隼の過去編:友だち 1
『遥、あのジェットコースター凄かったね!思ってた以上だった!!』
『・・・確かに、想像以上だった。』
とある日の休日。
僕こと隼は、遥が芦の祭のお詫びに願い事をひとつ叶えてくれるというので、いつもは場所が遠くてなかなか来れない遊園地に二人で遊びに来ていた。
二人で来るのは絶対条件だったが、この遊園地を選んだのには理由がある。
ひとつ目は、今乗ってきた新しいジェットコースターに乗りたかったから。
ふたつ目は、
『ごめん、遥。今回のジェットコースターは、はずれだったみたいだね。』
『・・いや、仕方ないよ。いけると思ったんだけど、重力が凄かった。』
遥はジェットコースターには大抵乗れるけど、当たりはずれと言って、大丈夫なものとそうでないものがある。
今回は、駄目だったみたいだ。
『じゃあ、長時間並んで疲れたし、お昼も兼ねて休憩しよっか。』
気を取り直して楽しもうと、僕は遥と手を恋人繋ぎにして歩きだした。
『そうだね。休憩したら、体調も戻るかな。』
遥は、その繋ぎかたを気にした風もなく一緒に歩く。
ふたつめは、外でベタベタすると遥は嫌がるが、今日は言われないからだ。
何故かっていうと、遠方だし知り合いがいないからいいじゃないという僕の言葉と、今日が芦の祭のお詫びも兼ねているのも相まって、大目に見てもらえる。
だから、今日は僕にとって、とっても幸せな日だ。




