芦の祭 5
(改稿)ついていますが、絢さんの漢字を間違えたので訂正しました。その後、クラスも間違っていたので修正してます。文章は変えておりませんので、以前お読みいただいた方はご安心ください。
「・・・・で?おまえら二人、結局何で揉めてたんだ?花園、おまえも一様とかいいだすんじゃないだろうな。」
沈黙の後、江藤はややなげやりな口調で花園さんに質問をした。
火口先生がいることで面倒になってきたようで、早くこの場を終わらせることにしたようだ。
江藤の質問に、花園さんは勢いよく答えた。
「違います!水無月先輩が、土ヶ谷さんは王子役に相応しくないと言うので、否定していたんです。」
なんでも、私たちの組が劇をすることを伝えたところ、演劇部の部長である水無月先輩が、演目が被っては困ると花園さんに何の演目か訊いたそうだ。
確認したところ、演目は被らずに済んだのだが、内容はお互いに王子が出てくるようなラブロマンスもの。
そのことに対し、水無月先輩が花園さんに、王子は十哉がするのかと訊いた。
確かに、クラス内で一番見た目が綺麗と言われるなら十哉だろう。
しかし、十哉は推薦入学のため部活が忙しく、またセリフは覚えられないうえに、大根役者。
なら他の男性陣となるが、みんな嫌がったために投票制となり、何故か私が王子役に抜擢されたのだった。
そんな経緯が水無月先輩に話されることはなかったが、王子役で私の名前を出すと、水無月先輩は他に男性もいるのに女性で男性の役をと笑ったのだそうだ。
それに対し、カチンときた花園さんは、一兄よりもよっぽど私が王子らしいと言ったのだそう。
そのことで、水無月先輩も怒りだし、先程のやり取りへと発展していったということだった。
話を訊き、江藤はひとつため息をついた。
「・・・おまえの方は、一年の土ヶ谷にか。おいっ、土ヶ谷兄妹!おまえらの取り巻きなんだから、おまえらでなんとかしろ!」
「「えっ!!?」」
江藤は、一兄と私の方に向かって言うので、水無月先輩と花園さんが驚いた声を上げてこちらを見た。
すると、自動的に教室にいる全員の視線が、私たちに集まり・・。
「「・・・・・・・。」」
一兄と私は、自然と無言でお互いに顔を見合わせた。
一兄の顔はやや疲労感が出ていて、早くこの場を終わらせたい思いは一緒だとすぐにわかった。
「・・俺と妹はいがみあっているわけではないので、二人には仲良くしてほしいとは思います。」
一兄が私から視線を外し、江藤を見て先に答えてくれる。
私も、それに続いて答える。
「私も同じです。王子役は、たまたま今回の劇ですることになっただけで、」
「そんな言葉で、納得するような奴等じゃないのはわかってるだろう。」
しかし、江藤が私の言葉を途中で遮った。
「・・・・。」
では、どうしろと?
返す言葉がなく黙りこんだ私に、突然、パン!と軽快な音が室内に響いた。
「・・・・・?」
その音の出所を辿ると、火口先生が手を合わせて、満面の笑みをたたえていた。
「では、演劇部と一年C組の合同で、劇をしましょう!主演は、土ヶ谷 一くんと遥さん。どちらが王子に相応しいのか、そこで決着をつけましょう!!」
「「・・・・え?」」
きゃぁああああああああ!!!!!
一兄と私がぽかんとするなか、火口先生の言葉に、水無月先輩と花園さんや一部の女生徒が悲鳴をあげた。
「ちょっ、ちょっと待ってください!演劇部と一年C組合同って、おかしいですよね?そもそも、兄はどこにも属してないですし。」
いろいろとおかしな状況に私はそう言うが、江藤から鶴の一声。
「その案が妥当だろうな。俺が他の先生に話は通しておく。あとは、おまえらで好きにしろ。」
「えっ!?ちょっと、江藤先生っ!!」
私は慌てて江藤を呼び止めるが、江藤は素知らぬふりでさっさと教室から出ていった。
江藤の常套手段、丸投げである。
「・・・・・・っ!!」
私は、呼び止めようとして上げた手を下ろし、江藤が出ていった扉を見つめながら、震える手で強く拳を握った。
理不尽で、自分勝手。
形式で先生と呼んではいるが、あんな人は江藤で十分だ。
心から先生とつける日なんて、来ることはないだろう。
「・・・どんまい。」
そんな私を見て、絢は私の肩に手を置いて、珍しく慰めの言葉をかけてくれるのだった。
みなさま、メリークリスマス!
もう、年末年始ですね。
一年過ぎるのがあっという間すぎて、毎年ぞっとしています。
そして、話が進まなさ過ぎて、文化祭編を来年終わらせられるのかなと遠い目をしてるこの頃です。。
とりあえず、亀並みに遅い更新ですが、来年も頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
よいお年を!




