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それを運命とは言いません  作者: 穂波幸保
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芦の祭 18

「ハァッ」

「ハッ」


キィンッ

キンッ


体育館内では、刃の交わる音が響いている。

誰もが息を飲んで、二人の戦いを見守っていた。


しかし、誰が予想していただろう。

みんな、入学したばかりの一年生の妹が生徒会長と剣劇なんて勝負にならないと思っていたはずだ。

だから、演技で練習した通りに剣劇が繰り広げられるのだろうと予想していたかもしれない。

それが、


「本当にすごいよな。」

東雲しののめ 龍生たつきは、体育館の一番後ろから剣劇を見つめていた。


クローディアスが促し、ハムレットが剣を抜いたかと思うと、激しい打ち合いが始まった。

始めにハムレットが仕掛けたが、クローディアスが防ぎ。その後、クローディアスが仕掛けるが、ハムレットは華麗にかわし。

そんな風に始まった剣劇は、まだ続いている。

この鬼気迫る戦いは、もちろん決まった通りのものではなく、本気で戦っていた。


練習時にこれを見て驚いた俺は、はるかちゃんに訊いてみた。

すると、「内緒ですよ」と言って教えてくれたのが、合気道は遥ちゃんも小さい頃一緒に始めたそうで、黒帯ははじめと同じように持っているのだそうだ。

それを、「わざわざ言うのも気が引けるし、最近は本当にたまにしか道場に行かないんで、そんなに凄くはないんです」と笑いながら言われた。

いや、俺から言わせると十分すごいし、みんな薄々そのことをわかっていそうだが。

そんな遥ちゃんは、一と道場に行ったときは一緒に手合わせをするらしい。

「だから、合気道とは違いますが、一兄と手合わせができるのは嬉しいんです」と、遥ちゃんは本当に言葉通り嬉しそうに言っていた。

そんな二人の勝率は、田所たどころに聞くと何回かに一回は遥ちゃんが勝つのだそうだ。


そんな面白いこと、見逃せないだろう!と俺は楽しみにしていたのだが、なんとか見られて良かった。

そのことにほっとしながら、俺は舞台裏での出来事を思い出した。


・・・・・・。高校最後の文化祭は、いろんな意味で強烈な思い出になるな。


そんなことを思いながら、俺は二人を見守った。



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