期末テスト 5
「順也」という名前だけを見ると、皆さんはどういったイメージを抱くだろうか?
私だったりすると、順番や順序のようなイメージを抱いたりもするのだが。
「・・ッ痛ってーな、圭吾!」
叩かれた頭を押さえて叫ぶ順也くんに対し、怒りを称えた圭吾くんが答える。
「わざわざ昇太郎が取り分けてた唐揚げを、勝手に食べるな!」
今日の献立は、サラダと豚汁と唐揚げにご飯だ。
定食風なのは、料理の品を豪華にしよう思っていたら、隼から品より量など色々とアドバイスをもらってこの献立になった。
それは喜んでくれたので正解だったんだけれど、大皿に山盛りに盛っていた唐揚げは気が付くと見事になくなり、残るは昇太郎くんが小皿に取り分けておいた唐揚げだった。
それを、順也くんが勝手に食べたのだ。
「だって、唐揚げもうないし。」
「それは、おまえが食べまくるからだろ!」
順也くんは、とても自分に対して順な子である。そして、くせ毛に対してパーマをかけてるなんて言われると、逆に伸ばして格好いいだろうなんて言ったりするぐらい豪胆な子でもある。
そんな順也くんは、確かに肉だ肉!と言って一番唐揚げを食べていた気がする。
あまり怒った姿を見ない圭吾くんだが、食べるのが好きなので、たぶん自分に置き換えて怒っているのだろう。
そこに、当人の昇太郎くんが宥めに入った。
「圭吾くん、そんなに怒らないで。」
「おまえは怒れ、昇太郎!わざわざ取っておいたのに、食べられたんだぞ。」
「大丈夫だよ。僕は豚汁も好きだし、そっちをおかわりするから。遥先輩、まだありますか?」
昇太郎くんは、とても大らかで優しい子だ。小学校に入った頃から順也くんとずっと友達だそうで、きっと大らかさはそこで培われたのではと勝手に思っている。
笑って訊いてくる昇太郎くんに、私は力強く頷いた。
「うん、いっぱいあるから食べてね。」
「あっ、俺も俺も!」
「おい、順也!」
圭吾くんに怒られている最中のはずだが、全く気にしていない順也くんが、私に器を差し出すので受け取った。
そして、昇太郎くんのも受け取り、圭吾くんに訊いてみた。
「圭吾くんはどうする?この後、コーヒーゼリーとフルーツゼリーのデザートもあるけど。」
「・・・いただきます。」
そこはやっぱり食べるんだねと思いながら、私はにっこり笑って圭吾くんが差し出す器も受け取った。
「じゃあ、よそってくるね。」
私はお盆に三人分を載せ、台所へと向かった。




