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それを運命とは言いません  作者: 穂波幸保
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芦の祭 7


「確かに。はじめ兄、喜んでる・・・。」

体育館で座りながら、私は一兄を見て驚いていた。


あのとき、十哉とおやはこう言ったのだ。

「一兄、なんか喜んでたぞ?」

「・・・?喜んでた?十哉、それは何かの見間違いじゃあ。」

私の言葉に、十哉はむっとして答える。

「何年一緒にいると思ってるんだ?一兄の様子ぐらい、俺にもわかるって。」

十哉の言葉に、確かにそうだとは思いつつ、あんなことがあった後で、喜んでるなんてそんなわけないだろうと半信半疑だったが、本当だったみたいだ。



そして、さらに驚いたのは。


「では、みなさん異論はないようですので、話を続けます。次は、花園はなぞのさんから1年C組の担当の分担についてのお話です。」

そう言って、水無月みなづき先輩は後ろに下がると、花園さんが前に出てきた。


「C組は、水無月先輩に確認したところ、人数的に増えても問題ないということでしたので、前に決めていた担当を引き継ぐことになりました。

ですが、演目は改編版ハムレットに変わっています。そのため、出演予定だった方に関しては、希望を聞いて担当を変更可能とします。

もちろん、そのまま出演希望の場合は、配役は変わりますが、可能です。その話に関しては、後日その方々だけを集めて希望をお伺いします。」


生徒会が取り仕切るはずが、いつの間にやら水無月先輩を主として、花園さんと連携しながら話がどんどん進んでいく。

昨日のことを知る人からすれば、二人がいがみ合っていたのが嘘だったのではと思うくらい、順調に話が進んでいる。


この状態が、あしの祭が終わるまで続けばいいんだけど・・・。


そんなことを思いながら見つめていると、花園さんが話を終えて、水無月先輩が話し出した。

「では、もう時間がありませんので、本日はここまでとさせていただきます。あとは、メインキャストを伝え忘れておりましたので、最後にお伝えしますね。」

その言葉に、館内の、主に女生徒たちが色めき立つ。

一兄と私の配役は、私たち二人にもまだ教えられていない。

演目も、みんなと一緒に今日教えられたばかりだ。

私は、別にもう配役を割り振られるのを待つだけなので誰を演じようが特に気にならないが、メインキャストということは、たぶん一兄と私以外は演劇部の上手い人がするんだろうなぁ・・と、あまり気にも止めず、私は水無月先輩の顔を見ていた。


「主人公のハムレットは一年の土ヶつちがや はるかさん、クローディアスは三年の土ヶ谷 一様、オフィーリアは一年のそら 光希みつきさん、ガートルードは三年の寿ことぶき 京子きょうこさんとなりました。以上で、解散といたします。」


水無月先輩はそう言って、にっこり笑ったのだった。


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