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それを運命とは言いません  作者: 穂波幸保
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入学式 4


「とりあえず、クラスに向かいましょうか。」


私は悲しみに浸る間もなく、あやがそう言いだして私たちはみんなで歩き出す。

そして、下駄箱で靴を履き替え廊下に出ると、れいくんが待っていて私を見て微笑んだ。

「あれ、絢は?」

他の二人が見当たらず、麗くんに訊くと意外な答えが返ってきた。

「姉さんは山城やましろくんと一緒に先に行ったよ。」

「珍しいこともあるね。どうしたんだろう?」

私は二人ともに親しく話すが、絢と十哉とおやはそこまで親しくないはずだ。

「さあ・・?何故か、姉さんが引っ張って行ったけど。」

麗くんも私と同じ気持ちなのか、不思議そうな顔をして首をかしげる。

「まあ、いいか。麗くん、私たちも行こう。」

考えていても仕方がないので、麗くんにそう声をかけて一緒に歩き出した。


「麗くんは何組?」

「僕はD組だよ。あと、姉さんはA組。」

「そっか、お隣さんだね。忘れ物があればすぐ貸し借りできるね。」

「そうだね。何かあったらお願いするね。」

そう言って二人で微笑み合う。

さっきは気分もどん底だったが、麗くんといると和むので少し気持ちも和らいできたかもしれない。

そんなことを思っていると、麗くんが心配そうに声をかけてくれる。

「そういえば、はるかさん。姉さんはあんなこと言ってたけど、そんなに気を落とさないでね。お昼休みとかにみんなで集まればいいんだから。」

「・・・麗くん、ありがとう。」

なんと、絢の言葉に対して慰めてくれた。

麗くんの優しさが胸にしみる。泣いてもいいだろうか。

「それに、本当に高校で気の合う友達が新しくできるかもしれないし。」

「そうだよね。麗くんにそう言われるとやる気が出てきたよ、ありがとう!」

麗くんに微笑んでそう言われると、頑張れそうな気がしてきた。

しかし、その一方でこうも思ってしまう。

「・・麗くんと比べて、ひどいよ絢は。あんな言い方しなくてもいいのに。」

絢は気が強いため、辛辣ともとれる言葉を言う性格は承知しているが、今回はダメージがいつもより大きい。

そんな私の言葉に、麗くんは苦笑した。

「たぶん、姉さんも実際は落ち込んでると思うよ。はるかさん達と同じ学校になった時点で喜んでいて、さらに同じクラスにもなれればって期待していたみたいだから。」

「えっ!!?」

麗くんの言葉に、私は驚いた。

そんな様子は、みんなで一緒の高校と決まったときから一度も見たことがなかった。

「姉さん、天邪鬼だからなかなか見せないけどね。気落ちしている分、いつもより言葉がきつくなったのかもしれない。ごめんね、遥さん。」

双子ならではで、気持ちがわかるのだろうか。

そう言って謝る麗くんに、私は首を振った。

「いや、麗くんが謝ることじゃないから。・・でも、そっか。私と同じ気持ちだったんだね。」

改めてそのことを思うと、胸にじわじわと嬉しさがこみ上げてくる。

絢はいつもそっけないので、一緒の気持ちだったと知るだけで嬉しくなる。

「うん。本当に感情表現が不器用な姉でごめんね。でも、遥さんが大事な友達と思ってるのは、姉さんも僕も同じだから。・・・不束な姉弟だけど、高校でもよろしくお願いします。」

そう言って麗くんは立ち止まり、私に向かって頭を下げた。

そんな麗くんに、私も慌てて足を止めて頭を下げる。

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

そうして、しばらくして二人で頭をあげ、顔を見合わせてお互いににっこりした。


この二人はいつもこんな感じでやり取りしています。

見ているこちらとしても和みますね(笑)


さて、なぜ絢は十哉を連れて行ったのか。

それはいずれ載せたいですが、小話か軽く触れる感じで載せる感じになりますかね。

今のところは未定です。


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