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それを運命とは言いません  作者: 穂波幸保
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芦の祭 14


「とうとう始まりますわね。」

「・・ええ、そうね。」


舞台のセッティングは終わり、舞台袖に立っていたりんお姉さまに私が声をかけると、そっけない返事が返ってきた。

凜お姉さまが見つめる先では、はるか様がそらさんや土ヶつちがや先輩と反対側の舞台袖で話をしていた。

私は、羨ましいと思いながら三人を見つめる。

何が羨ましいかというと、遥様の側ということもあるが、何より遥様と土ヶ谷先輩の仲の良さにだ。


今は凜お姉さまと二人で犬猿の仲と言われているが、昔はそうではなかった。

二人とも昔からショーや舞台が大好きで、一緒に観に連れていってもらっては、終われば語り合って。

とても仲がよかったのだ。

しかし、私のお父様の転勤で会う機会が減ると同時に、好きなもののジャンルが変わっていき、いつしか二人には埋められない溝が出来上がっていた。

そして、それがよしの祭のことで大きく浮き彫りになってしまった。

初めはそのことに落ち込みもしたが、今では逆にこれが良いきっかけになったのではないかと思っていた。


「実感していただけました?遥様の素晴らしさを。」

私は、凜お姉さまに訊いてみた。

口で伝えても偏見で馬鹿にしていた凜お姉さまが、いつの間にか遥様に対しても熱心な演技指導をしていた。

その様子を見ていたので、わかってくれたものと思って言ってみるが、またそっけない返事をされる。

「決めるのは、観客だわ。私ではない。」

「まあ、それはそうですけれど・・。」

勝負は、最後の剣劇で勝った方ではなく、劇が終わったあとの観客の投票となっている。

きっと、劇で遥様の素晴らしさは伝わると思っているので、不安なことはない。

だが、いま私がほしいのは、凜お姉さまからの言葉だ。


「・・・でも、そうね。相手に不足はないと思ってはいるわ。」

そう言って凜お姉さまは、私の方を振り返って不適な笑みを向けた。

その言葉に、私は喜びを感じて微笑んだ。

「負けませんわ。」



お久しぶりです。

あっという間に今年もあと2カ月をきったことにぞっとしている今日この頃です。

年内に終わらせようと、現在もがいて頑張っております。

いい所まできているのですが、続きをどう書こうか現在悩み中です。

そこを乗り越えれば、どうにかできそうな気もしてるんですが。

とりあえず、3話分お楽しみください。

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