芦の祭 19
戦いの末、切られた僕は片ひざをついた。
「おまえに、僕が殺られるとは。」
剣を支えにしながらクローディアスを睨み付けて僕が言うと、奴は鼻で笑った。
「私のガートルードへの愛の方が、重かったということだ。」
その言葉に、僕は吼えた。
「何が愛なものか!おまえは、成就できない恋の未練を捨てきれなかっただけだ!!」
「どうとでも言えば言い。何を言おうが、おまえは俺に負けたのだ。」
クローディアスは、気にした風もなく笑ってそう言った。
「ああ、そうだな。僕は負けた・・。」
悔しい気持ちを胸に、僕は下を向いた。
「「・・・・・・・・・」」
二人とも黙り、静寂が辺りを包む。
ついに、ハムレットのフィナーレだ。
僕は、下げていた顔をあげてクローディアスに投げかけた。
「・・だが、クローディアス。おまえは、母上のいない世界でどう生きるのだろうな。」
「なにを・・。」
クローディアスがこちらを見たので、笑ってやった。
そして、支えていた剣を捨て去り、両手を大きく広げて叫んだ。
「生きても死んでも、おまえは地獄だ!母上のいない世界で、苦しみながら生きるがいい!!」
僕は言い終え、体を傾かせて会場を背にして倒れこんだ。
ああ、終わった。
私は、安堵の息をつ・・
「兄さん、兄さんっ!!ああ、なんてことだ!」
・・こうとして、私の近くの舞台袖のほうから足音と共に声があがった。
その声にまさかと思いつつ、私のそばに来た人物をちらりと見上げ、私は固まった。
一兄も、動揺した声で叫ぶ。
「・・・おまえ、なんでここに。学校はっ!!」
次にお会いするときは、芦の祭の最後になるかと思います。
年末には投稿できるかと思いますので、しばしお待ちくださいませ。
それでは。




