢じゃないわよ。本物よ。来てやったわユーリ!!さあ中に入らせなさい。寒いから。」

「いや、どちら様でしたっけ?薄っすらとしか記憶にないです。」

それを聞いて怒った様子の少女に「私を覚えてないの?私の名はマクーニャ。最初に会ったのは湖だったけ。あとは夢で何回か会っているはずだわ。」

「え、夢で?あれって本当、現実に起きたものなのか。」僕は思わず聞き返した。

マクーニャはドヤ顔で「ちょっと違う。夢自体は現実ではないよ。夢は私が見させたやよ。私は悪魔。サキュバス、そんなことたわいもないやよ。」

「それはそうと中に入れさせて。この気候に慣れてないからもう限界なの。」そう言うとマクーニャはガクガク震えながら涙目になっていた。

「マジかよ。お前悪魔だったのかよ。夢を見させてたのって……」不意打ちを食らった顔になった僕を見てマクーニャはドヤ顔を見せ「そうよ。だから部屋に入らせて。」と言ってきた。

悪魔を入れさせるのは抵抗があるのだが、見た目は人。夢を自在に操れるらしいし、それにこんな姿周りに見られたらたまったもんじゃない。

「それじゃ中に入れよ。」僕は渋々オッケーした。

少女はにこやかな笑顔を見せ、「そうよ。話が分かる人でよかったわ。あなたには聞きたいことが色々とあるのよ。」


部屋に入るとマクーニャは「暖かい!!良いわね、あなた。外に比べたらここは魔界の癒しね。」

「どう言う例えだよ。」僕はマクーニャにつっこみを入れると「お茶がいい?紅茶がいい?」僕は質問し「それじゃ紅茶で」とマクーニャが答えた。

「どうぞ。」と僕は紅茶を差し出す。

「ありがとう。それじゃ魔界流尋問を始めるわ。ちゃんと答えなかったら死刑だから。手始めになぜ湖に来なかったの?あれだけ待ってたのに。」

「死刑は嫌だな。うーん。夢だったし、場所も秘境

みたいなところにあるし、普通は行けないよ。」

僕は正論をぶつけたところ、マクーニャは「そこは来なさいよ。私が待ってたんだからね。」

「そんなこと言われてもな。無理なものは無理だろう。僕は男女平等主義者だ。だから無理なものは無理だよ。」

マクーニャがうっ、って顔して「あんたモテたことないわね。悪魔のことも考えなさい。」

僕はお茶を飲みながら「悪魔のことなんて考えたことねーよ。」

「なんてこと言うの。訂正しなさい。この悪魔め。」

マクーニャの言った言葉を流し、僕は気になっていたことを聞いた。

「何しにここへ来たの?」

その言葉にマクーニャは紅茶を机におき、ドヤ顔を決めた感じで「よくぞ聞いてくれたわね。私は悪魔。あ・く・ま。人間をたぶらかすために私は魔界からこの日本に派遣されたわけやよ。人間をたぶらかすことで魔界からの評価が上がり、魔界ポイント(お給料みたいなものね)が増える仕組みなの。あわよくば、魔界ポイントで悪魔通販の魔道具を買い次第に私が次期大悪魔様として君臨していくやよ。」

とドヤ顔で気分良く語って来た。

「へ。パチパチ。凄いね。それじゃ頑張って!!応援してるよ。それ飲んだら帰ってね。」僕は今脱力感でいっぱいだ。

「ちょっと待ちなさいよ。話は最後まで聞きなさいよ。」

「え?まだ何かあるの?……」

「なーははは。私はあ・くまのサキュバス。あなたの精気はいただきやよ。」

「おい、やめろーーーー。」

「おーい大丈夫か?大きな音したけど」隣の住人宮田さんだ。

「あ、大丈夫です。ありがとうございます。」

「そうか。最近不審者多いから気をつけろよ。」バタン。宮田さんは帰ったようだ。

「なーー何でいつも邪魔が入るのよ。」嘆いているマクーニャを尻目に俺は「いつも?」

「そうやよ。サキュバスなのにいつも邪魔が入るの。だから1番ポイントの高い異性をたぶらかすことが出来てないの。だからいたずらばかりになるの。」

「悪魔も大変だな。いたずらは何やってるんだ?」

よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの笑顔でマクーニャは「ピンポンダッシュや燃えるゴミを捨てる時ペットボトル1本一緒に入れて捨てたり、そうそう、最近S級悪魔行為したわ。トイレのトイレットペーパーを使い切ってそのままにしてきたやよ。」

「そうか。うんうん。」と悪魔っぽくなく、むしろ駄悪魔っぽいマクーニャに安心して話を聞いてやってるとマクーニャは「あー。気分良くなって来ちゃったからもう帰るやよ。また来るやよ。」

「悪魔が来られてもな……。」僕が遠い目をしていると「あなたは話聞いてくれるから楽しかったやよ。またね。」バタンと玄関のドアを閉めた。

「台風みたいなやつだな。悪魔だけど、そんなに危ないやつじゃないみたいだし。さあ、寝ようか。」

すると玄関からインターホンが鳴る。ピンポーン、ピンポーンピンポーン。

「うるさい。誰だよ。」僕は玄関のドアを開けるとマクーニャが涙目になって立っていた。

「TPT壊れちゃった……。」

僕は頭に?マークが出ている。WPTってなんだ?

「ワープ機能を持つWPT(ワープ、ポータブル、トラベル)やよ。これさえあればどこでも移動できるやよ。腕につける仕組みなのだけど、つける途中に水たまりに落としてしまって反応がないやよ……。」

「だから帰れなくなっちゃた……。」

落ち込むマクーニャがいきなり提案をしてきた。

「お願いがあるの。ここで一緒に住まわせて!!もうここを拠点で大悪魔に私はなる!!」

僕は目が点になった。「は?なんでだよ。ほぼ初対面のやつと一緒に住められるか。」

「そこをなんとか。そうしないとあなたの夢は毎日魔界のケロベロスの餌になった夢にするわよ。それは恐怖。あ・くまの私でさえ恐怖する夢なんだから。」

マクーニャが言う限りでは怖くもないのだが、毎日は嫌だ。それじゃどうする?

「うーん。それじゃ条件がある。ここでメイドをやってくれ。掃除洗濯とかやってくれると助かる。」僕はマクーニャに提案した。

「えー。やだよ。私は大悪魔を目指すあ・くま。そんな召使いみたいなことはできないやよ。」

「それじゃこの話は無かったことで。」

「ちょっと待ってください。なんでもやりますからお願いします。ユーリの夢をケロベロスの餌になる夢に勝手に変更しないから。お願いしますやよ。」

ということで、悪魔(あ・くま)のマクーニャと一緒に住むことになった。僕の日常はどうなるのやら。

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