芦の祭 3
「さあて。挨拶は済んだし、あとはこの集まりをどうにかしないとな。」
東雲先輩はどこか満足そうな顔をしてそう言い、未だ賛美大会を続けている二人に目を向けた。
その言葉に、一兄も頷いて答える。
「そうだな。龍生のせいで少し時間を食ったが、相原たちが他のクラスや部活の出し物を聞き出しているから、今日は一旦それだけ確認してお開きだな。」
確かに、来たときはあの二人にみんなが騒然となっていたが、今は二人から離れた一角に集まって話を進めていた。
「そういえば、一兄。」
「なんだ?」
私は、気になっていた疑問を訊いてみる。
「そもそも、なんであの二人はあんなことを始めたの?」
私は急に呼び出されただけなので、原因は知らなかったのだ。
「ああ、それは・・」
「みなさーん!助っ人を連れてきましたよー。」
一兄の言葉を聞く前に、突然、近くの扉から元気な声と共に一人の先生が入ってきた。
「えっ、まっつん!どっかいってたの!?」
「はいっ!私ではどうにもできないですし、助っ人を探しに。」
東雲先輩の驚きの言葉に、まっつんと呼ばれた火口松吉先生は、厚底めがねを押し上げてにっこりと笑った。
火口先生は、一兄と東雲先輩の担任で29歳の社会科の先生だ。
185センチとかなり身長が高く、ひょろっとした痩せ型。
厚底めがねに、少し長めの髪をひとつに束ねている。
ひょろっとした体型に厚底メガネなどというと、猫背やだらしないようなイメージを持ってしまうが、先生はスーツをきちっと着こなして背筋が綺麗なので、なんとも見た目がアンバランスな先生である。
そして、この火口先生は、ゲームで選択する5人の内の一人でもある。
「まっつん!助っ人ってもしかして・・・げっ。」
東雲先輩は火口先生をあだ名で呼んで嬉しそうに話していたが、火口先生のあとから入ってきた助っ人の先生を見て、声をあげた。
「おい、東雲。生徒会が手を焼いてるから、助けてほしいと言われてわざわざやって来た俺に向かって、げっとはなんだ。げっとは。」
助っ人と言われてやって来た、何様・俺様・大地様の登場に、未だ話し続ける二人を除き、その場が凍りついた。
今回はこの一話だけです。遅いうえに少なくて、申し訳ない。
出てきました、4人目の人物です!
そして、もしやと思っていらっしゃる方は当たりです!
次回は5人目の正式登場です!!




